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第53話 阿修羅族の村へ(泉との話)

泉の苦しみ。俺は考えた事がなかった。そして自分の軽率な行動を恥じた

夜叉王と俺、島村、泉の4人は旅にでた。目指すは阿修羅族の里


 夜叉王が阿修羅王へとりなしてくれる。うまくいけば阿修羅族1万の軍勢がユグラドシル軍に加わる


 しかし、俺には心配があった。夜叉王は安全だけど、島村と泉は俺にとって危険だった


 夜叉族は人に恋心を抱かない。遺伝子レベルで刷り込まれている


 高い戦闘力を維持する為、夜叉族は他属種と交わる事はないのだ


 島村に襲われるかもしれない、泉は俺がフラフラと何かしてしまいそう


『俺しっかりしろー!』


阿修羅属を初め、夜叉族達は八部衆というそうだ。人間世界の守護者として造られた彼らは


 人の住む世界に長い間住み続けた。いつか人を守為に戦う為に、たとえ人から蔑まれても


 ユグラドシルで俺はたくさんの情報を得ていた


 俺にとって特に重要だったのは魔族のシュミットさんから得た情報だ


『男に戻る方法がある!』


シュミットさんは1つの事を教えてくれた。魔王を倒すとレアドロップアイテム


 『奇跡の水』がもれ無く手に入る。そのアイテムを使えばおそらく男に戻れるというのだ


阿修羅族の里はユグラドシルと魔族との国境の近くにある


 里までは歩いて行くしかない。魔族との国境は危険な魔物が出る


 馬車では魔物に気付かれやすいからだ


 道中、俺は泉と話す機会を得た。いや、普通の会話じゃない


 泉の例の秘密の件だ。誰にも知られてはいけない


 例え、島村でも知られてはいけない


☆☆☆


俺は野営地で寝てると何故か早起きしてしまった


 目を擦る


「泉?」


泉の姿が見えなかった


「もう、起きたのかな」


俺は上着を羽織ると泉を探した


ここは魔物が出る事もある。俺たちの野営地はインディビジュアルの魔法をかけてある


 だから魔物が俺たちを見つける事はできない。でも、泉は魔法の圏外だ


「泉?」


俺は泉の姿を見つけて声をかけた


「高野君......」


泉は目に涙を流していた


ハッとしてしまう、泉の綺麗な黒い目に大粒の涙が......


「どうしたの、泉?」


「はは、私、時々夢で起きてしまうの」


「夢?」


「そう、悪い夢」


俺はなんとなく察した。泉の悪夢、それは


「夢の中でまで私、体売ってるの。それで起きるの」


「い、泉、まだそんな夢を?」


「今でも見るの、馬鹿よね、本当に、これが代償かと思うと


 自分の馬鹿さ加減が泣けてくるの」


「違うよ。泉は馬鹿なんかじゃないよ」


「ううん、私は馬鹿なの、お金が必要だから体を売った


 他の方法も考えた。でも私にはそれしか考えつかなかった」


「弁護士になるには勉強する時間がいるよ。だから、時間効率のいい.....」


俺は言っていて、自分が涙しているのに気がついた


 泉の言おうとしている事がわかった。時間効率のいい仕事


 確かに体を売る事は手取り早い、でも、それは危険がたくさん伴う


 見つかれば、成績に影響する。妊娠というリスク、場合によっては


 知らない男に殺される可能性すらある


 そして、それ以外の方法はある。学生で事業を立ち上げる女性はいる


 泉に才能があれば、それは可能だろう。だが、そこまでの才能は泉になかった


「泉......」


「私も高野君みたいな才能が欲しかった」


「俺に才能なんて」


「あるわよ。とんでもない才能よ」


「俺はただの変人だよ。勉強できても人と付き合えないから役に立たない」


泉はふーとため息をつくと


「高野君は自分の希少性に気がついていないのね」


「希少性?」


「ビジネスで重要な事は希少なアイデアよ」


俺ははっとした。確かに、ビジネスの世界で成功した人間には変わり者は多い


 そして、天才と言われる人達にも


「私はただの凡人なの。人よりたくさん勉強して少し成績がいいだけ」


「そ、そんな事言わないでよ。泉は、泉は......」


「私は少し頑張り屋さんなだけの凡人よ。だから高野君に憧れるの」


「泉......


 俺、泉の方がすごい人間だと思う。俺は甘ったれてたよ


 自分の人生に抗おうとしなかった」


「私だって、安易な方法をとったわ。そして、未だに私はその罰を受けている


 夢、という形で、売春は私を解放してくれないの」


「泉、だめだよ。南も言ってた、自分を卑下しちゃだめだ


 泉は自分の人生に挑んだんだよ。真面目に


 俺は泉のおかげで変わろうと思ったんだ。自分がどれだけ恵まれているか......


 俺は両親は普通で、愛情も普通に注いでくれた


 俺は泉に対して恥ずかしい。死ぬなんてなんて愚かな行動をとったのか」


「でも、ごめんね、私は高野君の事で転生した事は感謝してるの」


「感謝?


 だって、こんな危険な世界に、俺、それも泉に悪くて」


「でも、もう、あんな事しなくていいのよ」


「......」


泉にとっては日本より、この危険な世界の方がいいなんて......


 俺は神様を恨んだ。何故こんな娘がいるんだ


 この娘は最低な状況の中で必死に生きていた。まだ、17才なんだぞ


 俺は泣いた。泉の事はとても辛い、

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