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第11話「クラス委員長」


 

 ガヤガヤ、何やら教室の中が騒がしい。

 一体どうしたのかな?

 私は気にするように入ったが、錐音は興味なさそうに座席へ向かった。

 どうやらある一人の生徒がみんなを集めてるようだ。

 一人のところに集中して、みんなが囲んでる。

「皆さん聞いてください。私は昨日の夜中、星波陽菜さんと浜川錐音さんが知らない民家からこっそり出ていくところを見ました」

「えっ、それほんと?」

「ただの見間違いじゃないの?」

「知らない民家っていってるけど、もしかして、知り合いの家から出てきたとかじゃないのか?」

 いろいろな考えがみんなから出てくる。

 えっ、ちょっと待って。

 もしかして昨日のことを見られたとか?

 これはやばいかもしれない。

 もしみんなにバレたら、錐音が変な目で見られる。

 それにもしかしたら、ここにいられなくなるかもしれない。

 それは嫌だ。何とかして騒動を抑えないと。

 私が考えていると、みんなの視線が私たちに集まった。

「分かりました。なら、本人たちに聞いてみましょう。陽菜さん、錐音さん、昨日どこかに出かけていませんでしたか?」

 嘘はいけないことだが、今の生活を守るため仕方がなかった。

「出かけてないです。昨日は錐音とドラマを見てました。ねっ、錐音?」

 関係なさそうにしている錐音に同じ返答を求めた。

「ええ」

「二人でですか? 普通、誰かと遊ぶならドラマより、恋愛話とか買い物したりゲームしたりすると思いますけど」

 そこは深く突っ込まないで、といいたいところだったが、これで話題がずれてくれればいいなと思った。

「あぁ、ほら、錐音はそういったことよりテレビを見るのが好きだから」

「変わってますのね」

 何故か変な目で見られた気がする。

「あはは……」

「まぁ、それはいいとして。実は私、二人が外にいたという証拠を持ってるんです」

 彼女はポケットからあるものを取り出した。

「これなんですけど」

 手に持っていたあるものを机の上に置いた。

 それは夜に、私と錐音が映って民家から出て行く写真だった。

 薄暗くて分かりづらい写真ならよかったけど、丁寧にはっきりと映っている。

「えっと、これは…」

「間違いなく、錐音さんと陽菜さんです」

 確かにそうだ。

 でも、ここで認めてしまったら意味がない。

「でも、人違いってことも」

「人違い? これのどこか人違いに見えるんですか」

 彼女に抑えられてばかりだ。

 そろそろ話を終わらせないと先生がくるかもしれない。

 それに、このまま話を続けていくのも危険だと分かった。

 いつ、私がボロを出して話してしまうか分からない。

「それはね、う~んと」

 どうしよう、何ていって誤魔化せばいいのか。

 返す言葉に行き詰っていると、突然、関係なさそうにしていた錐音が立ち上がった。

 みんな驚くように見ている。

「分かったわ。そこまでして私たちを犯人だというのなら、確かめればいい」

「確かめればいいって、どうやってですか?」

 このままでいいのだろうか。

 確かめるといってしまったら、私たちの正体が分かってしまうかもしれない。

 錐音は何を考えているのだろう?

「あなた、名前は?」

「桃村桜です」

 桃村桜さんか、彼女とは一度も話したことがないので、どういう子か分からない。

 この機会に彼女のことを知れたらいいな。

「そう、じゃあ桜。これからずっと私たちの家に泊まりにきなさい」

「泊まりか、って、えーー!?」

 あまりの驚きに私は大きな声を出した。

 泊まり、しかも、ずっとって。

 もしかして錐音は彼女に正体をバラそうとしているのか。

 でもそうなったら、大変なことになるだろう。

「泊まりって、しかも、私たちって錐音さんと陽菜さんは一緒に住んでるんですか!?」

「ええ、そうよ。言ってなかったかしら。ねぇ、陽菜」

「ま、まぁ」

 もうどうでもよくなってきた。

 錐音に任せるしかない。

「聞いてません。そんな、錐音さんと陽菜さんが一つ屋根の下で」

 桜さんは遠い目を見てボーっとしている。

 どうしたんだろう。

 少し頬を赤く染めて、ニヤニヤしているようだ。

「桜さん?」

 私が声をかけると桜さんは目を覚ました。

「あ、いけない。ゴホンっ、分かりました。なら確かめるため、今夜泊まりにいきます。私はクラス委員長なので、生徒が深夜に出歩くというのが許せないんです。なので、しっかりと調べさせてもらいます」

 さっきの表情と違い、クラス委員長らしいキリッと真面目な顔になった。

 見た目では、とても可愛く、ふんわり優しそうな感じをしているのに、実際は厳しそうで少し別の世界に行ってしまう子だ。

「楽しみにしてるわ」

 そして錐音は嬉しそうな感じをしている。

 このままどうなってしまうのだろう。

 桜さんがずっと泊まるとなると、もちろん、夜中の仕事はいけなくなるはずだ。

 本当に錐音はこのままでいいのか。

 私は別にいいが、また一人家に増えることになるので、家族に説明するのが問題であった。

 


すみません、前あった11話は話の展開で続かなかったので削除し、新しく別の11話を書きました。

次回はたぶん甘いお話になるかと思います。

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