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00 プロローグ

深夜12時頃、アパートの1室、作業部屋(仮)で、いつも通りノートパソコンでゲーム制作をしていた。

少しだけ仮眠を取ったら作業を再開しよう……

そうして、気付いた時にはスペースキーに顔を押しつけたまま居眠りしてしまった。

ここは夢の中だろうか。

一面の暗闇の中、ふと全身に浮遊感を感じた。

体が浮いている……とは少し違うような、しかし確実にどこかに向けて動いているような、そんな感覚があった。


…………

……………………


どれほどの時間が過ぎただろうか。窓から光が差し込む程の時間に、ようやく目が覚めた。

……それと同時に、強い吐き気がした。

乗り物酔いのような吐き気を我慢しつつ、パソコンの画面を確認した。

今は朝の6時頃……完全に寝落ちしてしまっていた。


その横には未読のメールが2件あるのが見えた。

続けて作業途中だった画面全体を眺めた。

眠っている間に押してしまったのだろうか、既にコマンドラインの画面はスペースキーの入力で埋め尽くされて黒一色になっていた。

大量のスペースキー入力を一括で削除した後、ようやくメールを確認することにした。


1つめのメールはゲーム制作仲間からのメッセージだった。

「新作のゲームが出来たから、一度テストプレイしてみて感想を教えて欲しい」というような事が書かれたごく普通のメールだった。

……ZIP爆弾を疑うような無駄にデカい添付ファイルを添えて。


さて、問題は2つ目のメールだ。

不思議なことに、このメールの部分は表示されているUIの全てが単一のボタンとなっていた。

開く、並び替え、お気に入り登録、削除、どこを押しても同じサイトに誘導されてしまう。

迷惑メールの手口は数多く存在するが、この型の迷惑メールは聞いたことが無かった。

その後も何度か試したが、結局そのメールを削除する事は出来なかった。

諦めて画面を閉じようとしたとき、違和感に気付いた。

その×ボタンがサイトへのリンクに置き換わっていた。

だが一瞬の違和感に気付いても、押しかけた指を戻すことは出来ず……結局そのままクリックしてしまった。

画面が暗転し、パソコンが再起動を始める。

ただ敗北感と後悔と冷や汗が止まらなかった。


何度か画面が荒ぶった後、少しずつ安定しつつある画面に表示されたのは、ブルースクリーンでも料金支払いの要求でもなかった。

……ただ画面一面に意味不明な説明文……どこかの観光案内かと思えば唐突にこの世の物とは思えない単語が並んでいる。

なんとも奇妙な画面だが、何個かボタンが並んでいる。

これを順番に読んでいけば何か分かるかもしれない……そんな淡い期待と共に、順番にボタンを押し、その内容を確認した。


「READ ME FIRST」あなたの事をずっと見ていました。我々は、あなたがとても熱心にゲームを作っているのに惹かれたのです。(中略)あなたは新世界の居住者に選ばれました。あなたに拒否権はありません。何故なら、あなたは既にこちら側の世界に来ているからです。戻る事は許しません。


読み終えた後、一目散に窓に向かい外の景色を眺め……愕然とした。

RPGでよく見るような世界が目の前に広がっていた。

だが、これだけではこの世界の事は何も分からない。

さらに情報を集めるべく、再びパソコンの画面を見た。

知りたいことは山ほどある。

この世界の仕組み、自分の立場、これからの生活、メールの送り主……


「世界」この世界は1つの王国で構成されており、いくつかの村に分かれています。


「役割」ここでのあなたの役割は明確です。ゴーレムを作り魔物と戦う事です。


「支給品」あなたには特別な物を用意してあります。まずゴーレムの外殻、基本パーツ、工具、そして最低限の銀貨、食糧、日用品、あなたの元の世界に合わせた物を用意してあります。


「更新」このサイトは定期的に更新されます。定期的に確認する事を推奨します。


よし、これで全ての説明を見終わった……ように見える。

まだまだ不安も多いが、画面の向こうの誰かさんは、これ以上は教えてくれないらしい。

まずはここでの生活に慣れること、そしていずれは誰にも負けないゴーレムを!

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