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第62話 魔女監獄の獄中ライフ

『飲酒には1つの意味しかない。生きると言う意味である』

―社会心理学者エーリッヒ・フロンガス―




新しき朝が来る~

悲観の朝だ~

悲しみに胸を閉ざし、鉄格子あおげ~

監守の声に~病みがちな胸を~

この臭う腐臭に滅入るよ

それ、アイン、ツヴァイ、ドラ~イ


っと、言う訳で、あたしは今、悪しき魔女と言いがかりを付けられ、魔女監獄に絶賛ぶち込まれ中なのだわさ。


監獄の朝は早いのよ。

総長、監守の声で起こされるのよさ。

そして、小さな礼拝堂で朝のお祈りをするのよさ。

この時、他の囚人達も顔をあわせるのよ。

まあ、どれを見ても、魔法を使うようには見えないのよねぇ・・・


「めぇ~」


何故か羊も一緒に礼拝堂にいるし、よくわからんのよさ・・・


その後、朝食だわさ。

食堂に移動させられ、そこで黙食・・・

真っ黒なパンと、ビートの葉っぱ(生)が朝食なのよ・・・

ひでぇのよさ・・・


食事が終わって、今日の仕事の分担が行われるのよ。


監獄周辺清掃の班

監獄屋内清掃の班

パンを作る班

中庭のハーブを手入れする班

編み物をする班


この監獄は修道院が監修しているようで、働かなければならないとの事なのよさ。

あたしは今日は監獄屋内清掃の班に割り当てられたのよさ。

あたし以外に3人の魔女とされた人と、2人の狼男とされた人が同じ仕事に割り当てられたのよさ。

清掃中、監守2人が見張ってるのよねぇ~・・・

看守の腰には短剣と、火縄の無い短銃が添えられているのが見えるのよさ・・・

囚人のみんな、死んだような顔して、黙々と掃除をしているのよさ・・・

物が無造作に置かれた倉庫も掃除して、ホコリまみれで嫌になっちゃうのよねぇ。

まあ、そこであたしは、看守の目を盗んで布袋を1つくすねたのよさ。


お昼ごはんの時間になったのよねぇ。

お昼はキビなどの雑穀お粥と、


その後、蝋燭の交換作業もさせられたのよさ。

臭いを嗅げばわかるねぇ・・・

これは純度の高い蜜蝋なのだわさ・・・

お高いだろうねぇ~・・・

なので、短くなった蜜蠟を1つ、こっそりくすねたのよねぇ~。

その後、トイレの汚物を汲み取って、廃棄する事とかもやらされたのよさ・・・


日が沈んで、また礼拝堂でお祈りの時間なのよ。

お祈りが済んだら各々の部屋に戻されたのよねぇ・・・

今日、くすねた布袋と蜜蝋を、寝床の藁の中に隠したのよ。

夕飯の梨がドアの覗き口から投げ込まれたんだけどさ、あたしゃそれを食べずに隠して保管しておくことにしたのよさ。


ひもじい夜が更けてゆくのよ。

みんなは今頃、どうしているのかねぇ・・・


次の日の朝~・・・


また、朝のお祈りの時間なのよさ。

今日は、説教も加わって、僧侶が魔女の罪がどうのこうのと言い続けるのよ・・・

その後、朝食の時間。

今日の朝食は、カビの生えた黒パンと、パースニップという根菜とスベリユリとカラスエンドウのスープだったのよさ。


その後、今日の仕事が分担されたんだけど、あたしはパン焼きにまわされたのよねぇ~・・・

まあ、そこで、生のパンの生地をちょこっとくすねたのよさ。


お昼ごはんは、アーモンドミルクの搾りかすを固めた甘くないクッキーと、タラの塩漬けのスープなんだけど、このスープがしょっぱいのよ・・・

このタラは多分、修道士が食べるように購入したのであまったものを、適当に調理したって感じのやつだと思うのよさ・・・

