同期の桜
自衛隊や日本海軍の経験者ではなくとも、「同期の桜」を大勢で歌ったり、また聞いた事はあるだろう。
この歌は、太平洋戦争が開始される直前の昭和14年に作られ、今尚多くの人に親しまれている。
この同期を海上自衛隊では、日本海軍の時代から「クラス」と呼び、幹部候補生学校で一年引き続き練習艦隊で半年間の、計一年六ヶ月間寝食を共にし、苦しい訓練を一緒に乗り越え、連帯責任で一緒に罰を受けてきた者同志である。
昼間の訓練だけでは決して見せない顔が、夜や休日にはつい覗き良い面も悪い面も共に見せあい、競争し協力し励ましあい、そして互いに許せる仲となる。
特に練習艦隊での艦艇実習期間中は、一蓮托生の間柄であり、どんなに取り繕ってもすべてお見通しの仲となる。
大切な事は、互いに切磋琢磨するためのものであり、共有する傷口を舐め合うためのものではないという事である。困った時には助け合わなければならないが、互いに良い点は学び、悪い点は指摘しあって競争し、クラス全体を進取の気概に満ちたものにするのが狙いである。
ただし、このクラスの団結はあくまで親睦が目的であり、外部に向かって圧力をかけるようなことは、クラスの域を越えており、厳に戒められている。
クラスを楯に後輩期をイビルのを「キチガイ(期違い)」と呼び、顰蹙をかう。
また、このクラスには各期ごとに特徴があり、大きく分けて元気の良い暴れん坊が多い年と、静かで紳士的な者が多い年とがあり、前者を「工方クラス」、後者を「お嬢様クラス」と日本海軍時代から呼んでいる。
また、このクラスのピラミッドの頂点に立つものとしてクラスヘッド(首席)という存在もいる。
「貴様と俺とは同期の桜~」ってな具合に歌われる。




