オール・オア・ナッシング
帝国海軍の戦略の基本は、オール・オア・ナッシングであり、それは巨大戦艦大和でも例外ではなかった。
大和は全ての海戦において力を発揮する、万能型戦艦として開発されたものの、結果として大きな功績を上げる事は出来なかった。
確かに大和のスペックは、史上最も優れたレベルにあった事は間違いない。だが、それがそのまま戦場で活躍することには繋がらない、という事の証明でもある。
能力的に優れていても、それを扱う人間の技量がなければ100が0になってしまう。
こんな部分にも、オール・オア・ナッシングという日本海軍の良い所と悪い所が、出てしまっているのは何とも皮肉であろう。
100or0のオール・オア・ナッシング的な考え方は別に悪いものではない。しかし、戦争というのは、結果が全てである。
どんなに優れた兵器を持ってしても、勝てなければ意味はない。
そういった意味では大和は史上最高にして最低の戦艦であったと言える。大和御自慢の46㎝主砲は、たった1隻の敵船を沈ませただけで、後はこれといった戦果を上げる事は出来なかった。
大和の使い用はいくらでもあったかもしれない。しかし、そのほとんどが大和ホテルとして使ってしまったのは、明らかな日本海軍のミスリードであった。
大和をどんな場面、どんなケースで使うかというイメージが頭にあれば、もっと大和を活用する事が出来たかもしれない。
結局、大局を見極めて兵器を造る事が出来なかった事が日本海軍を敗北の道に追い込んだと言える。
大和こそ日本海軍の良さも悪さも、その全てを表すシンボルマークと言える。大和を充分に活用出来なかった事が、日本の敗北に止めをさしたと言えるだろう。




