↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/537

17

山を下りてすぐのところに街があった。

ここがヤクゥルなのかな。


「まずは宿やな」

「そうですね。ルウェもまだ動けないみたいですし」

「うぅ…ごめんなさい…」

「何謝ってんねん。謝ったことに謝ってほしいわ」

「…ごめんなさい」

「よっしゃ、許したろ」

「ふふふ。じゃあ、行きましょうか」

「ワゥ」


まだ歩けないけど、身体を起こすことは出来る。

周りを見てみると、普通の家に混じって、いろんなお店が並んでいた。


「軒店やな。家に店が付いてんねん。いや、店に家か?」

「ふぅん」

「ユールオは、軒店と店専用が半々くらいやけどな。ここでは全部軒店や」

「へぇ~」


あ、お菓子だ。

美味しそう…。


「こうたろか?」

「光太郎?」

「人名かっ!ちゃうちゃう。買ったろかってゆうてんねん」

「良いの?」

「ああ。な、望もええやろ?」

「仕方ないですね…」

「よっしゃ」


そして、お兄ちゃんはお店の方に向かっていく。

なぜか、明日香も付いていって。


「誰かいやはりますか~」

「はいはい。お客さまですか?」

「お菓子欲しいんですけど」

「どれにしましょうか?」

「せやな…。お薦めは?」

「これですかね」


お姉ちゃんが指したのは、黒くて四角いお菓子。

何かな…あれ…。


「いくらですか」

「一本二百円になります」

「二百円かぁ…。ルウェはどれがええ?」

「うーん…」

「ふふ、可愛い弟さんですね」

「妹や」

「えっ。ホント?」

「うん」

「…ごめんね。あ、そうだ。お詫びに、キミが一番気に入ったお菓子、一袋あげるわ」

「ホント?」

「うん。どれがいい?」

「えっとね…」


いろんなお菓子があって、選べないんだぞ。

うーん…


「この丸い飴が良い」

「ダゥルね。ふふ、いっぱい詰めてあげるからね」

「ありがと」

「はい、どうぞ」

「良かったな、ルウェ」

「うん!」

「ほんでや。オレは、やっぱりさっきの貰うわ。二本。ほい、四百円」

「ありがとうございます。どうぞ、またご贔屓に」

「はいよ」


飴で、はち切れそうな袋を持って。

優しいお姉ちゃんに手を振って、お店をあとにする。


「あ、何買ってもらったの?」

「これ、貰った」

「貰った?」

「うん。お詫びだって」

「何の?」

「間違えたお詫び」

「あぁ…」

「ルウェの買い物術はすごいな。感心したわ」

「買い物術ではないような…。それに、わざと明日香に付いてくるように合図したでしょ」

「ええねん。細かいことは。それより、宿や」

「そうですね。組合の宿は…」

「あぁ、組合よりええとこ知ってるから」

「そうですか。じゃあ、そこにしましょうか」

「………」

「どうしたんですか?」

「いや、突っ掛からんなぁ思て」

「…突っ掛かってほしいんですか?」

「いいえ。そのままでお願いします~」


……?

どういうこと?

お兄ちゃんはそのまま歩きだす。

望は追いかけるように。

明日香も付いていき。


「どこなんですか?」

「行ってからのお楽しみや」

「その羊羹と関係があるんですか?」

「まあな。てか、よう分かったな」

「羊羹の匂いがしますから」

「えぇ~…するかぁ?」

「しますよ」


自分には分からないんだぞ。

望の鼻って良いんだな。

…それより、あの黒いのはヨウカンって名前なのか。

美味しいのかな…。



着いた場所は、街の外れの古い建物。

…何なのかな。


「お寺ですか?」

「昔はな」

「え?」

「あ!お兄ちゃん!」

「お兄ちゃんが帰ってきた!」

「よう。お前ら、元気にしとったか?」

「うん!」

「お姉ちゃんたち、誰?」

「私は望。この子がルウェ。こっちは明日香」

「こんにちは」

「こんにちは!」「あすか~」

「これ、お菓子?」

「相変わらず単刀直入やな、お前は。…ほれ、羊羹や。昼ごはんのあとに一緒に食べよか」

「うん!」

「あの…。ここって、もしかして…」

「ああ。孤児院や。昔は和尚さんもいたらしいねんけどな」

「おぉう。戻ってたのか」

「久しぶりやな」


みんなの騒ぎを聞きつけて裏から出てきたのは、大きなおじさん。

髪もヒゲもボサボサだけど、優しさが身体全体から滲み出ていた。


「お?可愛い子、連れてるな。お前の嫁か?」

「ち、違います!」

「はっはっ、そりゃそうか!こんな醜男、誰も欲しがらんよな!」

「大丈夫や。親父が嫁を貰えるくらいやねんから」

「俺はなぁ…」

「分かってる分かってる。それより、今日、ここに泊まらしてもらうで」

「おぅ。いくらでも泊まってけ」

「お世話になります」

「こりゃまたご丁寧に」

「ルウェ、遊ぼ~」

「こらこら。先に昼ごはんだ。手を洗ってこい」

「はぁい」「むぅ…」


みんな、家の裏へと走っていった。

裏に手洗い場があるのかな。

自分も…


「嬢ちゃん、ちょっと待ってくれ」

「……?」

「契約者か…。紹介したのはお前か?」

「成り行き上な。ていうか、あいつが勝手にルウェを引き込みよってん」

「ほぅ。珍しいこともあるもんだな。まあとにかく、お前が仲介者なら良いだろ」

「どういうことですか?」

「朝もゆうたけど、オレには師匠がおんねん。それが、この親父」

「えぇっ!?あなたも召喚師なんですか!?」

「まあな。でも、契約者ではない。斡旋をするんだ」

「斡旋…?」

「そうだ。まあ、長くなるし、昼ごはんを食いながらゆっくり話そう」

「お昼ごはん!」


やっと来た、この時間。

お腹ペコペコなんだぞ!

明日香を急かして、家の裏へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。