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『盾』役者の生活  作者: 愉魅夢
二ーフ村のグロップ孤児院
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6話 森での魔法模倣生活

「あ〜涼しい〜」


レードに渡した扇風機から風が出ている。

扇風機と言っても羽根が有る訳ではなく竹で輪を作りその表面で空間を循環させてその勢いで風を起こしている。形状的には台孫ダイソン扇風機だ。

あの後いろいろ試ししてみたが、結局、そよ風程度にしか風は出せなかった。


「一休みしたところで、レードは引き続き、火球の練習をしていて。」


今日も『分割デバイディング抉開器ドライバー』で作った空間で魔法の練習だ。


俺は風魔法の再現はとりあえず置いておいて、水魔法を再現してみようか。

確か、『テッカ』や『ミテル』は空気中の水分を集める魔法だったな。


まずは空間を囲い徐々に縮めてゆく。ある程度縮むと熱を帯びてくるのでそこは『ファイス』で冷却しながらやっていくと…


<ぴちょん>


水滴ができる。


「シルド~。火球、10発連続して当てられるようになったよ~。」


何度か火球を投擲させてるうちに操術コントロールで100%の着弾率になっていた。


「じゃあレード、次は水魔法をやってみようか。」

「うん、で、どうやるの?」

「まずは魔力感知だ。僕の手のひらに水があるだろう。まずは目をつむって水の魔力を感じてみてよ。」


本来はこれに1年くらいかかってしまうのだが俺には裏技がある。さっき水を集める際に水分子に俺の魔力をまとわしておいたのだ。

洗礼後は毎晩、魔力感知ゲーム(出典:フルタ=ヒロ著『魔力感知の鍛え方』)をしていたので、レードは俺の魔力はしっかり識別できるようになっている。


「あっシルドの魔力感じるよ。」

「そう、その中に別の魔力があるのわかる?」

「……あっわかった!この青い魔力だね。」


一般的に、魔力感知は五感とは別の第六感的に感じるものだ。その感覚をイメージとして色表現するのが古くからの魔法の表現方法だ。

えーと……自分はなぜか魔力を視覚情報としてとらえている。第六感的には感じられるが細かい認識は視力に頼っている。過去にはフィーン王国の初代コーフィン公爵がこのスキルを持っていたとされる伝承が残っている。


「じゃあ、この水を発散させるよ。『ヒート』」


水は熱を加えると蒸発するが、それだけでは足りないので、空間拡張で気圧を下げて強制的に蒸発させる。


「青い魔力で蒸発した水を捕まえて集めてみてよ。まずは『テッカ』で1滴ずつ」

「うん、やってみる。『テッカ』!」


魔法名とともに青魔力は広がるが、水分子を捕まえるには至らない。


「今なら僕の魔力も水分子は纏っているから捕まえやすいはずだよ。」

「シルドの魔力はわかるんだけど…うまく捕まえられないよ。」

「そーだな。捕まえるんじゃなくて、僕の魔力に包まれている中身に『集まれ』と指示してみたらどうかな」


某ゲームに出てくる引民ピクミンを集めるイメージだ。


「うん、やってみる。『テッカ』…」

「そのまま続けてみて…」


さてその間に俺は土魔法の再現だ。


まずは『ツブト』だ。

小石を打ち出す魔法だが、俺に固体の操術は使えない。

だが、小石は落ちるのだ。つまり物体は場に沿って動くわけで…


空間=力場と考えれば俺の魔法でも可能じゃないかな?

よし、やってみよう


地面の小石に対し斜めに仮想筒を展開。

その仮想筒の中を『落ちる』ように力場を作ると…


<ツーー、ポトン>


1Gの加速度ではだめだったか。仮想筒を出たと思ったら小石は落ちてしまった。

えっと、仮想筒約20㎝に対して重力加速度9.8m/(秒の2条)... 概算10でいいや。この時に筒を通過した場合の速度は

(2倍の距離×加速度)の平方根

…2m/s

時速60㎞/hまで加速させるとなると 分速1㎞/m。秒速約17m/sで、ここから逆に距離を割り出すと

(速度の2条)/(加速度の2倍)

