第263話「終わりを拒むもの」
影が、形を持つ。
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路地の奥。
歪んだ空間の裂け目から、
“それ”は滲み出るように現れた。
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黒でもない。
白でもない。
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色が“定まらない”。
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輪郭も曖昧で、
見ていると、視点がずれる。
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◆存在
「……来たわね」
ファントムが、静かに言う。
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◆アルト
「見たことねえタイプだな」
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◆男(依頼人)
「……あれは……?」
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◆答え
ファントムが、一歩前に出る。
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「“終わりを拒むもの”」
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一拍。
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「この世界を維持してる側の存在よ」
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◆理解
アルトが軽く舌打ちする。
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「つまり、こいつをどうにかしねえと――」
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◆ファントム
「終わりには辿り着けない」
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◆敵の反応
“それ”が、こちらを向く。
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顔はない。
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だが、
確実に“認識された”。
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◆声
『終端、検出』
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空気が重くなる。
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『排除対象、指定』
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◆圧
空間が、押し潰される。
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“終わらない世界”の中で、
唯一、“終わり”に近づく存在。
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それが――
敵として認識された。
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◆アルト
「上等だ」
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前に出る。
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「守ってるもんがあるなら――」
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◆宣言
「盗むだけだ」
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# ◆戦闘開始
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“それ”が動く。
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速い。
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いや――
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速さではない。
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“過程が存在しない”。
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◆現象
気づいた時には、
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アルトの目の前にいた。
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◆攻撃
腕のようなものが振り下ろされる。
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◆アルト
「っ!」
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反射で避ける。
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だが――
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◆異常
避けたはずの攻撃が、
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“当たっている”。
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◆衝撃
「ぐっ……!」
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身体が吹き飛ぶ。
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◆理解
「……何だ今の……」
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◆ファントム
「因果がズレてる!」
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一瞬で分析する。
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「“終わりが存在しない”せいで――」
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◆核心
「結果だけが先に来る!」
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◆アルト
「はあ!?」
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◆説明
「普通は“攻撃→当たる”でしょ?」
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「でもこいつは――」
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◆異常構造
「“当たる”が先に成立する!」
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◆アルト
「ふざけたルールだな……!」
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◆再襲撃
“それ”が再び動く。
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いや――
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すでに、結果が発生している。
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◆アルト
横に跳ぶ。
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だが、
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胸に衝撃が走る。
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「っ……!」
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◆ファントム
「アルト!」
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◆対策思考
ファントムの思考が加速する。
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「原因を追うな」
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「結果を読む」
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◆ゆっくり
「“当たる結果”がどこに出るかを先に見て」
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◆アルト
「未来予測かよ……!」
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◆ファントム
「違う!」
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一拍。
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◆核心
「“終わりの位置”を読むのよ!」
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◆理解
アルトの目が、変わる。
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◆視認
空間に、薄い“点”が見える。
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そこに立てば、
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“ダメージを受ける未来が確定している点”。
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◆アルト
「……見えた」
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◆回避
その点を避けるように動く。
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◆結果
今度は、当たらない。
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◆成功
「なるほどな」
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◆反撃
アルトが一気に距離を詰める。
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「じゃあ――」
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◆狙い
「こっちから“終わり”を作ればいい」
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◆突撃
短剣を構え、
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“それ”へ突っ込む。
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◆敵の反応
『無意味』
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◆アルト
「知ってる」
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◆核心
「だから、意味を作る」
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◆接触
短剣が、“それ”に触れる。
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◆定義付与
「これは――」
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◆宣言
「“終わる攻撃”だ」
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◆書き込み
その瞬間、
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攻撃に“終わり”が付与される。
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◆結果
“それ”の一部が、
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崩れる。
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◆初ダメージ
『……異常……』
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◆ファントム
「効いてる!」
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◆アルト
笑う。
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「だろ?」
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◆理解
「終わりがないなら――」
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◆核心
「こっちで作ればいい」
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# ◆敵の進化
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“それ”が、揺れる。
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『適応、開始』
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◆変化
空間が、さらに歪む。
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“終わりの点”が、
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無数に増える。
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◆アルト
「おいおい……」
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◆ファントム
「……来るわよ、本番」
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“終わりを拒むもの”は、
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ただ守っているだけではない。
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“終わりそのものを消す力”を持っている。
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もしそれを使われれば――
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アルトたちの攻撃も、
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存在そのものも、
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“終わらない=成立しない”状態にされる。
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◆ラスト
“それ”が、静かに言う。
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『終端、削除』
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その言葉と同時に――
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アルトの身体が、
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一瞬だけ“存在しなかったこと”になる。
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◆アルト
「……は?」
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◆ファントム
「……最悪ね」
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戦いは、
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“終わりを奪う”段階から――
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“終わりを守る戦い”へと変わる。
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