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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第307話 「選択を与える者」

夜の空気が、張り詰める。


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 アルトが掴んだ“空白”。


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 だが、


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 その輪郭はまだ不安定なまま。


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# ◆空白


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「……変だな……」


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◆困惑

「重い……」


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 コイン一枚。


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 それだけで、


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 存在が“縛られている”。


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# ◆アルト


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「それが“持つ”ってことだ」


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◆一言

「自由ってのはな、制限の上にある」


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# ◆空白


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 初めて、


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 理解しかける。


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 だが――


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# ◆反発


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「……いらない」


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◆一言

「そんなの」


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# ◆行動


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 コインを、


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 振り払おうとする。


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# ◆アルト


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 それを見て、


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 舌打ちする。


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◆小さく

「……チッ」


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# ◆理解


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 一時的に“定義”しても、


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 拒絶されれば消える。


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# ◆セラ


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 それを見て、


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 気づく。


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# ◆核心


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 アルトは“押し付けた”。


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 だから、


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 拒否された。


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# ◆セラ


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 ゆっくりと前に出る。


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# ◆少年


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「おい、まだ――」


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# ◆セラ


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「大丈夫」


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◆一言

「今度は、違うから」


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# ◆対面


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 空白と、


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 セラ。


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# ◆空白


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「……君は、空っぽだね」


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◆続き

「さっきよりも」


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# ◆セラ


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 少しだけ笑う。


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◆一言

「うん」


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◆続き

「だから、できる」


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# ◆空白


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「……なにを?」


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# ◆セラ


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 手を伸ばす。


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 でも、


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 掴まない。


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# ◆一言


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「選ばせる」


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# ◆空白


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「……は?」


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# ◆核心


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「あなたに」


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◆続き

「“持つかどうか”を」


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# ◆違い


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 強制じゃない。


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 押し付けない。


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 ただ――


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◆提示


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 可能性を置く。


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# ◆セラ


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 手のひらに、


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 光が生まれる。


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 小さな、


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 “物語の欠片”。


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# ◆一言


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「これ、どうする?」


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# ◆空白


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 動きが止まる。


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◆初めての反応

「……選ぶ……?」


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# ◆理解不能


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 今まで、


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 そんな概念はなかった。


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# ◆セラ


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「持たなくてもいい」


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◆続き

「消してもいい」


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◆一言

「でも――」


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◆核心

「選んで」


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# ◆沈黙


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 長い、


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 沈黙。


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# ◆空白


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 手を見る。


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 セラを見る。


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 そして――


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# ◆選択


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 ゆっくりと、


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 手を伸ばす。


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# ◆接触


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 光に、


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 触れる。


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# ◆瞬間


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 “意味”が、


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 生まれる。


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# ◆衝撃


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 空白の輪郭が、


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 揺れる。


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# ◆空白


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「……これ……」


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◆小さく

「重い……」


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# ◆セラ


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「うん」


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◆一言

「それが“生きる”ってこと」


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# ◆変化


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 空白に、


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 “選択”が宿る。


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# ◆アルト


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 それを見て、


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 少しだけ笑う。


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◆一言

「……やるじゃん」


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# ◆違い


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 アルトは“与えた”。


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 セラは“選ばせた”。


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# ◆結果


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 空白は、


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 初めて“関わる存在”になる。


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# ◆ラスト


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 無だった存在に、


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 意味が芽生える。


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# ◆最後の一文


---


 少女は、


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 “盗むことすらできない相手”に、


---


 初めて干渉した。


---


---


 選択という形で。


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