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私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
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第二章 1)アリューシアの章

 アリューシアが魔法に魅せられたのは、それがとてもきれいで、キラキラと輝いて見えたからかもしれない。

 雨上がりの、草花が咲き乱れる野原にかかる、鮮やかな虹よりも美しく思えた。


 (うん、本当にそうだった。少なくとも、あの人が使う魔法はそう)


 アリューシアが、あの人と呼ぶ男。プラーヌスが彼女の人生に突然現れたのは、ある冬の夜だった。

 普通の傘よりも随分長い傘を持ち、黒いローブをまとった姿で、彼は突然、彼女の人生に登場した。


 彼はとても美しい男であった。

 肌が透き通るように白い。まるで雪のパウダーを刷り込んだかのよう。

 青い瞳は鋭い光を放っていて、近寄ると身体を切り裂かれそうだ。細い鼻はツンとしていて、横顔には冷酷さが漂っていた。

 

 首に大きな傷があった。確かにそれはグロテスクで、神が彼の邪悪さを警告するため、刻印した徴のようだと言えば、そうなのかもしれない。

 しかし全体の表情はどこか静かに微笑んでいるようで、アリューシアを温かく迎え入れてくれているように見える。

 話しかけて無視されても、少しも嫌な気にならないのは、その不思議に温かい表情のせいだ。


 「はあ? そんなの、あんたの勘違いよ」


 二番目の姉のマリアは言う。「魔法使いに人間らしい心なんてないわよ。とくにあの魔法使いには絶対に」


 「ううん、そんなことない。私も魔法使いになるから」


 「何ですって? お父様に言いつけるわよ!」


 ボーアホーブ家に生まれた彼女は、これまでたくさん、貴族の子弟と会ってきた。

 あのボーアホーブ家である。古くから続く由緒正しき家柄と、手広くこなす商業で成功した財力を併せ持っている有数の名家だ。

 ボーアホーブ家と親交を結ぼうと、各地から多くの客がその屋敷を訪れる。

 ボーアホーブ家と同じ大貴族、ボーアホーブ家に憧れる下級貴族、一代で財をなした大商人、有名な芸術家、戦場で功績を挙げた騎士などが続々と。


 中には、その色男振りや、美貌で名高い貴族の子弟たちもいた。

 彼らが来るたびに、姉たちが噂していたものだ。あの人は、何々男爵の御次男よとか、あの人は色好みで有名な何々侯爵よとか。


 その度にアリューシアの幼い心は弾んだ。

 美しい衣装で身を飾り、優雅な身のこなしでダンスを踊る貴族の子弟たちは、本当に魅力的な男たちばかりだった。


 彼らと同じような教育を受け、同じような環境で育ってきたアリューシアは、彼らと同じ世界に住んでいると感じている。

 いずれこの中の誰かと結婚をして、共に長い人生を歩むことになるに違いない。


 ボーアホーブ家の会食会に招待される全ての独身の男性が、彼女の将来の夫の候補であった。その視線は自然と品定めの厳しさを帯びる。

 それでも、彼女の厳しい合格ラインを楽々とクリアーしていく男性ばかりである。彼女が密かにつけているリストには、花婿候補の名前は増えるばかりだった。

 それだけボーアホーブ家の会食会は特別なものだったからだろう。ボーアホーブの栄光に誘われ、魅力的な人間がたくさんやってくるのだ。


 しかしある日、魔法使いプラーヌスが、ボーアホーブ家の敷居を跨いで、アリューシアの人生に登場した。

 その瞬間、今まで出会った全ての男たちが色褪せた。

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