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ホテル大和~史上最高にして最低の戦艦~  作者: 佐久間五十六


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アウトレンジ戦法

 大和の並外れた主砲の威力を活かす為に、考案されたのがアウトレンジ戦法である。

 敵の主砲の届かない位置から46㎝主砲をぶっ放す。当然、相手の砲弾は届かない訳で、理論的には大和は傷1つなく相手を倒せる訳である。

 だが、実戦でそれが上手く言ったかと言えば、そうとも言えない。

 相手は当然のように動く上に、大和の46㎝主砲はとにかく当たらない。

 アウトレンジ戦法は机上の空論に過ぎなかったと言える。敵の射程外から主砲を放つというのは、確かに魅力的であったが、それが上手くいかなかった事は、歴史が証明している。

 大和の主砲が敵に当たらなかった理由はいくつかあるが、その最大の理由は着弾するまでの時間が、長すぎた事にある。

 大和が主砲を発射してからおよそ1分~2分の時間をかけてようやく着弾する。これでは逃げ足の遅い艦船でも、容易に待避することが出来る。

 46㎝主砲は、その音や衝撃も並大抵のものではないため、すぐに気付かれてしまう。おそらく、アウトレンジ戦法が上手くいっていたら、大和は海の王者としてその名声と栄誉を一人占めていた事だろう。

 だが、何度も言うようだがアウトレンジ戦法は、机上の空論であった。射程が長いとは言うものの、弱点は非常に多かったと言える。

 日本海軍は、大和以外でもアウトレンジ戦法を用いようとしたが、これまたパイロットの技量不足もあり、ものの見事に失敗した。

 相手が反撃出来ない事を目的とした、アウトレンジ戦法であったものの、それが上手く行った試しはない。

 相手も馬鹿ではないし、アウトレンジ戦法は結局、机上の空論で終わる。大和の並外れた主砲の力を考えれば、アウトレンジ戦法は1つの活路とも言えたが、実戦で通用する事はなかった。

 ミサイルが主役の現代なら、アウトレンジ戦法は通用したかもしれない。

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