…約14.5m

70倍以上の距離、もしくは加速度が必要ということだ。


よし!、再度挑戦だ。


地面の小石に対し斜めに仮想筒を展開。

仮想筒の中を伸長すると空気が吸い込まれるのでここは加速度側を変化させよう。

その仮想筒の中を『落ちる』ように100倍の力場を作ると…


<シュボッ!><バンッ!>


小石は『分割デバイディング抉開器ドライバー』で作った障壁に当たって砕け散った。


「成功だ。」


だがちょっと待て。


仮想筒は砂粒…というより空気を吐き出し続けている。……仮想筒はいったん解除だ。


次に考察である。


仮想筒内は、100Gの加速度がかかっている。したがって打ち出し時、秒速は20m/sで時速70km/hを超える。

もちろん空気も質量を持つので仮想筒内に入った空気は小石同様の速度となるが、空気が放出されるということは周りからはどんどん空気が吸い込まれる事になりその量は放出量と同等である。

今回の仮想筒は重力場のみを設定したので空気は出入り自由だが、これを空気も遮断してみてはどうだろうか?


さて、実験してみよう。


収納から竹筒を取り出す。

これは井戸の吸い込み用パイプとして用意されているものを分けてもらったものだ。

手押しポンプはそうそう壊れないが、パイプは常に水に浸かっているのですぐ錆てしまう。そのために竹で代用しているのだ。


竹筒の径9cmに対して40㎝の長さ。ここに10Gの加速度で落ちるように力場を作成。単純計算では、秒速9m/sでの吹き出しとなるのだが…

だんだん…だんだん噴き出す風が強くなり…


<ビュン!><パキン!>


竹筒は手で持つことができず飛んで行き障壁に当たって砕け散った。


ここで種明かしだ。

竹筒から秒速9m/sで空気を噴き出すということは、同じスピードで空気を吸い込んでいるということだ。

つまりは竹筒へ入った時点で秒速9m/sの初速度がありそれが吐き出される時点で秒速18m/sの速度。文字通り加速度的にスピードが上がってゆくというものだ。


「シルド。さっきのは何? 石が飛んで行ったから『ツブト』の練習かと思ったら、次は竹筒が飛んで行ったし。」

「いや、『ツブト』を参考に風魔法を試してみたんだよ。」

「えっ? 風と土って魔法的には反対のものじゃなかったっけ?」


初代コーフィン公爵が魔法理論の再構築をし、それをフルタ=ヒロに編纂してもらい『魔力はシームレスに変化し相克などは起こらない』と書籍にしたためていたのだが、一般には広まらず、『「水⇔火」「風⇔土」は相反するもの』という考えがいまだに根強く残っている。談話室の絵本や遊戯の勝ち負けはそれを元にしているから仕方のないことだが。


話を戻そう。


「僕の闇魔法は『何もない所にポケットを作る力』って言ったよね。」

「うん」

「僕はそのポケットに手を突っ込んで出し入れしたけど、勝手に吸い込まれるように横にポケットを作ったらどうなる?」

「吸い込まれる?」

「そう。で、吸い込まれるっていうことは、勢いがつくよね。勢いがついたままでポケットをなくすと?」

「飛んでいく。」

「それが先にやった『ツブト』だよ。」


多少原理は違うが、わかりやすく説明してみた。


「シルドすご~い!」

「『ツブト』で石が飛んでいくと同時に、空気も吸い込まれたから今度は竹筒を使って空気だけ吸い込まれるようにしたら、吸い込む力と吐き出す力で竹筒が飛んで行ったっていうわけだ。それよりも『テッカ』の練習は終わった?」

「できるようになったよ。みんな集まれ~『テッカ』」


レードの手のひらに水滴ができた。


「それにね、もっと集まれ~『ミテル』」


レードの手にあふれるほどの水が集まった。

レードは天才だ。

この短時間で『テッカ』『ミテル』を使えるようになっていた。


「よーし。今日はここまでで、帰ろうか。」

「え~これからなのに~」

「レードも今日は頑張りすぎたようだぞ。僕もレードもこれ以上魔力使ったら、昼には帰れなくなるよ。」


レードの魔力量は俺の眼は目視できる。もちろん自分の魔力量は把握できているし。


「レードは自分の魔力量は把握できていないの。」

「まだよくわかんないよ」

「じゃあ明日からは、魔力量把握も課題にしよう。」

「攻撃魔法以外の勉強はやだな~」

「でもそれをしないとぶっ倒れるまで魔法を放った後、僕がおぶって家に帰ることになるんだよ。」


[…それもいいかも]


「なんか言ったか?」

「何も言ってないよ。さあ、帰ろ!」


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