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正体見たり  作者: 37373
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後書き 脚注

ホラーとは暴力だ。舞台となった場所を職掌を属性を人々に対し、物語を押し付ける暴力だ。物語とは暴力だ。他者の世界に分け入り、物語性を見出し、自分勝手に描く。暴力と呼ぶ他ない。


本作の執筆にあたり調査添削、キャッチコピー紹介文脚注作成にChatGPTを用いました。


### 参考文献・参照資料


本作の執筆にあたり、怪談・都市伝説の成立や変遷について、以下の文献・ウェブ資料を参考にした。


なお、都市伝説やインターネット怪談には明確な単一起源を確定できないものも多いため、以下では必ずしも「元ネタ」と断定せず、本文を書く際に参照した資料、および現在確認できる比較的初期の記録を挙げている。


#### ■ 題名「正体見たり」について


一般に「幽霊の正体見たり枯れ尾花」として知られる句は、横井也有の「化物の正体見たり枯尾花」が元とされる。『俳家奇人談』に也有の句として収録されている。


・国立国会図書館 レファレンス協同データベース

「『幽霊の正体みたりかれおばな』という句は、江戸時代の俳人『横井也有』の詠んだものだということだが、何という作品集に載っているのか知りたい。」

https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000083592&page=ref_view


#### ■ 現代怪異・学校怪談全般


口裂け女、カシマさん、トイレの怪談、学校の怪談など、本作で扱った現代怪異の概要や異伝を確認するため、以下を参照した。


・朝里樹『日本現代怪異事典』笠間書院、2018年。

国立国会図書館サーチ

https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1970586434870548105


・朝里樹『続・日本現代怪異事典』笠間書院、2023年。


・常光徹『学校の怪談(1)』講談社、1990年。

講談社

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000169423


・松谷みよ子『現代民話考 第2期2 学校――笑いと怪談・子供たちの銃後・学童疎開・学徒動員』立風書房、1987年。

国立国会図書館サーチ

https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001871611


・国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」

https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB/


特に「怪異・妖怪伝承データベース」は、ある怪談について一つの完成された「正解」を探すのではなく、地域・年代によって異なる語られ方を確認するために参照した。


#### ■ カシマさん/テケテケ


作中の「失われた脚を求める怪異」のモチーフ、およびカシマさんの性別・姿・名称・口裂け女などとの混同については、主として以下を参照した。


・松山ひろし『カシマさんを追う――呪いの都市伝説』アールズ出版、2004年。

国立国会図書館サーチ

https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007771700


カシマさんには、少女、女性、男性、軍人など異なる姿で語られる例があり、「カシマ」という名称の説明や質問への返答を要求する型にも複数の異伝がある。


そのため、現在よく知られている一つの固定したキャラクター像だけを、古くから一貫して存在した伝承として扱わないよう留意した。


#### ■ 犬鳴村/犬鳴峠


犬鳴村伝説の成立、実在した犬鳴地域・犬鳴谷との関係、旧犬鳴隧道周辺の心霊スポット化について、以下を参照した。


・鳥飼かおる

「犬鳴村のうわさ――『異界としての犬鳴』にまつわる一考察」

『異文化コミュニケーション論集』第12号、立教大学、2014年、167–176頁。

立教大学学術リポジトリ

https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/records/11153


また、旧犬鳴隧道付近では1988年に殺人事件が発生しており、その後の犬鳴峠の心霊スポット化を考える際の背景として参照した。


現在広く知られる、


「日本国憲法が通用しない」

「地図に載っていない」

「入口に『この先、日本国憲法は適用しません』と書かれている」

「村人が斧などを持って襲ってくる」


といった〈犬鳴村〉の具体的な設定については、1999年前後のインターネット上の投稿、および日本テレビ『特命リサーチ200X』への調査依頼として流通した文章が初期記録の一つとして確認できる。


