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「たくさん食べなよ。いっぱいあるから」

「はい、ありがとうございます」

「斡旋というのはな、つまり…」

「親父は話長いねん。おんなじことばっかりゆうし」

「お前らが話の腰を折るからだろう。あー、で、どこまで喋ったかな」

「なんも喋っとらんわ!」

「あー、じゃあ、最初から…」

「もうええっちゅーねん!」


分かったことは、おじさんは話を進めるのが下手だということ。

おばさんの料理はとても美味しいということ。

そして、召喚師の話になると、みんなすごく真剣になるということ。


「斡旋型の召喚師というのは、契約者としての適性はないけれども、"召致"によって聖獣を呼べる人たちのことです」

「え?」

「聖獣たちは、自分に合わない属性の人間とはマ、ナクを形成出来ません。だから…」

「陽平」

「あ…失礼しました…。一人で喋ってしまって…」

「陽平くん、詳しいんだね」

「はい!父上や兄上のような、立派な斡旋者になるのが夢なんです!」

「へぇ~」

「あっせんしゃ~」

「まあ、まずはその理屈っぽさを直さなあかんな。あいつらに嫌われるで」

「うっ…」


ルウェは、理屈っぽい人は嫌いなのかな。

(嫌いじゃないけど、いつもそうならイヤかな)

あ、起きてたんだ。

(ふぁ…。まだ眠い…)

自分は、もう大丈夫みたいだけど。

(良かったぁ…。でも、ボクはもう一眠りするね…)

うん、おやすみ。


「ルウェ~」

「え?」

「ルウェは、けいやくしゃ、なの?」

「うん。たぶん」

「へぇ~」

「おぉ、そうだ。聖獣から契りの証人は貰ったのか?」

「……?」

「なんだ、まだ貰ってないのか」

「うん」

「まあ、あとで貰うといい」

「うん。分かった」


チギリノショウニン?

何なのかな。

美味しいのかな。


「それで、斡旋者って結局何なんですか?」

「適性のある人と聖獣を結びつける人です。昔は誰でも、その身に聖獣を宿していたと言われています。でも、今、契約型の召喚師はほとんどいません。適性のない人が増えてしまったのが…」

「まあ、つまり、オレらは本来あるべき繋がりを出来るだけ復興させようとしてんねんな」

「むぅ…」

「そういえば、召致をするとき、契約がどうとか言ってましたよね。でも、斡旋者は適性がないから契約出来ないって…」

「あぁ。あんなもん適当や。毎回ゆうてること違うと思うで」

「兄上は、格好付けたいだけです」

「お前なぁ…」

「格好付け…。それと、適性があるとかないとかは、どうやって見分けるんですか?」

「企業秘密や」

「…"聖獣の目"を使って、対象者を見るんです」

「おいおい、喋んなや」

「聖獣の目?」

「あいつもゆうてた通り、望は適性があるから知らんでもええ」

「そう言われると、余計に気になります」

「はぁ…。見てみぃ…。ややこしなるやろ…」

「ふふふ。あんたと陽平を足して二で割ったらちょうど良くなるのにねぇ」

「はっはっ、確かに」


お腹を抱えて笑うおじさん。

…お兄ちゃんと陽平を足して二で割るってどういうことなんだろ?

陽平は、なぜだか少し不満そうな顔をしていて。


「ごちそうさまっ!ルウェ!外に行こうぜ!」

「え、あ、ちょっと待って」

「早く、早く!」

「祐輔、急かさないの」

「はぁい…」

「ルウェ、気にしないでゆっくり食べな」

「うん」


ほとんど残っていない肉じゃがをさらって、最後のご飯を掻き込む。


「ごちそうさまでした」

「よし、遊んどいで」

「夏月も~」

「夕飯までには帰ってくるんだよ」

「はぁい」「わかった~」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」


祐輔と夏月と一緒に外へ。

何して遊ぶのかな。

楽しみなんだぞ!



森の中を掻き分けて着いた先にあったのは、大きな木。


「俺たちの秘密基地だ」

「ひみつきち」


そう言って、二人はこちらに向き直る。


「ルウェを、ヤクゥル特殊部隊の隊員として認める!」

「みとめる!」

「これが隊員証だ!」

「たいいんしょう!」

「あ、ありがと」


渡されたのは、動物の骨を削って作られた首飾り。

平たくされた表側には、鷹の記号が彫ってあって。


「へへっ。大切にしてくれよな」

「よな」

「うん!大切にするんだぞ!」

「よし。じゃあ、今から秘密基地を案内する」

「あんない!」


クルリと後ろを振り返り、二人はそのまま木を登っていく。

の、登るの…?


「ルウェ、はやく~」

「う、うん…」

「どうした?」

「うぅ…」


高いところが怖い…なんて言えないよ…。

でも…。

そんなことを考えていると、祐輔が下りてきて。

耳の傍でヒソヒソ話をする。


「もしかして、高いところ、怖いのか?」

「う、うん…」

「そうか。じゃあ、その隊員証を握って」

「……?」

「おにいちゃん、夏月、さきにいってるね~」

「ああ。みんなにルウェのことも話しておいてくれ」

「わかった~」


スルスルと登っていく夏月。

なんか、恥ずかしいんだぞ…。

登れない自分が…。


「大丈夫。俺も、高所恐怖症だったんだ。でも今は、どこまでだって登れる」

「うん…」

「隊員証を握って、目を瞑るんだ」

「………」

「ゆっくり思い浮かべて。ヤクゥルの象徴であり、空の覇者である鷹を」


力強い羽ばたきに、鋭い眼光。

大きく翼を広げて空を舞う鷹の姿。

突き抜ける蒼は、どこまでも澄んでいて。


「空を飛んでる」

「うん」

「地面は遥か下だけど、怖いか?」

「ううん」

「ルウェも飛べるんだ。鷹と同じように」

「…うん」

「よし。目を開けて」


言われる通りに目を開ける。

すると、祐輔の真剣な顔がすぐ目の前にあって。


「………」

「行ける?」

「う、うん…」

「へへっ。じゃあ、行こうか」

「うん!」


不思議なかんじだった。

葛葉のときと同じような、でも違うような。

何なのかな…。

このかんじは。


それはきっと…何なんでしょうか?

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