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どうすればいいんですかね?

若干ヘタレ気味の名無しさんの小話。基本ギャグ形式ですが、残酷な描写があるかもしれません。ご留意のほどを。あと、たぶん短い連載になるかと思いきや、長々ダラダラと書いてます。

私の死は、定められたものらしい。


この衝撃の事実を知ったのは、つい最近のことである。

空が青く、機嫌よく鼻歌でもうたいながら、

子どもの頃を思い出してスキップをしていたあの日。三日前のことだ。

忙しい業務が煮詰まっていて、

正味な話、そんなガキ臭いことしてる場合じゃなかったんだが、

天気が良かったからさ。

ついつい、あまりにもぽかぽか陽気、生暖かな気候であったから、

やっぱりね、

本能に従うしかなかったわけだ。

で、案の定。良い事の次は、悪い事が起きる、……ってこと。



殺らなければならないのは、あの悪名高い勇者ご一行様。


遥か彼方。

遠い世界のどこかにいるはずの、

奴らの屍を我らが主君、魔王陛下に献上しなければならなくなった。


畜生。

悪態もつきたくなるってもんだ。

こりゃ、駄目だ。人生終わった、ってね。

本当、上官の首を思いっきり〆てナマスにしてやりたかったよ。マジで。






まず、現状を説明しようか。


私は勇者討伐という、

どうしようもない絶望の左……いや、栄転することになった。

平凡な魔族の出であるこの私が、こんな名誉な命令を受ける羽目になった理由。

それは、アホな上官を怒らせたから、だ。

魔界は究極の実力社会。

上官にへいこらするのは当たり前かつ当然のことなのに、

真逆のことをする奴なんているはずがない。というかありえない。

”力”が上の、上官に逆らうなんて、万死に値する。

無論、私は若死にしたくなかったので、慌てた。

焦ったさ。

一体どういうことか。

さっぱり分からないゆえ、怒りに震える上官に詳細を訊ねると、

あろうことか。私、平凡な魔族である私が、上官の悪口を言った。

……という、しょうもない噂のせいで、

私はものの見事に人間界へ飛ばされた、という訳さ。


ふふ。

なんという不幸。

根も葉もない濡れ衣だ。一応異議を申し立てたが、

上官の真っ赤な短気ヅラと力の前にはなんら及ばず。

上官付きの副官にニヤニヤされながら、

死亡フラグつきの命令書を受け取ることとなった。

その強制執行の書類に書き殴られた私の名を見れば、

それは上官のご機嫌によって添えられたものだとよくわかる。

別名、間引き書、とも呼ばれるが。

一応、表向きは名誉の仕事なのだ。

これでも、勇者を討つ機会であるわけだし、

魔王陛下じきじきの全国民一致団結念願の至上命令でもあるわけだからね。

とはいえ、受け取る際、内心、歯噛みをした。

この仕打ち。

……いくらなんでも、むごい。

むごすぎる。

まっとうに、魔族らしく生きてきたというのに。

何がいけなかったのか……。

本当に、死ね、といわんばかりのことである。

実際、死ぬだろう。

勇者を倒さねばならない、なんて……。

平凡な私に何ができるというのか……。

あまりに酷いが、

しかし、私のような下っ端兵が抗議できるはずもなく、

はい、と。

受諾するしかなかった。


これが、現実。

しがない魔族で、下っ端兵としての。


私はその足ですごすごと実家に帰り、

慰めの言葉ひとつぐらいかけてもらえるかと思いきや、

近所になんて言い訳すればよいのだとさっさと死んで来いと罵倒され、

なけなしの道具袋を片手に家を追い出さた。

私が死んだら、名誉の戦死となり国から支給された金を使うとかなんとか。

……まったく。

ちょっと兵舎の裏にあった古びた井戸に向かって、

日頃の鬱憤を呟いていただけだというのに。

どうして、こんな惨めな思いをしなければならないのか。

世の中理不尽だと思わないか?


「はあ」


出るのはため息ばかり。

ペラ紙一枚で、人生が終わるなんて、さ。

夢にも思わなかったよ。

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