5話 丸焼き
さーてと、この魔物をどうするべきか
話も一段落したところでイドと私はこのでっかいイノシシ型のCランク魔物、ボアーに向きあっていた
もう丸焼きでいいんじゃないかという思考である
肉なんて焼けばどれも一緒なんだからさ
『ご主人、さっそくさっき話したことの出番わふ!』
「さっき話した……もしかして従属を増やせば強くなるってやつ?」
『そうわふそうわふ!』
イドは私の周りをぴょんぴょんと駆け回る
可愛いなぁ
『従属の能力、特性がご主人にも使えるようになるわふ!』
「いいじゃん!めっちゃ最高なんですけど!」
『僕の特性は、瞬足と魔法、火適正わふ!』
ウルフ特有の瞬足と魔法の火適性…私もついに使えるの!?火!
魔法、それは人智を超えた存在である
基本属性、火、水、土、風の四大基本属性。そして光、闇の2極属性。そしてそして、無、創、空、王、鳳の特殊属性の系10属性がある。割合的には四大基本属性が9割、2極属性が0.9割、特殊属性は0.1割。2極属性なんかは見つかったら人生イージーだし、特殊属性なんかは国が直接守ってくれる超介護。羨ましいよ。あ、私は基本属性の風です。
「火、火かぁ」
ずっと欲しかった火、火ってロマンじゃない
思わず口角が上がる
「さっそくやろう!早く食べたいしね!」
嘘である、早く魔法を使いたいだけである
私はボアー(死骸)に向かって右手を突き出し呪文を唱える。もちろん風はちゃんと無詠唱だよ、火は初めてだからね。仕方ない仕方ない
今回使うのは、初級魔法のファイア。
これでも貴族、それに魔法とかの戦闘系の勉強は好きだったから頭に入ってる
「火よ出てよ、ファイア」
ボワァ
ボアーの毛皮に人差し指サイズの火が付く
もはやロウソクである
分かってはいたが悲しいね。こうも魔法がダメとなると
『……ご主人』
私の悲しみを察してか、イドが私の足元に擦り寄ってくる。本当にありがとう好き愛してる
『わふ!』
ぼわぁぁぁぁぁぁ
イドが魔法を使う
瞬く間にボアーは日に包まれる
バチバチと独特な音が私たちを包む
熱気が頬に伝わってくる
魔物は魔法適正が高いと本で読んだけど本当らしい。こうも無詠唱で軽々やられると追い打ちをかけられたようで悲しくなるというもの。
暗い空に火の粉が舞う。ボアーさえ写さなければロマンチックだろう
……イドってハイスペックなんだなぁ