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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第294話 「返しきれないもの」

 炎が、渦を巻く。


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 二つの中心。


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 奪う力と、


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 奪い返す力。


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# ◆激突


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 セラが踏み込む。


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◆手を伸ばす


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 模倣犯の“主役”へ。


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◆発動


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 引き寄せる。


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 光が、


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 自分の方へ流れる。


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# ◆手応え


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◆セラ

「いける……!」


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# ◆だが


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 次の瞬間。


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◆反発


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 強い抵抗。


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 まるで、


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 噛み合っていない。


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# ◆模倣犯


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「……浅いな」


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◆冷笑

「それ、全部返せると思ってる?」


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# ◆理解


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 “盗まれたもの”にも、


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 深さがある。


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 表面だけじゃない。


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 積み重ね。


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 関係。


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 意味。


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# ◆セラ


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「……っ……!」


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# ◆現実


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 今のセラが掴んでいるのは、


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 ほんの一部。


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 主役の“外側”だけ。


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# ◆模倣犯


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「これはな」


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◆指で示す

「もう“俺の物語”なんだよ」


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# ◆圧


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 炎が、


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 一気に押し返す。


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# ◆崩れ


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 セラの光が、


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 弾かれる。


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◆セラ

「……っ!!」


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# ◆一撃


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 模倣犯が踏み込む。


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◆速い


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 見えない。


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◆直撃


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 腹部に衝撃。


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# ◆吹き飛び


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 壁に叩きつけられる。


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 呼吸が止まる。


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# ◆倒れる


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 立てない。


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◆セラ

「……なんで……」


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# ◆模倣犯


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「簡単だろ」


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◆冷たく

「お前、“まだ主役じゃない”」


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# ◆否定


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 その言葉が、


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 深く刺さる。


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# ◆セラ


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 悔しい。


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 怖い。


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 でも――


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◆気づく


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 さっきの感触。


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 確かに、


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 奪えたものがあった。


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# ◆理解


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 全部じゃない。


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 でも、


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 “ゼロじゃない”。


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# ◆模倣犯


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「終わりだ」


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◆手を上げる

「これ以上、無駄に伸びても困るしな」


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# ◆危機


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 炎が収束する。


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 トドメ。


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# ◆その瞬間


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 横から、


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 何かが割り込む。


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◆衝撃


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 炎が弾かれる。


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# ◆少年


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「そこまでだ」


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# ◆登場


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 黒いコートの少年。


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 無表情で、


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 模倣犯を見ている。


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# ◆模倣犯


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「……誰だよお前」


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# ◆少年


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「ただの観測者だ」


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◆一歩

「……今はな」


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# ◆圧


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 空気が変わる。


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 さっきとは別の、


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 “冷たい強さ”。


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# ◆模倣犯


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 少しだけ、


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 距離を取る。


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◆判断

「……めんどくさいな」


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# ◆撤退


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 炎が収束し、


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 影が溶ける。


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◆最後の一言


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「次は、全部奪う」


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 消える。


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# ◆静寂


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 炎だけが残る。


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# ◆セラ


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 その場に座り込む。


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◆小さく

「……負けた……」


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# ◆少年


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 近づく。


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◆一言

「いや」


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◆否定

「“始まった”だけだ」


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# ◆セラ


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「……でも……」


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◆悔しさ

「返せなかった……」


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# ◆少年


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「当たり前だ」


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◆核心

「主役ってのはな」


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◆一言

「一回じゃ取り戻せない」


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# ◆理解


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 奪われたものは、


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 積み重ね。


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 なら、


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 取り戻すのも積み重ね。


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# ◆セラ


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 ゆっくりと、


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 顔を上げる。


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◆決意

「……取り返す」


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◆一言

「全部」


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# ◆少年


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 わずかに笑う。


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◆呟き

「いい顔だ」


--


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 遠く。


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 別の場所。


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◆気配


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 また一つ、


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 “主役が奪われる”。


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# ◆最後の一文


---


 この世界には、


---


 まだ“奪われた物語”が無数にある。


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---


 そして――


---


 それを取り返す者が、動き出した。


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---


――続く。


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