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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第279話「盗みのその先」

風が、吹く。


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 あの戦いから、


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 どれくらい経ったのかは分からない。


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◆世界


 だが一つだけ、確かなことがある。


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 世界は、


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 “変わった”。


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◆現象


 人々は、


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 時に選び、


 時に迷い、


 時に“終わらない”。


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 物語は、


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 以前よりも複雑に、


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 そして自由に動いていた。


---


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◆アルト


「……悪くないな」


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 街を歩きながら、


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 軽く呟く。


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◆ファントム


「ええ」


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 隣で、


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 変わらぬ冷静な声。


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「少なくとも、“決められるだけの世界”よりはね」


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◆無終


「……まだ慣れないけどな」


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 少し後ろで、


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 空を見上げている。


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◆三人


 あの戦いを経て、


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 関係は変わった。


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 共闘者から、


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 “同じ側の存在”へ。


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# ◆違和感


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 その時。


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 アルトが、立ち止まる。


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◆アルト


「……おい」


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◆ファントム


「気づいた?」


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◆無終


「……ああ」


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# ◆異常


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 空の一部が、


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 “書かれていない”。


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 空白。


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 色も、形も、意味もない。


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◆アルト


「……なんだ、あれ」


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# ◆接近


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 三人が近づく。


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◆空間


 触れようとした瞬間、


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 “声”が響く。


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# ◆新たな存在


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『――触れるな』


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◆停止


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◆ファントム


「……誰?」


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◆声


『ここは、まだ“未公開”だ』


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◆アルト


「は?」


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# ◆理解不能


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◆無終


「……未公開?」


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# ◆出現


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 空白の中から、


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 一人の人物が現れる。


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 白い外套。


 黒い瞳。


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 だがその存在は――


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 どこか“違う”。


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◆異質


 観測者でもない。


 創造存在でもない。


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 もっと、


---


 “現実寄り”。


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# ◆名乗り


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◆その人物


「……私は、“編集者”だ」


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# ◆衝撃


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◆ファントム


「……編集……?」


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◆アルト


 少し笑う。


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「今度は裏方かよ」


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# ◆役割


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◆編集者


「物語は、書くだけでは成立しない」


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◆説明


「整理し、削り、整える」


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◆核心


「それが、私の役割だ」


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# ◆対立の予感


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◆アルト


「つまり?」


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◆編集者


「お前たちのような“自由すぎる存在”は――」


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◆断言


「修正対象だ」


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# ◆新たな敵


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 創造でも、


 観測でも、


 管理でもない。


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 “調整”。


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# ◆アルト


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「……いいじゃねえか」


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◆笑う


「今度はそっちか」


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# ◆ファントム


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「終わりじゃないわね」


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# ◆無終


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「……むしろ始まりだ」


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 空白の領域が、


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 ゆっくりと広がる。


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 そこには、


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 まだ誰も知らない物語が眠っている。


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---


◆最後の一文


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 そして、


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 怪盗は――


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 “未完成の物語”へと手を伸ばす。


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