中編
後輩との飲みの席。
仕事の相談と言うより、むしろこっちの好きな映画とか、音楽の話がメインなのが不思議だ。
「先輩って彼女、いるんですよね?」
「あぁ。」
「どんな子なんですか?」
「犬みたいな子」
迷わず答えた。
「犬・・・ですか?」
「あぁ。犬だな。飼ったことはないが、きっと飼ったら犬が二匹になる気分だろうな。」
「飼ってるんですか・・・!?」
それじゃ、変態街道まっしぐらだぜー。
「彼女は飼ってないな。」
「そ、そうですか・・・。」
なんで顔真っ赤にしちゃうのかな。これじゃ、変態だと思われてるみたいだよ。
とか思ってるうちに、今宵も更けゆく。
◇
「すいません、送ってもらっちゃって。」
後輩のおうちの近く。今日は結構呑んでたもんなぁ。一人じゃ帰せまい。
「いやいいよ。今日は楽しかったし。また明日・・・は俺が休みか。明後日ね。」
そのまま帰ろうと、背を向けたら抱きつかれる。
「!?」
びっくり。
「先輩・・・、先輩は優しいです・・・。時々今日みたいに胸が締め付けられるほど」
「・・・。彼氏と、別れたりでもしたの?」
「彼氏なんかいません!!私はずっと・・・先輩のことが「だめだ」そこから先は言っちゃいけない。
「俺は明後日もさっきまでの関係で、いたい」
「・・・ごめん・・・なさいっ・・・!!」
「いやいいんだ。今日の最後は聞かなかったことにする。酔っ払って冗談が過ぎたんだろう。」
「はい・・・。」
消え入りそうな声を背に、歩き出す。
「じゃあまた、明日俺が居ないからって、仕事サボるんじゃないぞ。」
千秋に噛まれた首筋を少し、なぞる。
マーキングって言うのもあながち本当だったのかもな・・・。
◇
若干気まずい気分で帰ると、犬が居た。
「ただいま」
「真二ぃいいい、おかえりぃいいいい」
しっぽがあったら、ぶんぶんって効果音が付きそうな勢いで抱きついてくる。
「・・・。女の匂いがする。」
「そりゃ、女と呑めばな」
「ううん。これは体が密接だったぐらい匂いが強い。」
犬だな、本当に。しかし事実である以上は、否定できない。
「・・・何もしてないぞ。」
「何かあったんだぁあああ!!」
「いや、違う、違う」
・・・。
冷や汗が流れる。
「もうおうちに帰るぅううううう!!」
本当に涙を流しながら、アパートの部屋から飛び出していく。
俺は黙って座り、少し何時もより広い部屋で煙草に火を点ける。
ふー。
バタンッドタタタタ!
吸い終って風呂にでも入ろうかとしている頃に襲撃。
勢いよく、倒される。頭が痛かった。
「なんで、私以外の女と、呑んだりするの?」
「仕事の相談だ。上司として仕方ないだろ。」
「仕方なくなんかない。貴方は、私だけ見てればいいの。」
涙の乾いた後を、指でそっとなぞる。
「見てるってどうすれば、証明できる?」
唇を塞がれる。
「ふへへ、分かってるくせにー。」
こいつ、酒飲んで来やがった。
「しんじぃ、ねぇ・・・しよぉ」
「風呂から上がったらな。」
「一緒に入るぅ。」
「狭い。入るな。」
「やらぁ!!」
こいつはだめだ。
「黙って待ってれば、明日好きなところに連れてってやる。」
「ほんと!?やくそくらよ!?」
「あぁ、あぁ。」
どうせ最初から強制されるのは分かってるが、
「うん、わかった!私まってるぅ!」
酔っ払った千秋なんか慣れたもんだ。
「あぁ、待ってろ。」
そして正座してる千秋をおいて、風呂場へ向かう。
◇
風呂から上がってきたら、千秋がまた俺のYシャツを着て寝てたのが、なんとなく、なんとなくむかついたので胸を揉んでやった。
「まぁ・・・。俺の息子としては、よくはないが。」
こいつの幸せそうな寝顔が見れたなら、明日に備えて、もう寝るかと思えてしまった。
どうも、わんだーふぉれすとです。
次話で2部も終わりとなります。
よければぜひ次までお付き合いを。




