前衛へのアプローチは人それぞれ
やっと出番もらえました。今日はワタシ、「(〱^o^)<カナチャン」の担当です。
あまりにも「ふつうふつう」と連呼するものですから、せみころーんせんせいさんが「これでも聴いて」としぶしぶ試聴品CD-Rを差し出してくれました。音源を買って、ワタシのために焼いてくれたんです。
きょうは、何故か日本ではほとんど演奏されることのない作曲家、Jimmy López Bellidoのオーケストラ作品を取り上げてみようと思います。
この、Jimmy López Bellidoさん。かつては、Jimmy Lópezでデビューしたんだそうです。
この作曲家への語り部の評価はまちまちでした。
すらあっーしゅせんせいさんは、あんまりいい顔しませんでした。
「彡/(゜)(゜)<前衛を通過してなんやあいつ!通俗になってオーケストラ作品でぐっと親しみやすい音楽になってもうたんやっ!」
ここで、ふつうのすらあっーしゅせんせいさんは、怒り狂ってCDを叩き割るとか、そういうはずです。
しかしです。
「彡/(゜)(゜)<前衛を通過し、見事にプロ作曲家として一級品なので許す」
と、条件付きでセーフ、というのです。
なんだかおかしいなと思います。
ころーんせんせいさんにもききました。
「(゜~゜:)<まあ『転向』なんだよね。けれども、彼は実は転向していないという評価だってあるし、立派に作曲家なんだからいいんじゃないかなあ」
そばにたまたませみころーんせんせいさんがいましたが「(。・_・。;)<むすー」としてました。
エリプシ様だったらどうなるんでしょうか。
「(๑╹◡╹๑ …)<これはね、音楽と伴侶への愛に目覚めたからなんだ」
とわけのわからない回答をしました。
「(๑╹◡╹๑ …)<プロフィールを読み直してご覧」
でおしまいです。
よくわかりませんが、なんとなーく見当がつきました。
そうです、なろうの読者さんにも、気がついてくださっている方はいるはずです。本当は彼は前衛作曲家だったのです。
ヘルシンキで研鑽を積んでいるとき、一切の作曲賞のグランプリが手に入らず、なんとかつかめたものは入野賞の佳作だけという不遇の時期を過ごされました。
ところが、アメリカ・カリフォルニアに渡りドイツ・ダルムシュタットで鍛えられ、モートン・グールド作曲賞にまで昇格。ここまでなら誰も何も言いません。
ダルムシュタットの賞は手に入りやすくなったと言っても、受賞当時ですら競争倍率は80倍です。普通の人には絶対に手に入らないタイトルですが、彼が挑戦した年は運が良く3人も同着授与でした。
「(๑╹◡╹๑ …)<あぶないところだった」
そしたら、彼は結婚後作風を急に前衛から通俗に変え、オーケストラ作品の絶賛を受けて作品を定期的に出版しています。ここまでの勝ち組にまでいきなり上り詰めたのです。
どうしてこうなったのか聴いてみましょう。通俗ってのが差別用語だという批判をもらいましたので、写実という言葉に変えます。
「(。・_・。;)<むっすー」
ヴァイオリン協奏曲 Aurora
題名からして「写実」転向を強烈にアピールしている。かといって、アメリカンアカデミズムの枠内で処理するにはあまりにも不協和音が多すぎで、なんだこれとおもってるとしっかりと協和音程が出てくる。「前衛」と「写実」の両方のパレットを自在に動き続けるため、お客さんは飽きることは一切ないだろう。
ただし、写実転向した代償も若干は感じられ、ヴァイオリンはいつも先導メロディーである。しかし、ミカエル・ジャレルも近年のヴァイオリン協奏曲のソロパートは見事なまでに先導メロディーなので、前衛と写実との間に隔たりなんか最初からなかったのかもしれない。
無駄な音は一切なく、どの瞬間もよく聞こえる。とても良く聞こえるために、通常の形式感にすっぽりと収まるのがせみころーんせんせいさんを不機嫌にさせたのかもしれない。
交響曲第二番 Ad Astra
宇宙船と地球の交信を打楽器パートでそのまんま模倣しており、お客さんに嬉しい展開。
「(。・_・。;)<むかー」
せみころーんせんせいさんはこのイントロが気に食わないとか言ってるけど、ワタシはきれいな音だと思ったし何が悪いのか教えてくれなかった。
増3和音を縦に積み上げてじゃあああぁんとやると、アメリカの1980年代のテレビドラマのように聞こえるが、音色はすごくきれいでアメリカに渡られてからとてもよく勉強されたんだと思います。
前衛畑の作曲家はオーケストラレーションが下手というのがついて回っているものの、これは全くそんなことはなく、全楽器躍動といっても差し支えない。管弦楽のための協奏曲というべき作品。
エリプシ様は「(๑╹◡╹๑ …)<吹奏楽に転向すれば、また2倍株が上がる!」って言ってるけど、ほんとに転向して株を上げるんじゃないだろうか。びっくりするほどストレートな作品。
いくらせみころーんせんせいさんが「(。・_・。;)<むかー」といったところで、第三楽章のHubbleは前衛音楽を知らなければ絶対に描けない譜面になっており、才能の幅が広い。こうまでスペクトラル音楽のファウスト・ロミテッリをエンタメに仕立て上げる能力を持つ日本の作曲家はいないし、アジアにもいないに違いない。
第5楽章は怒涛の協和音連発で、さすがのせみころーんせんせいも「(。・_・。;)<なんだよ!三和音三和音!むっかーーーーーーっ!」といってskypeのスイッチを切って帰ってしまいました。
んー。
三和音でもいいじゃないですか。
今の作曲家は前衛か後衛かと言った次元では動いていないんです。
やはりやたらとポップに転じるアルベルト・コッラさんよりかはシリアスに聞こえましたし、彼もそれはわかってやっているわけです。
多芸多才という言葉がふさわしい作曲家だと思います。吹奏楽とか書いてくれたら日本の高校生も喜ぶんじゃないかなーと思います。
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