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後編

「おはようっ!!」


元気な千秋の声で、かすかに頭が目覚める。


「あーょーぅー」


身体は挨拶すらできないほど目覚めていないが、


「昨晩は、結局私が寝ちゃって出来なかったら、今からしよ!」


「!?」


身体も一気に覚醒する。


「いやっ、うそだろ?」


「どうして、こんなことで嘘つかなきゃいけないの・・・?」


やだこの子、目が本気。


「・・・俺、寝起きでやる気ないんですけど・・・。」


「へへ、そう言っても下のほうは素直だね」


「ちょっと、おまえ!!」


「いただきマウスっ」


きゃぁああああ、それただの生理現象ぅうう!!



俺が昼食を普段取っている、行きつけのレストランに連れて行けというので来たが、


「俺・・・もう・・・ここに来れないかもしれない・・・」


「えー、私も仕事の合間に、ここで真二とご飯食べようと思ったのに」


「いや、それが問題なんだよ・・・。」


ちょうどウェイトレスさんがメニューを運ぶ。


「お待たせしました。チキンドリアのお客様は?」


「あ、私ですけど彼に。チキンステーキランチは私に下さい」


「え、あ、はい?」


困惑しながらウェイトレスさんは、配膳を済ませて去っていく。


「・・・。俺ドリア食おうかな・・・。」


「え?じゃあ取り替える?」


そう言いながら、千秋は、シルバーで器用に肉を一口サイズにしていく。


ドリアに息を吹きかけて、千秋の口元に運びながら答える。


「いや、一緒だからそれ。熱いから気をつけろよ。」


「あぢゅっ!!」


あーあ。言ったそばから。


「あちかった・・・はい、あーんっ」


美味しく租借しながら、さっき配膳してたウェイトレスさんが見る視線がもう違う世界の人を見る目になってきたのが気になるかな。


「俺・・・やっぱり外でこういうのは耐えられない・・・。」


「だめっ!今日は私優先だかんね!!」


昨日の飲みでの気後れが、俺を人の道から外していく。


「せ、せんぱい?え、そんな、先輩はそんなことするような・・・。」


「あぁ。俺はそんなことするような・・・え?」


顔を真っ赤にした後輩が、目の前に、


「先輩が・・・。そんなことするなんて思ってませんでした・・・。」


だよねー。バカップルだよねー。


「何?貴方が、真二と昨日飲んだ後輩?」


完全に、殺意剥き出しで威嚇する千秋。


「よしなさい、千秋」


ドリアを口に突っ込んで制止する。


「あぢゅっ!!」


この隙に後輩をとりあえず帰す。明日の僕の、会社での立場が心配です。



「そろそろ俺も部屋移そうかなぁ・・・。」


明日の仕事行きたくないなと、割と本気で思いながらマンション特集を見ていたらふと、そういえばこんな生活でもう3年だし、いっそ引っ越そうかと思ってしまった。


「うんー。だったら、わんこが飼えるマンションとか買いたいなー」


俺の胡坐の中に体育座りしながら、千秋が答える。


「犬かー。もう一匹飼ってるもんなー。」


「飼ってるならちゃんと輪っかをつけなきゃ、ね」


しまった。顔は見えないが、きっとしたり顔だろう。


「ねぇ・・・結婚・・・しよ?」


「だめだ。」


「え?」


身体を反転させて、本当に吐息がかかる距離。不安そうな顔をする千秋に、


「プロポーズは俺の特権だ。俺が言う。」


「え?え?」


「好きだ。結婚しよう」


「え?え?」


戸惑いながら、涙を流す千秋に唇を重ねる。


「お前を一生飼ってやる、輪っかなら、何時もお前が使う引き出しの中に入れてある。」


「真二・・・真二ぃいいい!!」


抱き締め合う。その愛、永遠に。




犬どころかもう3人ほど住める所に引っ越そうかな。


俺は、古い人間だからやっぱり一姫二太郎が理想なんだ。


もう犬扱いとか冗談でもしないよ、俺の愛しの花嫁。

わんだーふぉれすとです、どうも。

2部も終わりました。いかがだったでしょうか。

3部は、大学生とパン屋さんのお話となります。

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