龍狂想曲(アンドラゴカプリチオ)
「すまん、分からん!超龍拳!《ただのアッパー》」
ドボコォーン
超龍の強烈な拳の一撃により、顎を捉えられ空中高くに打ち上げられたニーズヘッグは、一瞬記憶を失う。
しかし流石は邪神龍、空中で何とか意識を取り戻し翼を拡げて勢いを殺し何とか踏みとどまった。
「なんだとおおおぉぉ!あり得んあり得んではないか!…私を忘れるなど!それに先ほどの攻撃で貴様の身体に内包されているエネルギーの核らしき物を貫いたのだ!あれが貴様の異常な強さの秘密のはずだ…なぜ?なぜそんな力が」
超龍は、まだ口から血を流していて胸の辺りを押さえながら
「ん?ああ、あれか何かこの前変なもの食ってから調子が悪くてな…お陰でスッキリ爽やかだ」
そう、超龍は本調子ではなかった…それはトーチ軍の七つの大罪の1人である強欲のグリードを龍圧殺して食べた事が原因だった…グリードは驚異的な生命力で超龍の身体の中で生き残り、どうにかして超龍の身体を弱らせて乗っ取ろうと画策していたのだ。
それを超龍の身体に内包された強さの秘密であると勘違いしたニーズヘッグの暗黒邪神龍終幕爪に寄り貫かれ完全に息の根を止められたのだ。
「今なら、この技が使える…」
目を閉じて大きく息を吸い、そして止める。
「超技・龍狂想曲」
そう叫んで、両手の金の剣を下から上へ振り上げると大地から百匹以上もの光、火、土、水、雷、闇属性の荒れ狂う龍達が姿を表した!
まるで王墓に眠る代々の王達が龍に姿を変えて、墓を荒らす二人を食い殺さんとしているかの様だった。
その内の一匹が超龍へと襲いかかる
「落ち着け!」
ゲシッと超龍が軽く蹴り返すと、龍はピラミッドへと吹き飛ばされピクピクと震えて息絶えた…一瞬静かになる龍達。
「お前たちの獲物はあれだ!」
超龍が金色の剣の片方で邪神龍ニーズヘッグの方を指す。
「さあ踊り狂えっ!」
百匹以上もの龍達が超龍の操る金色の二振りの剣によって操られ一斉に邪神龍へと襲いかかる!
「くそ、止めろ、うおおおおおおおぉ」
必死に抵抗する邪神龍だったが、やがて腕を足を龍達に食らわれ力を失い、数多の龍達に覆われて見えなくなり叫び声も姿も消した。
そして龍達が消えると金色の角だけが一本、空から降ってきた。
超龍がそれを受け止めて呟く
「しまった…やり過ぎたか…」
その直後、角からボコボコとヒュドーの肉体か再生されていくではないか!
そう、ヒュドーは龍人の中でも特異種とされるヒュドラの龍人であった、その再生能力は凄まじく金色の角の部分さえ有れば、どんな状態からでも再生出来る。
しかし、超龍の両手に抱き抱える様にされている、復活したヒュドーの容姿は五歳にも満たない少年の様だった…
いくら肉体は再生出来たとしても、ニーズヘッグに精神を乗っ取られていたとは言え、自らの手で両親を殺めてしまった事、逆恨みで兄の様に慕っていた憧れの超龍を憎み続けていた記憶を角と共に取り戻してしまった事には精神が耐えられず、ショックを受けて幼児退行してしまったのだ。
龍人は九割はエネルギー生命体であり、その形態は本人の精神に左右される所が大きい。
そして彼が選んだのは、事件の起こるよりも更に以前へと、心と身体を巻き戻すと言う選択だった。
「ん?ここどこ?ぼくだれ?」
おじさんはだれ?記憶を失っているヒュドーの問いかけに対して超龍は
「お、おじさん…まあいい」
超龍は天を仰ぎ、どうした物かと考え込んだが、やがて
「お前は…そうだな、長い間悪い夢を見ていたんだ」
と言った。
「そうなの?ボクなにもわからない…」
金髪碧眼の金色の角を生やした全裸の龍人の子供は言った。
「そうか…なら、俺が面倒を見てやる」
超龍は鼻血を足らしながら、言うと
「うん!」
と笑顔でヒュドーだった子供が答える。
超龍の鼻血は更に量を増やした。




