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落ちこぼれ能力者に平穏は訪れない  作者: 戸野牧こと
1 山崎翔弥の比較的平穏な日常
5/59

校内は地獄の入り口でしたっけ?/柚木side

前回内容「校内は地獄の入り口でしたっけ?」の柚木視点です。

別視点入れるのが早い気もしたのですが、今後の布石として書きたい部分があったので。


小休止の更新は次の次の予定です。

更新したらお知らせしますので少々お待ちください!

 13時22分。私はうーんと伸びをして空を見上げる。

 屋上に来るの久しぶり。

 しかも翔弥とこんなに話せるとは。

 友達に「ごめん、用事ができた!」って言われて昼ごはん一緒に食べられなくなったときにはどうなることかと思ったけど、案外今日はいい日かもしれない。


 ……ん?

 今、何か下から声が聞こえたような……


 手すりの隙間からこっそり下をうかがって、思わず舌打ちをする。


「……バカじゃないの」

 クラスの男どもが石を投げ……いや、超科学力(ちから)で持ち上げてるね、あれ。

 自分の超科学力(ちから)では屋上に届かないとわかってか、悔しそうに騒いでいる。


 ……あー。またか。

 あれ多分翔弥への嫌がらせだよね。

 超科学力(ちから)がもっと強かったらあの落ちこぼれに制裁を下せるのに! とか聞こえるし。

 翔弥のことだから、その辺も見越して屋上にいるんだろうけど。

 男ってやつらは小学生から本当に成長しないね。


 思わずため息をこぼし、手すりから離れて腰をおろす。

 翔弥が何かぶつぶつ言ってるけど気にしないことにする。


「そういえば、次の授業何だっけ」

 少し翔弥に話を振ってみる。この質問時間稼ぎにいいんだよね。


「超科学」

「うわ珍しい覚えてる」

「超科の時間忘れるもんか」

「嫌いだもんね」


 翔弥が思いっきり顔をしかめた。


「サボりたい」

「そんなこと言わない」

「さらし者はごめんだ」

「最近ないじゃん」

「あーまあ。でも代わりが強制自習、監視つき」

「うわ」

 相変わらず大変そうだなあ、翔弥。


「おっと」

 13時35分。もう授業始まるじゃん。


 立ち上がると翔弥が反応した。

「時間か」

「うん、あと5分」


 翔弥が携帯を確認する。そんなに心配? 私時間だけは間違えたことないのに。


「お前の腹時計めちゃくちゃ正確だよな」

「身につけたら? 便利だよ」

「だから超科学力ないってのに」

「違う、これ超科学力(ちから)じゃなくて本当の『腹時計』」

「………恐ろしいやつ」

「おほめに預かりどーも」

「ほめてねーよ」

 最後の言葉は無視することにしよう。

 さ、とりあえず急ぎますか。


 _____________________



 今日の超科の授業は超科学演武翌日だから実戦演習。その「だから」のつながりは理解できないけど、サッカーとかの試合形式の練習と一緒かな、と思っている。

 へえ、2対2でやるんだ。普段は個人戦なのに珍しい。

 実力差なくすためにもうペアは決めたって。誰だろ、見に行かなきゃ。


 よし着いた。私の名前は___あ、あった。

 ん?真下に翔弥の名前がある。ペアは……古谷!?

 めちゃくちゃ仲悪かった気がするんだけど大丈夫かなあ。

 表を見た翔弥、見事に固まった。


「「……嘘だ」」


 声が揃っている。意外と気が合うんじゃない、お二人さん?


「お前かよ」

「なんで僕がこんな落ちこぼれなんかと」


 あ、ケンカ始まっちゃった。逃げよーっと。

 私もペアの子と作戦立てなきゃ。


 ___________________


 16時27分。

 演習の片付けも撤退も終わり、これで授業は終了。

 みんな部活に向かってるけど私今日休みなんだよね。

 図書館で勉強でもしようかな。


 17時36分。

 今日の復習終わりーっと。

 ここの図書館、面白い本全然ないからずっといてもつまんないんだよね。

 あ、翔弥の補講そろそろ終わるころかな? 見に行ってみよう。


 確か倉庫の近くって言ってたような……

 お、いたいた。浮行機の練習やってる。

 いやー、あそこまで何も起こらない「能力者」って翔弥くらいだよね。本人、飽きちゃってるし。


 見てるだけなのも失礼だし、ちょっと声かけていこう。

 ちょうど掃除始めたところだ。


「しょーやーー」


 うわ、めちゃくちゃ嫌そうな顔された上に無視された。

 うーんこの顔頭にくる。

 何かやり返そう。近くに手頃な大きさの物は……っと。

 お、いいもの見っけ。

 狙いを定めて…… それっ。お、命中。

 翔弥の後頭部にしっかりヒット。

 翔弥がほうきから手を離した。……あれ?


「いってえ」

「仕返し」


 投げたのはこぶし大の石。ま、そりゃあ痛いでしょうよ。


「怪我したらどうしてくれんの」

「翔弥なら平気でしょ」


 でも石頭な翔弥なら問題ない。多分。

 翔弥は私を軽くにらみながら、立ったままでほうきを再び手に取った。

 ……あれ、やっぱり変だよなー。今ほうき立ってなかった?


「何しに来たんだよ」

「ん?翔弥の様子見に来たーー」


 とりあえず笑ってごまかす。

 翔弥はそれから10分掃除し続け。もう帰るみたい。

 あ、どんぐり落ちてる。これ当てたら翔弥どんな反応するかな?

 発想がガキっぽいって?実際精神年齢それくらいかも。

 それっ。あ、今度は腕か。

 おっと、うっかり投げるときに超科学力(ちから)込めちゃった。まあ、ものが小さいしそんなに込めてないから大丈夫__


「いってえ! 何すんだ柚木!」

「え?」


 じゃない!? え、今翔弥吹っ飛んだよね!?

 何がどうなってるのこれ。とりあえず笑ってごまかしとこ。


 ……相変わらず翔弥のことは全然わかんないなあ。


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