ロボ
「えっと、神様欲しいものが決まりました」
「ほほう、そうですか。ではどんな能力が欲しいですか?」
「能力ではなくて物というか…… ロボットが欲しいのですが、大丈夫ですか?」
「ぜーんぜん、大丈夫ですよ。なんでもOKですって言ったじゃないですか。それに能力だけという縛りがあったとしてもロボットを召喚したり、創ったりする能力ってことにすればいいんですから」
良かったぁー、そっかそういう事にもできたな。
よっしゃ!快適で、強く、かっこいいロボットつくるぞ!
「で、どんなロボットを創るつもりなんですか~」
「四つほど考えているのですが、ロボットのことそんなに詳しくないのでちゃんと動くロボットを造れるか心配なんですが……」
「大丈夫ですよ~私は神様なんですよ~創れないものなんてこの世に存在しませんよ。じゃあ、どんな感じのロボットにしたいか言っていってください。指示どうりに創っていきますので。それとどうせなので四つとも創っていきましょう!」
おおー、さすが神様太っ腹です!どんどん注文していこ。
~ロボット製作中~
「蜘蛛型、要塞型、ヒト型、宇宙船型と考えているんですけど」
「こんな感じ?」
「おお、そうです!あー、でも蜘蛛型は上の部分まで再現しなくて良いですよ足だけで、で足と上部との結合部をもうちょっと広くして寝転がれるぐらいで、足の上部は装甲車とかの銃座についてる弾除けをおっきくしたのを付けて要塞型は壁!って感じで……」
「ほいほい」
「で、そこもこういう感じで……」
「おいっしょー」
「ここはこんな感じのギミックで……」
「あー、そこは魔法にしないでください。全部魔法にするとロボ感がなくなってしまうので」
「ちょっと音が静かすぎません?駆動音が聞こえるようにしてっと」
「え、神様こんなに大きく造るんですか!?」
「いいのいいの!ここはこんなギミックにして~……」
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「ちょっと乗ってみようか……いいねー、そんっ! ち、ちょっと待って!おえっ気持ちわりぃー吐きそ」
「う~ん、ちょっと移動時の揺れが大きいね。もうちょっとサスペンションつけて、衝撃緩和の魔法もつけて~あとは……」
「よしっ今度こそっ! …… いや、待ってまだちょっときついかも」
「それ以上揺れとかGを消すと何も感じなくなっちゃうよ。折角ロボに乗れるのに揺れとかGを感じないのはつまらなくない?いいの?」
「これデカすぎじゃない……どうやって乗るの……」
「ああ、大丈夫よ、転送装置創っておいたから。創っている時に気付かなかったの~君ぃ」
・・・ ・・・ ・・・
・・・ ・・・
・・・
「終わった……」
細かいとこに拘り過ぎたり、途中神様の暴走でちょっと理解不能の構造になったりと大変だった。てか、俺でもまだ入って無い所とかあるし、神様が向こうに行ってからのお楽しみだぁーって言って見せてくれなかった……
「終わったー、なんでそんなにテンション低いのよ?君が創りたいって言ったんじゃん。ロボットもチョーかっこいいし。ほらテンション上げてこーよー」
「あまりにも造ってた時間が長すぎて疲れたし、大満足な出来だから完全燃焼的な?まあ、ロボたちがかっこいいので見ているだけでテンションが上がってきますけどね。いやー、神様ロボット造りありがとうございました。」
「うんうん、感謝するのはいいことだよ~時間がかかったのは君が内装にこだわりすぎなんだよっ!外装と機能を付けるのと合わせた時間より長かったんだからね」
神様がチート過ぎるだけで規模的に見れば俺もそう遅くなかったはずだ。俺が一個のテーブルのデザイン考えている間に数十のデザインのテーブルをだしてたからなー神様。
それはともかくロボットたちはとてもカッコ良く高性能な出来となり大満足だ。神様ならではの発想もあり考えていたロボより格段にいいものが造れた。ちょっと揺れがきついかもだけど慣れれば問題ないでしょ。
「これに乗って向こうの世界の魔物と戦うんでしょ~時々ここで見てるから頑張ってね~」
「はい、でも頑張るのはこのロボたちなんですけどね~」
さて、ロボも造ったことだしもう異世界に行くことになるのかな?早く試したいなオーバースペック過ぎるロボたちの…… …… 快適さを!
「あ、そうそう分かってると思うけど普通サイズのダンジョンには大きさの問題で蜘蛛型しか入れないから、深い層だったら一応人型なら出せるけど…… それに宇宙船型は大きすぎて崩壊末期に出現するダンジョンぐらいにしか入れないから」
そうなんだよね、色々機能とかを詰め込んだりしたらまあまあ機体がおっきくなっちゃったんだよね。でも大型ダンジョンってのも向こうにはあるらしいから人型、要塞型はその大型ダンジョンなら最初っから使える。宇宙船型はダンジョンでは使えないけど
別にダンジョンで出さなくても普通に外に出せばいいから特に大きくて困ることなんてないんだよね。だから宇宙船型はめっちゃ大きくした。(神様のノリに乗せられてしまった)
鯨のバケモンににも負けはせんぞー!巨艦巨砲主義(限度なし)はロマンだぁー!
「では、そろそろ君を異世界におくるね~君は向こうの世界では『機獣召喚』というスキルを持っていて、このロボを呼びたい!と念じればその機体が出てくるから。あ!ロボに夢中で言い忘れてたけど向こうの世界ではスキルっていううものがあって『機獣召喚』もスキルだから。あと各町には私を奉ってる教会が必ずあると思うけどそこでは自分のステータスを見ることが出来るわよ。私もタイミングが合えば話しかけるかもしれないからちゃんとお祈りしにきてよね~
それじゃあ向こうの世界では頑張ってね~」
そう神様がい言うと同時に足元が光だす。ありがとうございましたと頭を下げてから顔を上げると笑顔で手を振ってくれた。
こちらも手を振り返す。
いやー、良い神様だったな。とっても楽しい時間だったな。
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振っていた手を下す。
「今回の転生者は良い奴だったなぁ。ロボット創るの楽しかったし、ごちゃごちゃうるさくなかったし話もたのしかったぁ~私の世界でもロボ創ろっかなぁ。そういえばあの子一回も名前で呼んでくれてないな、ずっと神様って言ってたな。ちゃんと最初に名乗ったのにぃ」
その後とある女神の管理する世界の一つに新しい世界が加わった。
その世界は噂によると、ロボット造りに全身全霊を注ぐ者たちだけが生まれ、自らを形を問わぬサイボーグと化し、最適な人型のロボットや船型、動物型、惑星型の詳細なデータをとっている。
日夜新しいロボットを造り、テストをし、壊しを繰り返し、あらゆるものを犠牲にしながらも楽し気に雑種多様なロボットを生み出している。
などと神様でも恐れを抱くサイコパスな地だという。
そして普通世界に干渉しないはずの神様が時々訪れては自らもロボット創り、新素材を置いてゆき、壊れた自然、生存環境などを直し、新たなロボットの構想・発想を授けていくそうだ。
ここで生まれた至高のロボットたちは他の神様、世界に販売され、その機体に込められた熱意に恐れを抱かせながらも大きなロボットブームを起こす…… かもしれない?
主人公がロボットを「造る」に対して神様が「創る」なのは人間と神様の意識の違いです。
人は物から物を造りだし、神は無から物を創り出す。