そもそも、焼き立てのパンがあるはずなのに出ないのは、あえて貧しい食事にさせて、弱らせる為なのかねぇ・・・


午後は中庭の手入れを行ったのよさ・・・


「めぇ~」


囚人の羊も雑草を食んでいるのよ。

けなげだねぇ~・・・


あたしは雑草として生えていたミントの葉っぱを手に入れたのよさ。

他に、綺麗な小石を1つ、小枝を3つ手に入れておいたのよさ。

何が役に立つかわからんからねぇ~・・・


日が沈んで、お祈りが終わった後、また部屋に戻されるのよさ。

そこで、今日の夕食のリンゴが覗き口から投げ込まれたのよさ・・・


さて、これで材料はそろったのよ。

あたしの些細な抵抗を行うのよさ。


まず、布袋の裏面に、蜜蝋を塗りたくるのよ。

これで防水性は大丈夫なはずだわさ。

その後、リンゴと梨を袋の中で砕いて、ぐちゃぐちゃにするのよさ。

最後に袋の中に、生のパンの生地を入れ、かき混ぜて、袋を閉じるのよさ。

数日経てば、この袋の中でお酒が出来るってやつなのよ。

そう、あたしは密造酒を作る事にしたのだわさ。


そして、小石と枝なんだけどねぇ・・・

今はまだ、役に立ちそうにはないのよさ。


今日もまだ、迎えは来なかったのよさ・・・

不安だわさ・・・

でも、あたしゃ仲間を信じて、寝るのよさ・・・


そんでもんでまた次の日さ。


今日は2人の魔女と1人の狼男が連れ出されて行くのが、朝のお祈りの為に礼拝堂へ向かう途中に見えたのよさ。

お祈りの後、朝食なのよさ。

今日の朝食は、何か豆が少し浮いた水っぽいスープと、黒いパンだったのよさ。

朝食の後、中庭の隅っこで、編み物をさせられたのよさ。

お昼になって、今日のお昼ご飯は、酒成分の無いデュンビールと、黒いパンだったのよさ。

そんな貧しい昼食の後、また編み物の続きをやらされたのよさ。

すると、途中で、壁の向こう側からなんか、色んな人の声が聞こえるのよさ。

お祭り騒ぎをしているような感じなのよねぇ~・・・

何か楽しい事でもしているのかな~って思った時、黒い煙が立ち上ったのよさ。

その煙があってから、妙に焦げ臭い臭いが周囲に漂い始めたのよ。

外の歓声は大きく、見なくとも、悲惨な事が起こっているとわかってしまったのよ。

朝、連れていかれた人達が火あぶりにされているのよ・・・


「おい、手を動かせ」


監守の声にはっとして、編み物の作業を続けたのよさ・・・

他の囚人達も怯えている様子なのよ・・・

おぞましいのよさ・・・

それに、火あぶりを楽しんで見ている人もいる事もまた、恐ろしい事だと思うのよさ・・・


「おい、お前。その模様は何だ!?」


監守の大きな声にビクッてしたよ。

監守はあたしの目の前の囚人の女の子の編んでいる模様にケチをつけているのよさ。


「これは、悪魔的な模様だろ!?そうだろ?!サターンに助けを乞うつもりでいるのだろ!?」


「違います!これはただの花柄の模様です!」


「口答えをするな!」


監守は囚人の女の子を殴り、他の囚人と一緒に彼女を連れて行ってしまったのよさ。


「いいか。あの魔女は懲罰房の魔女の塔へ連れて行かれる。そこでは悔い改めるようにたっぷりと拷問を加える事になる。お前ら囚人も変な事、やらかさないようにするんだぞ」


それからしばらく、魔女監獄の建物に密接して建てられた魔女の塔から、人の声とは思えぬような悲鳴があがり続けたのよさ・・・

その悲鳴は夜になっても聞こえ続けたのよ・・・


早く、助けに来てほしいと祈るばかりなのよさ・・・




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