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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第288話「視線を盗む」

 止まっていた時間が、


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 わずかに動く。


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# ◆観客の違和感


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◆観客

『……なぜだ』


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◆別の声

『飛ばしたはずだ』


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◆別の声

『そこは不要な場面だった』


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# ◆アルト


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 ゆっくりと、


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 顔を上げる。


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◆アルト

「……勝手に決めんな」


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# ◆歩く


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 一歩。


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 また一歩。


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 止められていたはずなのに、


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 進んでくる。


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# ◆ファントム


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「……アルト?」


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◆無終

「……違う」


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◆気づき

「見られてる」


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# ◆核心


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 観客が、


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 アルトを見ている。


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 視線が集まる。


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 注目が、


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 中心になる。


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# ◆アルトの変化


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 その瞬間。


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 アルトの輪郭が、


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 少しだけ光る。


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◆ファントム

「まさか……」


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# ◆能力


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 盗む対象は、


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 物だけじゃない。


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 記憶でも、


 未来でもない。


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◆新しい盗み


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「視線」


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# ◆アルト


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「見てるなら」


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◆笑う

「もらうぞ」


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# ◆発動


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 観客たちの“注目”が、


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 アルトへ流れ込む。


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 興味。


 関心。


 期待。


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 すべてが力になる。


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# ◆観客の動揺


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『……ありえない』


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『視線を奪った……?』


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# ◆無終


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「……観測を盗むのか」


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# ◆ファントム


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「そんなことまで……」


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# ◆アルト


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「俺は怪盗だ」


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◆一言

「見てるもんは全部、盗める」


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# ◆逆転


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 読み飛ばしの力が、


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 効かなくなる。


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 観客が見るほど、


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 アルトは存在を強める。


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# ◆観客


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『なら……見るな』


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# ◆異変


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 観客席の視線が、


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 一斉に外れる。


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 誰も、


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 アルトを見なくなる。


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# ◆消失の危機


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 光が弱まる。


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 存在が、


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 薄れる。


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◆ファントム

「アルト!!」


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# ◆静寂


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 世界から、


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 関心が消える。


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# ◆アルト


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 薄れながら、


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 それでも笑う。


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◆アルト

「……なるほどな」


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# ◆理解


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「見られなきゃ消える」


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◆続き

「なら――」


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# ◆視線の返し


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 アルトが、


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 観客席を見上げる。


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 まっすぐに。


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◆一言


「こっち見ろよ」


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# ◆衝撃


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 その瞬間。


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 観客席が、


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 一斉にざわめく。


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◆観客

『……!?』


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# ◆理由


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 初めて。


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 物語の中の存在が、


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 “観客を見返した”。


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# ◆逆転


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 見る側が、


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 見られる側になる。


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# ◆恐怖


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 観客に、


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 初めて感情が走る。


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 戸惑い。


 動揺。


 恐れ。


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# ◆アルト


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「今度は――」


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◆笑う

「そっちの番だ」


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 観客席の最奥。


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 誰よりも高い位置で、


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 一人だけ動かない影がある。


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◆その存在


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『……面白い』


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◆低い声

『なら、私が見る』


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# ◆ラスト


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 “観客の中心”。


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 今まで黙っていた、


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 本当の存在が立ち上がる。


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◆最後の一文


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 怪盗は、


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 ついに“最初の読者”と向き合う。


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---


――続く。


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