第二十九話 絶望の序曲
一週間も間が空いてもっ!!更新をっ!!止めないっ!!(訳:遅れてごめんなさい)
あと、今回から前書きにクラス紹介をいれてみようと思います。今まで出てきたクラスや、まだ出ていないクラス、出る予定はないけど存在はしているクラスなどを、一つずつ解説付きで紹介していくつもりです。
しばらくはオーソドックスなものばかりになりますが…最初は主人公のクラス、剣士です!
剣士
名前通り剣を扱う近接職。
同じ近接職の戦士と比べて攻撃力と素早さにアドバンテージを持つが、大した差はない。防御が結構薄く、武器が剣に限定されるため、戦士よりも人気は無い。
だが不人気かと言われればそうではなく、カッコいい上に攻撃性能が高いため人口は割と多い。
大剣を使った純粋なアタッカーや、速度を重視したレイピアなど、種類も意外と多彩。だが侍と違ってカタナは得意なわけではないので注意。
レベル30から派生出来る上位職には、2本の剣を扱う「双剣士」、魔法を併用出来るようになった「魔法剣士」などがある。
大規模戦はどうやら中盤に差し掛かったようだ。エネミーに中型や大型の強敵がちらほら混ざるようになってきた。称号者はまだ呼ばれていない。
「あれは巨人…いずれ普通に敵として出て来るのかしら?」
「というか早く呼べ!俺を呼べ!勝たせてやっから!!」
兄が「ハリー!ハリー!ハリー!」と叫びながら変なモーションを取っている。うざったいので投げナイフで牽制しておく。ちっ、避けられた。
こうして暇を持て余していると、突然ゴウライさんの足元に魔方陣が現れた。
「ふぉふぉふぉ、一番手はワシのようじゃのう」
「えぇ!?な、なんで私じゃないの!?」
みゅるいるさんがプンスカ怒っている。この人、さっきから怒ってばかりな気がする。「逆鱗」は彼女の方が似合ってないだろうか?
「…何か失礼な事考えなかった?」
「………」
女性の勘は鋭い、その筆頭の私が忘れていた。つい目を逸らす。
『称号者よ、あなたに加護を与えます…』
さっきから司令官の要請に応えて加護で忙しそうだった女神が、ゴウライさんに何やら加護をかける。要請が多いせいか、女神が疲れ気味だ。
「ほう、これは…」
『あなたの戦闘法は存じております。あなたの代名詞とも言える、ダメージを受けるほど攻撃力が上がるユニークスキル「逆鱗」…それを最大限に生かすため、他のステータスより大きくHPを底上げしています』
「ふぉふぉふぉ、いくつか桁が増えておるが…さすが100万ポイントというべきかのう」
…え、何そのユニークスキル怖い。攻撃与える度に危険度が増すとか相手にしたくない。
「よし、ゴウライさん!一番手として、張り切って戦ってくれよ!」
「ワシは戦闘が本職じゃないのじゃが…まぁよい、思う存分暴れてやるわい!」
兄が激励を送り、ゴウライさんが応えて消える。チラリと戦場の画面を見ると、周りの敵を吹き飛ばすド派手な演出でゴウライさんが登場するのが見えた。カッコいい。
「次は私だよね!はやくこないかなー?」
「お前はもっと落ち着きをだな…」
「クロトに言われたくないわよ!?」
そして恒例のクロト・みゅるいるさんのいがみ合いが始まり、ピタゴラスさんが仲介に入るという光景が始まった。
…このペースで、私呼ばれるのかな?
