第二十四話 意見の食い違いは日常茶飯事ですね
私はいつものタキシード姿になると、すぐさまお父様の方へ向かいました。
この時間は食堂にいます。駆け足で移動です。
それにしても、タキシードはいいですね。
足元がはっきりしているので動きやすいです。
だから、私はドレスとかが苦手なのですよ。
何度も転んでトラウマものですから。
あの時はですって? あれはただのまぐれですよ。
という間に食堂へ到着しました。
そこでは、やはり騒ぎが起こっておりまして……。
「側近が数名いないだと?」
「レオナント様……!」
どうやら側近も被害にあったようなのです。
何が原因なのかわかりません。ですが、これは一大事です。
私は食卓に並べられた料理を急いで食べます。
まずは街を探しましょう。そこからです。
もしも、あの帝国王子が原因だとしたら、これは大変な事態。
黙っていたら、相手の波に乗せられたのと一緒。
「アリアナ。なぜ急いで食べる」
「これは大問題なのよ。急がないと意味がないわ」
「その様子では、何かあったようだな」
「ええ。レイランとルーラがいなくなった。私の愛しき二人が……」
思い人との別れがこんなにも早く。
いいえ、奪還するのです。張り切っていきますよ私!
「アリアナ。ひとつ勘違いしている。たしかに、レイランとルーラの引き取りはした。しかし、同じ性の人と恋仲になることは、一切許可してない。まずは世間の常識を学べ」
「それでも、私はレイランを愛すわ。それが私にとっての生きがいだもの」
「このバカ娘が!」
やはりこうなってしまいましたか。私は自分の信念を貫く。そうでありたいのです。
この世界で同性愛を広めるのは、やはり難しいですね。
複数の事件が起こりすぎです。どこから片づければいいのでしょうか。
もう少し、じっくり考えたいところですが、そうは言っていられなさそうです。
「私は私よ。お父様とは思考が違うの。子供の意見も少しは尊重したらどうかしら?」
「言い訳はいらん! 伯爵家の令嬢なのだぞ? 恥を知れ!」
どちらが正解なのかわからないですね。
それでも、私は私の意見を尊重します。それが私にとっての正解ですから。
食事を終えると、私は外へ出ました。今日の天気はうっとうしいくらいの雨です。
秋の長雨って、なんか億劫ですよね。洗濯物が溜まりますし。
生乾きが気になってしまいます。カラッとした空気ならカラッと乾くべきです。
とはいえ、それはお天道様の気まぐれですので、こちらから進言することはできませんね。
天気を操れるならとっくに操ってますよ。少し残念です。
「傘は……。全てないですね……」
どうやら外へは行かせてくれないようですね。
私は自室に戻ります。実はこんなこともあろうかと、サブの傘があるのです。
案の定すんなり見つかりました。黒の男性用傘です。
再び外へ出ます。傘をさして、バタバタと鳴る雨音を聞きながら進む道。
それにしても妙ですね。傘は使用人の分も全部あったはずです。
数は全部で四十ほど。それが全てなくなったとなれば、探すのも面倒です。
街に出ると、さらに騒がしくなりました。
「私の妻がいなくなったんだ!」
「うちの娘もよ」
どうやら被害にあっているのは女性だけのようです。
ですがおかしいですね。私も女性なのに被害が出ていません。
きっと男性エキスが多いのでしょう。救う側に立つのは好きです。
街の騒がしさは全域にわたってました。
どこを見ても、被害者の面々。皆さん必死に情報交換をしています。
「これは甚大ですね……」
先にレイランたちを見付けたい気はありますが……。
私は使用人を探すことにします。
できるだけ早く見つければ、詳細も見えてくると思いますので。
すると、ここでお兄様と遭遇しました。
彼も使用人探しをしているのでしょうか。
どうしましょう。話しかけた方がよろしくて?
「ルイス兄様」
「アリアナ。なにか変化はなかったか?」
「ええ。レイランとルーラがいなくなったわ」
「そうか。実は俺の婚約者も消えた。さっき連絡があったんだ」
それはお疲れさまです。男性も子孫を残すために尽力しているのですね。
私はそんなのどうでもいいです。好きな人と最後まで一緒にいられれば十分ですから。
と言ったら、お父様にまた怒られてしまいますね。控えておきましょう。
大切なフィアンセを失ったルイス兄様も、大汗をかいています。
もうこうなったら、一緒に探すしかありません。
共同作業が一番効率いいので、協力すべき相手には協力しましょう。
「それにしても、男性率が高いのですね」
「ああ。そうだな。出生率も男性が多い。だから、女を求める男も多い」
「それは、ただ単に男を増やしたいだけでなくて?」
「は?」
「は?」
兄様とは時々こうなります。彼も純粋な男ですので。
しかし、男性率が高い今なら、一人の女性を探すのは簡単です。
それでも、女性はちらほらいますけど。目的の人を探すのは逆に難しいですね。
こんな状況になるとは思いもしませんでした。
本当に、私が悪いです。昨日勝手にライアズへ向かいさえしなければ。
おっと、兄様センサーが発揮されたようですよ。
目の前にピンク髪の女性がいます。さて誰でしょうか。
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