現在は旧公式ページを直接閲覧することが難しいため、当時の投稿・転載資料をまとめた以下も参照した。


・Theつぶろ「犬鳴村・真相を考察」

https://thetuburo.com/2021/08/28/2019-12-16-141011/


なお、犬鳴谷に実際の集落・生活史が存在したことと、インターネット上で形成された「犬鳴村」という都市伝説は区別して扱った。


#### ■ トイレの怪談――赤い紙・青い紙/赤いちゃんちゃんこ/赤いマント


「赤い紙、青い紙」「赤いちゃんちゃんこ」「赤いマント」など、便所で色や衣服を選ばせる怪談には、多数の地域差・年代差が存在する。


主として以下を参照した。


・松谷みよ子『現代民話考 第2期2 学校』立風書房、1987年。

https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001871611


・国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」

https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB/


同データベースには、たとえば、


・便所で「赤い紙やろか、白い紙やろか」と問われる話

・赤を選ぶと血まみれになり、青を選ぶと首を絞められる話

・「赤いちゃんちゃんこを着せましょうか」と問われる話

・「赤いマントをかぶせましょうか」と問われる話


などが、それぞれ異なる年代・地域の事例として採録されている。


「赤い紙・青い紙」の一例

https://sekiei.nichibun.ac.jp/cgi-bin/YoukaiDB3/simsearch.cgi?ID=0970084


「赤いちゃんちゃんこ」の一例

https://sekiei.nichibun.ac.jp/cgi-bin/YoukaiDB3/simsearch.cgi?ID=2470034


また、これらとは別に、1939年の東京では「赤マント」と呼ばれる怪人の流言が社会的に広がっており、同時代資料として以下がある。


・大宅壮一

「『赤マント』社会学――活字ジャーナリズムへの抗議」

『中央公論』1939年4月号。


大宅壮一文庫「デマ・流言飛語」資料紹介

https://www.oya-bunko.or.jp/magazine/introduction/tabid/747/Default.aspx


「赤い紙・青い紙」「赤いちゃんちゃんこ」「赤マント」などは、すべてが単純に一つの怪談から直線的に派生したと断定できるものではないため、本作では、互いに影響・混同しながら変化してきた怪談群として扱った。


#### ■ 首なしライダー


首なしライダーには複数の由来説があり、単一の事件を起源と断定することは避けた。


関連するフィクションとして、1974年のオーストラリア映画『Stone』(邦題『マッドストーン』)がある。


・Sandy Harbutt, Stone, 1974.


Screen Australia

https://www.screenaustralia.gov.au/screen-guide/stone-6/


オーストラリア国立映像音響アーカイブ(NFSA)には、日本向け版「STONE – [JAPANESE AND GERMAN VERSION, 1981]」も収蔵されている。


https://pro.nfsa.gov.au/titles


同作には、走行中のバイク乗りが道路上に張られたワイヤーによって首を切断される場面があり、日本の「首なしライダー」との類似がしばしば指摘される。


また、1984年5月には東京都葛飾区の水元公園で、17歳の少年がオートバイ走行中、道路上に張られたナイロン製ロープに接触して転倒し死亡する事件が実際に起きている。


さらに同時期のテレビドラマ『私鉄沿線97分署』第8話「暴走族にグッドバイ!」には、深夜に暴走族の一人が殺され、ロープが凶器として用いられる筋立てがある。


BS11『私鉄沿線97分署』

https://www.bs11.jp/drama/97/


ただし、映画、水元公園の事件、テレビドラマのいずれか一つを「首なしライダーの起源」と断定できる資料は確認できない。


本作では、実在事件や映像作品、当時の暴走族をめぐる社会状況などが、後の怪談と結び付けて語られてきたものとして参照した。


#### ■ 口裂け女


口裂け女については、1978年末ごろから岐阜県内で噂が広がり、1979年に全国的な社会現象となったことを確認した。


当時の記録として、


・『岐阜日日新聞』1979年1月26日朝刊

・『岐阜日日新聞』1979年6月15日夕刊

「岐阜で生まれた口裂け女 騒ぎやっと下火へ」


などが確認されている。


・岐阜県図書館

「『口裂け女』が噂になった当時、岐阜新聞に口裂け女の想像図が載った記事が掲載されたはずだが、その記事が見たい。」

国立国会図書館 レファレンス協同データベース

https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/reference/show?id=1000034864&page=ref_view


口裂け女については発祥地や噂の最初の形について複数説があるため、特定の一つの出来事を「真の起源」とはしていない。


#### ■ くねくね


「くねくね」は古くからの農村伝承ではなく、インターネット上で形成された怪談である。


現在「くねくね」として広く知られる話については、2003年3月29日、2ちゃんねる・オカルト板「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?31」への投稿が重要な初期記録となっている。


投稿者は掲載前に、既存の怪談「分からないほうがいい」と自身の体験を混ぜて詳しく書いた旨を説明している。


現存する転載ログの一例

https://nazolog.com/blog-entry-1375.html


そのため、本作では「古来から田舎に伝わる妖怪」ではなく、成立過程をある程度追うことのできるインターネット怪談として扱った。


#### ■ 八尺様


八尺様については、2008年8月26日、2ちゃんねる・オカルト板「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?196」への投稿が、現在確認できる代表的な初期記録である。


