第二十三話 これは謎が深いですね
屋敷に帰って一時間。未だレイランたちは目を覚ましません。
まるで、毒リンゴをかじった眠り姫のように。
彼女たちは、食事もしていません。
何があったのか医者に診てもらいましたが、原因は不明。
魔法なんてものはないはずなのに……。
この世界にあるのは、神が作った神具のみです。
「レイラン……。ルーラ……」
なんだか寂しいですね。いつも話を聞いてくれますのに。
いえ、基本は私が聞き役でしたね。そこは訂正します。
私は二人に布団をかけて、部屋を出ました。
これから、国王陛下のもとへ会いに向かいます。
今回の成果を伝えるためです。
私の独断で動いたことは容認なんてされないかもしれない。
それでも構いません。せっかくルナディカルが協定を結んでくれたのですから。
これで私の任務は終わりです。平和な日々よ来てください。
ですが本当の平和というのは、レイランやルーラと笑いあえてこそです。
「お父様。国王陛下の元へ行ってまいります」
「気を付けて」
「ありがとうございます。ルイス兄様、レイランとルーラのことお願いします」
「ああ。任せろ」
私は屋敷をあとにして、王城まで歩きます。
夜は深く、遠くでフクロウの声が聞こえてきました。
ものすごく寒くて、さまよう人も少ないです。
王城の道につくと、そこは外灯のない場所。
そこを真っすぐ進むと、王城の大扉に到着しました。
「ごめんください。アリアナ・メイリーンです」
「ようこそお越しくださいました。こんな時間に何用ですか?」
門番が問いかけてきたので、国王に会いたいとだけ伝えました。
すると門が開きます。中に入って応接間に移動しましょう。
夜の王城もいいですね。ものすごく静かです。
夜中でも騒がしいと思いきや、使用人はみんな寝ているとのこと。
使用人は全員住み込みですので、各自部屋が用意されています。
「ところで、アリアナさん。今日遠出をしてきたようですね」
「ええ。ライアズの方へ」
「さようですか。国王陛下はこの先にいらっしゃいます」
「ありがとう」
応接間に入ると、そこには出来損ない息子持ちの国王陛下がいました。
結果的に会うことになってしまったので、相手をするしかありません。
今日の応接間にはローズの香りはないですね。
鼻をつままなくても良さそうです。
「今日はライアズの方へ向かったそうだな」
「はい。少しだけてこずりましたが、停戦協定を結ぶことは成功しました」
「そうか」
国王は少し意味深な表情をしました。
どこが引っかかったのでしょうか。
少し気になります。国王の息子はヘタレですが、彼はしっかり者と見てますので。
暖炉の火がざわざわと鳴ります。ここには風が少ないのに……。
何故でしょう。寒気がしてきました。
嫌な予感が、さらに近づいた気がします。
「レイランと子供が眠りから覚めないと聞いた」
「もう話が行っていたのですね」
「無論。この国の情報は全て受け取っている」
「そうですか」
国王と私の前に、紅茶が運ばれてきます。
私は紅茶よりもコーヒー派ですが、この時間は控えた方がいいでしょう。
一口含むと、ほろ苦い香りがしてきました。
この味は嫌いではありません。好き寄りですね。
「国王陛下。私は少し違和感を感じています」
「違和感か……。実はこちらもだ」
「そうですか」
国王陛下も紅茶を飲みます。かなり絵になってますね。
「ライアズ帝王が簡単に協定を結ぶはずがない」
「うむ。同じく。そこがどうも引っかかる」
「私もです」
今日はこれでお開きにしようということになりました。
少しだけ共有できただけでも嬉しかったです。
さて、屋敷に戻りましょう。
夜の街は危険です。早く帰った方が身のためですので……。
私は城壁から飛び降ります。高所からの移動には慣れてます。
すると、広場に到着します。そこから大通りに出て屋敷に向かうのです。
屋敷につくと、お兄様が顔を出してくださいました。
今日も今日で色々ありましたが、収穫はあったと思います。
お風呂に入ると、自室へ。そこではやはり二人が寝ています。
彼女たちはいつ起きるのでしょうか。一生起きないのではないでしょうか。
寂しいことは考えない方がいいですね。端においておきましょう。
「兄様。おやすみなさい」
「ゆっくり寝ろよ」
「ええ。もちろんですとも」
私は電気を消します。遠出の疲れをとるには、しっかりとした睡眠から。
今日の謎は明日解けばいいのです。しかし、起きた時に事件が発生しましたね。
どうしましょうか。ルーラとレイランが行方不明です。
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