古の骨龍
お久しぶりです。
本業の合間に書いたので話がつながってなかったらすいません。
久々なのでご指摘お待ちしております。
痛ぇ……
ここどこだ?
下の階層に落ちたよな?
地図を確認すると……
……わかるわけ!
まぁ落ちってことは9階層もしくは最下層の10階層目だろう。
それにしても下に落ちたのによくケガしなかったな。
運が良かった。
あのフォカロルとかいう悪魔はどこだ?
あたりを見渡すと、マリア・ユージンにシェリーが倒れていた。
「大丈夫か?」
1人ずつ声を掛ける。
幸い、重症ではないようだが、体のあちこちが傷ついている。
「……っ!」
とユージンが起き上がる。
「大丈夫か?」
「アード……ここは?」
「わからない。落ちたから9か10階層のどっちかかな。」
ユージンはあたりを見渡している。
「あのフォカロルとかいう悪魔はいないんだな。」
ユージンが地図を取り出しながら確認してきた。
「あぁ。気が付いたらいなかった。陰から様子を伺ってるのか別のところに落ちたのか……」
「あのフォカロルという悪魔、羽がありましたから落ちるということはないのでは?」
「マリア!目が覚めたか!」
「はい、つい今ですが……先ほどの続きになるのですが、フォカロルが落ちたということはないでしょう。それに、アードのことを狙ってましたし、外に行くことは考えにくいので、近くには潜んでいるのではないでしょうか?」
ふむ、確かに。
なんか俺狙いだったな。
魔王の配下に狙われるなんて運が悪い。
どうしたものか……
「……勝てそうですか?」
マリアが不安そうにしている。
「うーんどうだろ。かなり厳しい戦いになりそうだよね。」
相当な威力だったもんなぁ、あの魔法。
「無理しないようにしろよ」
ユージンが拳を突き出したので俺も合わせるように拳を出した。
それにしてもどこ行ったかな。
「この辺探して周るか」
シェリーはまだ目が覚めてないので、ユージンが背負っている。
現在地から続く道は一本道のみだった。
片方は崩落の影響で完全につぶれている。
余計な道がない分不意打ちの警戒をしなくていいのは安心だ。
道なりに沿って歩いていくと、大きな扉の前についた。
どうやら階層ボスの部屋のようである。
ただ、半開きになっている。
「階層ボスの扉っぽいけど微妙に空いてるなんてことある?」
ユージンも不思議に思ったようだ。
普通に考えたらあり得ないことだ。
ちょっと覗いてみよう。
隙間から覗いてみると、血だまりがあった。
それ以外はよく見えない。
……入ってみるか。
ユージンとマリアには声を掛けずに扉を開ける。
「……っおい!」
ユージンが何か言っているが、そんなことは気にせず開けていく。
「ようこそいらっしゃいました。」
フォカロルだ。
豪勢な椅子に腰かけている。
「こんなところにいたのか。」
「えぇ。ここなら広いですし、ちょうどこの先にも用がありましたから。」
……この先?
「わからないのも当然でしょう。この先には隠されているものがありますから。」
フォカロルが何をしたいのかがよくわからず、呆然としていると、
「骨龍」
「は?」
「骨龍……ご存じないですか?ここにはこの世界の起源時代に初代勇者によって封じられた龍王が閉ざされた封印の間にいるのですよ。それだけでなく、封印は動きや意識のみを封じるものなので時間に関しては何も封じられていないのです。つまり、肉体はすでに朽ちている。」
……ん?
「通常、肉体の消失で骨化するには様々な条件があるのです。悠久の時を封印されていた龍王にはそれらをクリアすることなど容易い時間がありました。つまり、封印を解いた時点で骨龍への転化が始まるのです!古代の骨龍王の誕生です。」
……待て待て。
「なんでその封印を解くのに俺らを待ってた?ここに辿り着いた時点で早々に封印を解けばよかったじゃないか。」
ユージンが、確かに!と手を叩いている。
「……残念なことに、悪魔族ではこの封印を解除できないのですよ。ですのであなた方に解いていただこうかと」
ニッコリ……この上なく不自然な笑い方で事もなげな様子だ。
「私たちがそんなことに……」
マリアが言いかけると、
「そんなことに協力する訳がない、ですよね?当然です。今の話の流れで協力するなど言う方がどうかしております。提案した私ですら訝し気な思いを抱きますからね。ですが、アーマルド君はきっと……いや、必ずこの封印を解除してくれます。これは確信ではなく断言です」
「何を……」
今度がユージンが言いかけたところで、再度フォカロルが遮る。
「何を根拠に、というところでしょうか。アーマルド君がアーマルド君である限り、とでも言っておきましょうか。彼が存在する限り、彼には試練が訪れる。しかしそれは我々にとっては快味となることでしょう。」
俺が俺である限り……
どういうことなんだ?