異常に背の高い女性、白っぽい服、頭に何かを載せた姿、「ぽぽぽ」という声、特定の土地に封じられている怪異といった現在知られる主要要素は、このネット怪談の段階ですでに見られる。


現存する転載ログの一例

https://nazolog.com/blog-entry-1020.html


そのため八尺様についても、古来の民間伝承そのものとしてではなく、インターネット上で生まれ、その後既存の妖怪・怪談的イメージと結び付きながら広く定着した現代怪異として扱った。


#### ■ 下水道のワニ


「下水道に巨大なワニが生息している」という都市伝説は、とくにニューヨークを舞台とするアメリカの都市伝説として知られる。


参考:


・Jan Harold Brunvand, The Vanishing Hitchhiker: American Urban Legends and Their Meanings, W. W. Norton, 1981.


・Jan Harold Brunvand, Too Good to Be True: The Colossal Book of Urban Legends, W. W. Norton, 1999.


・New York State Museum

“An Alligator in the Sewer: The Evidence Behind the Urban Legend.”

https://www.nysm.nysed.gov/research-collections/state-history/news/alligator-sewer-evidence-behind-urban-legend


本作では、川や下水道など都市の水系をめぐる怪談・都市伝説の一例として参照した。


### ■ X(旧Twitter)上の「怪異の由来当て」について


本作で描いた、怪異や妖怪の「本当の正体」を現実の事件・風習・自然現象などから説明しようとするインターネット上の言説については、実際にX(旧Twitter)上で流行した投稿・議論を参考にしている。


#### 2024年6月の「科学的な由来当て」


2024年6月7日、


「山に妖怪の伝承が多いのは谷に有毒ガスが溜まりやすいから」

「『竹取物語』の火鼠の皮衣はアスベストだったのではないか」


など、「言い伝えを科学的に理由づけする」例を募集する投稿が拡散し、多数の類例や推測が寄せられた。


個々のX投稿を列挙する代わりに、当時の投稿の流れをまとめた以下を参照した。


・Togetter

「『山に妖怪の伝承が多いのは谷に有毒ガスが溜まりやすいから』みたいな言い伝えを科学的に理由付けするやつ他にない?→さまざまな話が集まる」

2024年6月8日。

https://togetter.com/li/2380059


ここで語られた説には、史料・研究に基づくものから、個人的な推測や俗説までさまざまなものが混在している。


本作では、それぞれの説の正誤そのものよりも、多様な怪異や伝承に対して「実は○○だった」という一つの説明を与えることを楽しむ語りの形式を参考にした。


#### 2025年4月の「くねくね=障碍者」説


2025年4月、X上で、


「くねくね」は、かつて障碍者をかかし代わりに田畑へ立たせていた風習を元にした怪談ではないか、


という趣旨の投稿が広く拡散した。


しかし前述のとおり、「くねくね」は2000年代初頭のインターネット上で成立過程を追うことのできる怪談であり、古い農村伝承を直接の起源とする説明とは時系列が合わない。


そのため、この説に対する批判・検証も多数投稿された。


この一連の投稿と議論については、個々のX投稿を直接列挙する代わりに、以下の記事を参照した。


・ヒヒ・ハイ

「妖怪を科学で解体 これ乱暴すぎません?〜くねくね障害者説を機に考えてみよう〜」

note、2025年4月16日。

https://note.com/highhigh_hihi/n/n4a1919114a0a


・紅藍

「怪異の解体ごっこの差別性や問題点:創作のための戦訓講義159」

note。

https://note.com/akaai5555/n/nea7d96b96b55


・根石

「2025-04-09 / たった一つの真実作る」

note、2025年4月10日。

https://note.com/n_sien_n/n/n6ba87b8a015f


これらの記事では、元となったX投稿だけでなく、それに対する反論や、同時期に流行していた「妖怪・怪異の正体を現実的な一原因に還元する」投稿群も確認できる。


なお、2024年6月の「言い伝えを科学的に理由づけする」話題と、2025年4月の「くねくね=障碍者」説をめぐる騒動は同一の出来事ではない。


本作では、この二つをはじめとするSNS上の言説に共通して見られる、


「複雑で、成立過程も異なる怪異や伝承に、一つの分かりやすい『正体』を与えること」


「推測や創作的解釈が、いつの間にか由来や史実であるかのように再流通すること」


という現象そのものを、作品のモチーフの一つとしている。


※ウェブ上の資料はいずれも執筆・確認時点の内容に基づく。投稿の削除・非公開化、サイトの移転等により、今後閲覧できなくなる可能性がある。


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