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ホテル大和~史上最高にして最低の戦艦~  作者: 佐久間五十六


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ネクストステージ

 随伴艦はおろか、世界最強と言われた大和でさえ、アメリカ海軍艦隊を中心とした沖縄上陸部隊の前には無力であった。

 と言うよりも、役立たずであったと言った方が正しいのかもしれない。アメリカに勝利する事など、最早出来ない相談であった。それは、誰の目にも明らかであろうし、何よりも最前線で戦っていた日本軍兵士たちは、その力強さを見ていた訳であるから、特攻を仕掛けた所で、逆転出来るとは、思っていなかった。

 それでも、一度出撃したからには、何が何でも命令を遂行しなければならない。それが軍人たる人間の務めであり、使命であった。

 たとえ、役立たずであったとしても、敵勢力が本土侵攻を目的として、日本の領土である沖縄に侵攻するのを座して待つ事が出来るのか?

 そうは行かない。最早作戦の体をなしていなかったが、それでもあの虎の子の大和が、出撃するからにはそれなりの結果が求められる事は言うまでもない。

 日本軍というよりは、日本人として、きちんと負け戦を戦い切ると言う決意が、大和隊の出撃には感じられる。アメリカ軍としては、沖縄を取ればB-29と言った戦略爆撃機の飛行可能圏内に入る事が出来る。

 それだけではなく、アメリカは既に戦後の事まで考えていた。沖縄を取れば限りなく有利な形で日本を支配下における。アメリカにとっては、この目の前の勝利が目的ではなく、次のステージへの戦略をアメリカ人は考えていた。

 それだけの余裕とそれを可能にする戦力が、アメリカという巨大な国家には存在したのであった。

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