そして大規模戦は後半に入った。みゅるいるさん、ピタゴラスさん、ミドナさんは既に召喚され、残るは私と兄のみとなった。
そして、兄の足元に魔方陣が現れる。
「お、俺の番が来たか」
「………先越された」
「そりゃそうだろ、指揮官の一人はうちのサブマスだぜ?俺の強さは良く知ってるはずだ」
確かに、同ポイント消費なら知ってる人を優先するはずだ。ちくしょう。
「そ、それにあれだ、真打は遅れてやって来るものだろ?」
「………励ましが下手」
「うっ…」
兄は意外というか、思った通りというか、こういうのは不器用だ。アクトに並ぶ主人公属性を持っている。
周りに主人公染みた人が二人とは、運が良いのか悪いのか…
『し、称号者よ、あなたに加護を…』
「…女神さん大丈夫か?」
今までずっと加護を与え続けてきた女神さんは過労死寸前だ。こんな光景見られたら、きっと掲示板サイトでネタにされることだろう。
『大丈夫です…コホン。あなたの戦闘法に合わせ、ほぼ全てのステータスを底上げしております』
「おぉ、そりゃありがたい」
そういえば、前は瞬殺してしまって兄の戦闘法を知らない。
「よし我が妹よ、お兄ちゃんの晴れ舞台をとくと見ておくがいい!!」
「………ん、いってらっしゃい」
兄が荒ぶったポーズをしながら消えていく。少し気になるので、戦場の画面に注目する。
ここは大規模戦の3つの門のうち、中央の門の戦場。ここには多くの巨人がやって来ており、劣勢になっている。プレイヤーの士気も、徐々に下がってきているのが分かる。
「フゥワーッハッハッハッハッハ!!!!」
そんな戦場に高笑いが響く。共に魔方陣が現れ、黒い鎧に身を包んだ青年が姿を現す。周囲の注目が、一瞬で彼に集まる。
「…開け、ヘルゲートぉ!!!」
同時に叫び、剣を地面に突き刺す。すると、周りに居たエネミーが、地面から突如現れた巨大な黒い剣に串刺しにされ、一掃される。
「聞け、戦場の有志達よ!!」
その青年、称号者の一人「漆黒の騎士王」クロト。彼は剣を掲げ、戦場中に轟く大きな声で呼びかける。
「貴様らは何のために戦っている?名声のため、報酬のため、正義のため…様々であろう!」
「だが貴様らはその意気を失いつつある…ならば与えてやろう!!」
「この国、グランセル王国を守る意味を!!女神の守りたい国を、同じく守りたくなる理由を!!」
ほぼ全てのプレイヤーが彼に注目する。ゴクリと唾を飲む音が聞こえるようだ。
そしてクロトは、自信満々な表情で、こう叫ぶ。
「良く聞け!!女神は…巨乳の超絶美少女だぁぁぁぁ!!!!」
「………うわぁ」
見るんじゃなかった、そして聞くんじゃなかった、身内の醜態を。チラリと祭壇を見ると、女神がしゃがみ込んで何かをブツブツつぶやいている。
「………兄が多大なご迷惑を」
『もうダメ…二度と人前に降臨出来ない…グスン』
女神が何やら「お嫁に行けない」な雰囲気になっている…うん、ホントごめんなさい。
何やら士気が大きく上がっている戦場に冷ややかな目線を投げながら、女神に謝り続けた。
「………ん」
しばらく待っていると、自分の足元に魔方陣が現れた。どうやら出番のようだ。
『称号者に加護を与えます…』
先ほど復活した女神が、加護を与える。これは…
『筋力および速度、攻撃範囲を大きく上げました。これであなたは、その巨大な武器を容易く扱う事が出来るようになります』
試しに双巨剣を持つと、いつも感じていたとんでもない重量が苦にならなくなっていた。どうやらSTR要求をクリアしているようだ。
うん、これはありがたい。でも…
「………HPが少しも上がってない」
『あなたには不要と判断しました、その分を全て筋力と速度に当てています』
何やら恐ろしいデメリットを背負ったようだ。あの大群相手に、ヘイトを稼ぎまくった上で攻撃に当たってはいけないという鬼畜な要求をされているようだ。
「………まぁいいや、行ってくる」
こうなったらやるしかない、光を増す転移魔方陣の中で、覚悟を決めた。
…そうだ、自分なりにカッコいい登場の仕方でもやってみよう。
転移が完了し、周囲の空気が変わったのを感じる。何となく転移先の攻撃範囲にはエネミーしかいないと感じた、好都合。
「………グレートストーム」
転移完了と同時に、いつもより数倍の攻撃範囲を持った物量の暴力が、中型を含む周囲のエネミーを一撃で葬る。
周囲のプレイヤーが唖然としているのが分かった。
「………おいで、雑魚達」
私は身の丈を軽く超える双巨剣を軽く振るい、故意に威圧感を出す。さて…
「………遊んであげる」
ポイント分の仕事はしようか。
絶望の序曲 (エネミーにとっての)
やはり私は戦闘より日常のほうが書きやすいのですよ…(ゲッソリ