「気になりますか?まぁ、聞かれても教えることはないんですが」
言い終わると同時に後ろに移動してきた。
「……っく!」
早い。いや、速い。
さっきよりも圧倒的に速い。
本気で俺をつぶしにかかってるな。
でも、もしやられるにしてもタダでやられるわけにはいかない。
隙をみて攻撃するが、防御される。
火魔法、雷魔法、風魔法。
どれも小技なので、決定打には一切ならない。
なので、
「閃光弾」
フォカロルに向かって強烈な光で目くらまし。
「爆裂殴打」
爆裂魔法を拳に乗せて殴る。
シンプルかつ強力な技。
フォカロルはくの字に吹き飛ぶ。
「……うわぁ」
後ろで3人がドン引きしてるが気にしない。
殴った衝撃の爆発で転がってきた石を手にする。
「さすがに効きますねぇ。しかしさすがにこれだけで私は倒せませんよ」
……腹、抉れとるが?
でも、あれで倒せたらむしろ悪魔は弱いことになる。
俺は、手にしていた石を投げる。
間髪入れずに石を拾い投げる!
「っな!」
さすがのフォカロルも驚いたようだ。
投げた石は当たらず壁に直撃する。
めり込むもしくは当たって弾けている。
「いつまでも石を投げるおつもりですか?」
そういうと間合いを詰めてくる。
「ここからは」
「「肉弾戦だ(です)!」」
そう互いに言うと、拳を連打していく。
* * *
殴る・蹴る。
互いに自身の肉体のみで攻防を繰り広げる。
魔法も武器も使わず、原始の戦い方である。
悪魔族は魔法が非常に得意なので、アーマルドは悪魔に魔法を使わせたくない。
フォカロルも同様に魔帝の神託を持っているアーマルドに魔法を使わせたくなく、剣帝も所持しているので剣も使わせたくない。
互いに得意とすることを封じ込めるために、自らの肉体で戦うのである。
「あれ、勝敗つく?」
ユージンはちょっと呆れながらつぶやく。
「どうだろ。どっちが有利とかも全然わからない……」
シェリーも呆れ気味。
「そこですわーーーーー!」
マリアはシャドーボクシングをしながら応援してる。
((殿下の応援の仕方のクセ))
ユージンとシェリーは同じことを思っていたが口には出さなかった。
アーマルドとフォカロルは次第に防御をしなくなっていた。
「ノーガード……」
もはやユージンは引き気味である。
互いの顔や体から血しぶきを上げても引かず、傷をもろともせずただただ殴りあう。
そうしているうちに、フォカロルがよろける。
「これで終わりだ!」
アーマルドがそういうと、フォカロルはニヤリと笑みを浮かべる。
「そうですね、これ終わりですね」
と笑みを浮かべながら、アーマルドの拳を受け止める。
「ようやく……ようやくです。」
豪勢な椅子の後ろの壁が虹色に輝きだした。
「封印はこれで解けました。ご協力いただけたこと、心より感謝の念が絶えません。この至上の喜びは骨龍の猛撃とともにあなたへ送りましょう。最強の生物とも呼べる龍種。その龍種の中でも古代龍王の骨化。魔力も増大し、理性もなくした最強の暴君。魔王をも超越するであろう古代龍王。骨の龍王!なんと素晴らしいことでしょう。あくまである好みに宿るこの感情!嗚呼無情にもアスモデウス様にお伝えできないことが無念です。ですが、この復活は無上の喜びなのです。龍種・龍王・龍神……人界に災禍をもたらす兇悪。人類では到底敵わない存在。人界・魔界・神界を統一する足がかり。アスモデウス様……フォカロルは貴方様の望みをかなえました。彼の方との統一もあと一歩のところまで来ました。」
フォカロルが饒舌にしゃべる間も壁はドンドン輝きを増す。
そして壁が崩れ始める。
中からも凄まじい光があふれる。
「良いですかアーマルド・グレース・キャッスルフォルト君。アスモデウス様も魔界の魔王たちも人界の有力者になる方も、みなこの世界に憂いを抱いているのです。そこの王族の姫君、ましてや王族に所属する方々では理解などできないことでしょう。正義とは何か、我々が……」
フォカロルはそこまで言うと、首が落ちた。
首は俺の足元に転がってくる。
「本気かよ……」
フォカロルは復活した骨龍に始末されたようだった。
古の龍が復活したのだった。
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