合い逸れぬ思い
模擬戦が終わり、アレイが勇者が起きるのを待ってる間ヴェル達と話をしていると王城の中から三人の勇者が中庭に現れる。
「あ!儀式の間で戦ってた人だ!」
三人の勇者の内一人がアレイの元に駆け寄ってくる。年相応の笑みを浮かべながら近寄ってくる勇者にアレイは、これこれ!、と思いながら真面目な顔で応対する。
「お前らが今代の勇者達か、まーがんばれよ。」
アレイは、元々自分をよく見せる事等にあまり興味が無いため簡潔に言う、ちょっと先程まで年下からの雑な対応に滅入ってた為普段より真面目に言った言葉だったが、
「はい!三年の内に修行して必ず俺等で魔王を倒してみせます!」
勇者にとっては十分な言葉だったらしい。他の二人の勇者も同様に頷く。
アレイはそれを見ながら頷くと、先ほど模擬戦をしていた勇者が眼を覚ます
「んー・・?」
勇者は起き上がり周囲を見渡す。そして一緒に召喚された勇者を見つけると素早く立ち上がり話し掛けた。
「あれ?お前らなんでいんだ?、確か今日学園に向かうんじゃねーの?」
勇者が不思議そうに聞くと、つい先ほどまで笑顔でアレイに話していた顔を苛立った風にしぞんざいに答える
「あんだよ愛、気安く話し掛けんじゃねーよ。お前みたいな臆病者と話すことはねーよ」
「臆病者って、しょうがねーだろ?俺はお前らみたいな能力はもってねーんだよ。」
「それでもできることがあるだろーが!、何も無いから何もしないのは間違ってる!」
「むざむざ殺されに行く位なら尻尾巻いて逃げるさ。適材適所。お前らは恵まれた能力があるんだから頑張れよ。」
「・・・お前のそう言う所、マジで嫌いだ。いいぜ。」
そう言うと、勇者は腰に下げている剣を抜き放つ、それを見て愛は目を見開き勇者に問いかける
「おい翔。お前正気かよ?」
愛は直ぐに刃物を取り出す神経に信じられない表情を浮かべるが翔はその理由を述べた
「俺等が召喚されてからもう一週間がたった。お前は知らないかも知れないが、俺等は召喚された次の日からもう訓練を始めてんだ。魔物退治もしたしな。そんな事は良いんだけどな。
俺はもう限界だ、情けなさ過ぎんだよ。お前は」
そう言い翔は切っ先を愛の方に向ける
「戦う力がないなら荷物持ちでもなんでもやって着いてこいよ」
翔の心中はどういったものか解らないが、どうやら同じ召喚された勇者同士は一蓮托生とでも思っているのか、怒りを含んだ表情で聞く。
「・・・その話は何度もしたよな。俺は行かない。一緒に行ったところで足手まといになるだけだしな、」
愛はそう言いながら翔から少し距離を取る。
アレイはそんな勇者達のやりとりを見ながら、一人一人のステータスを確認していく。
ーーー
赤崎 翔
LV 72
ユニークスキル
剣神導師
神眼
アクティブスキル
剣術LV162
魔闘技LV120
パッシブスキル
体魔治癒LV100
ーーー
剣術を扱う際に大幅な補正が入り、剣術の成長速度を上昇させる剣神導師。更には術式や物のかなり詳しい内容まで知ることのできる神眼。それと常時体力と魔力を回復させる体魔治癒をもっていた。
アレイは続けて残り二人の勇者の能力を見ていく。
ーーー
白鳥 玲奈
LV 68
ユニークスキル
術神導師
神眼
アクティブスキル
属性魔術LV156
術式魔術LV152
パッシブスキル
魔力超速回復LV140
ーーー
剣神導師の魔術版である術神導師に神眼、それと魔力超速回復どうやら完全に後衛に特化した能力を持っているらしい。アレイ的には感知系能力が無いことに疑問を覚えるが、どうやら神眼のスキルにはある程度までの周囲の情報を集める効果も有るらしくその辺のバランスもとれているようだった。
一つの分野に特化し過ぎている所を見ると、何やら作為的なモノを感じなくはない。アレイはそんな事を考えながらステータスを覗いていく。
ーーー
上崎 由紀
LV 72
ユニークスキル
暗神導師
神眼
アクティブスキル
暗術LV134
暗器作成LV120
パッシブスキル
体魔治癒LV100
ーーー
剣神導師の斥候版の暗神導師。これは中々レアなスキルで剣術や魔術と違い斥候としての成長速度を大幅に上昇させるユニークスキルになる。後は特質したものとしては暗器作成だろうか?自らの魔力を使用し暗器を作り出せる能力であり、やはり一つの方向に特化している。
勇者の能力としては然程良いものが無く、アレイは新しく能力を神眼だけ造り、事の成り行きを見ようとする。
どうやら距離を取った愛を見て翔は更に苛立ち、剣を構え愛に斬りかかる。
走り出しや、武器の持ち方、対象の観察などアレイは一週間ほど修行したらしい勇者ーーー翔の動きを見ながら愛の前に割って入りその剣撃を防御する。それを翔は驚いた顔をするが直ぐ様武器を下げアレイに抗議する
「っ!邪魔しないでください!これは俺等の問題です!」
「それは悪いができない。俺は学園に行くこいつの護衛を受けたからな。」
「なんでですか!?貴方程の人がどうしてですかっ!?」
翔は信じられないと言うような表情を浮かべながら言った。アレイは後ろにいる勇者達も同じ表情を浮かべているのを不思議に思いながらも翔に対し言う。
「どうしてと言われてもな、と言うよりお前等はなぜそんな驚いているんだ?」
「それは貴方の様な強い方がこんな奴の味方をしてるからです!」
「ちょっと待て、こんな奴ってひどくねーか」
アレイの後ろで愛が口をはさむ。
「うるさい!お前なんかそれで十分だ!くそ!もういい!!」
そういい翔は剣を腰の鞘に戻し踵を返し歩き出す。そして他の勇者と共に王城内に戻って行った
去って行った勇者三人を見ながらアレイは、愛に対し聞く
「いいのか?」
「良い」
何が目的で力を隠すのか、アレイには解らないが本人がそう言うのならばとそれ以上の追及をやめる
そしてめんどくさいことになりそうな雰囲気を感じながらアレイは学園について思考する。




