表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶命のユーフォリア  作者: 柏木むし子
二章 観察迷宮オギアム
31/31

X-1 匣だけが知る

 石造りの廃屋に、男たちの骸が転がっている。

 心臓のみを破壊された死体が五つと、身体だったものをすり潰されぶちまけられた跡がひとつ。空間跳躍(リレース)のために命を絶たれた闘人(レイズド)たちの残骸だった。

 跳躍という名を冠してはいるが、実際に行われているのは命の切り貼りカット・アンド・ペーストである。

 豪雨を避けて室内で空間跳躍(リレース)を待っていた彼らは、おおよそが絶頂の余韻を残した顔で事切れていた。いつも通りの、しかし誰も目にすることのない光景だった。

 雨音だけが響く空間で、死生匣(テラヴァイス)は爛々と輝き続けている。

 闘人(レイズド)たちは知る由もないが、死生匣(テラヴァイス)は彼らの死亡を確認すると、数十秒後に転移を開始する。手下たちを殺しておきながら、自らは破壊を経ない移動を悠々と行うのだ。

 しかし今回は違った。すぐに行われるはずの転移が始まらず、タッチパネルとなっている四つの面に、闘人(レイズド)たちが一度も見たことのないウィンドウが表示されたのだった。

 その中におびただしい量の文章が表示され、流れてゆく。誰かに読ませる気があるとは思えないスピードで。

 やがて文字の奔流は収まり、いくつかの改行を経て、最後のメッセージが表示された。


 『死生匣(テラヴァイス) アップデート完了 バージョン2へようこそ』


 確認を促すボタンが添えられたが、それを押す者はいない。

 死生匣(テラヴァイス)はしばし誰かの反応を待った後、触れる者がいなかったウィンドウを閉じて、そのまま次のステージへと転移していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