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釣り場であった怖い話集  作者: 小峠 通


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5/5

事件

 ある釣り場で、陽が沈んでから釣りをしていた。その釣り場は絶壁になっていて、潮の流れも速い。

 太刀魚狙いだったので、陽が沈んでからが本番というところだった。


 釣りの支度を整えて、さぁ釣ろうとした時、妙にやる気がなくなった。こうしたことは間々あるもので、大海原を見て、準備して、いざ釣ろうとなった段階で、もう気が済んでしまうのだ。


 それでも折角来たのだからと釣りを続けたが、どうも興が乗らない。二二時には帰路についていた。


 翌日の朝、ニュースで昨晩事件があったことを知る。場所は例の釣り場だ。時間は零時頃だったと記憶している。


 後に聞いた噂だが、釣り場? だか釣りのやり方? だかで喧嘩になった果てのことらしい。


 今現在のところ、正直この件が一番肝が冷えた。たかだか釣りのことでそこまでするのか、と。そういう釣り人もいるのかと。あのままあそこで釣りをしていたらどうなっていたのか、と。

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