第七話最も強い者
イアが斬りかかる。ワンはその攻撃を見えない何かで塞いだ。
「私が命令する。ここから10メートル以内に酸素が存在することを禁ず。」
ワンが指を鳴らそうとする。しかしそこに一つの光線が邪魔をする。
「マスタースパーク!!」ワンの半身が消滅していた。安堵したのもつかの間、死骸と思われていたものは喋りだす。
「私が私に命令する。死ぬことを禁ず。」イアがもう一度斬りかかる。しかし少し遅かった。鋭い音が脳内を駆け巡る。
「ああせっかくわかりやすいようにやっていたのに。それじゃあもう手加減はしなくてもいいかな。」
魔理沙がイアの方を向いた。
「イア逃げて、魔法が使えない。」ワンは元通りになっていた。
「マスタースパーク。」非常に落ち着いた声だった。彼の前から光が放たれる。距離1メーター、しかしイアも無策ということではなかった。
「神無亡」イアが最後に見たのは不敵に笑うワンの姿とゴット…という言葉だけだった。
数分後
イアは起きた、ワンが喋っていた。
「ああ起きたのかい。期待外れだったよイア、君はまだ弱すぎる。少し修行してからもう一度来てくれ。」
まだ喋るだけの力がイアには残っていた。
「霊夢を返せ」
「そんなセリフはね。強くなってから言うものだよ。最も弱い者」
最後に耳に届いた情報は四度目の指がなった音だった。
イアが再度目を開けたのは二日後のことだった。
「あ…ああ」知らない天井だった。左を見ると銀髪の女性だった。
「大丈夫かい。イアでいいんだよね。」
「私は生きているのか。私は、私は助けられなかった。」
女はイアの顔を覗き込み、簡単な診察をことを済ませてから紛れもない真実を答えた。
「君は死んだ。しかし私が研究し続けた秘薬があるからね。不老不死の薬それを君に使った。」
「不老不死…」体に変なところはなかった、いつもどうりの体だった。
「不老不死は禁忌の研究。君が初めて使ったんだ、この薬は。」
「禁忌」そこでイアは思い出してしまった。空においてきてしまった少女の姿を。
「霊夢はっ、魔理沙はどこに、」
「まだあそこから帰ってきていない。」
「それじゃあ、なんで私だけ。」時間が遅くなった、とてつもなく。
「君だけは私の診療所の前においてあった。この紙とともに。」
銀髪の女性は紙をはためかせながら喋っていた。イアは紙を乱暴に奪い、奪いその文言を見た。
『八月十七日空デ待ツ』
イアは紙を破り捨てていた。
「行くのかい、勝てないってわかっているだろう。」
「だとしても。」
「もう霊夢も魔理沙も死んでいるかもしれない。」
「だとしても。」
扉を開け、空を目指してイアは飛んでいた。




