実験記録《緋色の魔眼》
遅刻しました
「ったく俺もついに年貢の納め時かぁ……」
衛兵に連行される大柄の男、バルログ・ロドリゲス。
半年前山賊行為を行い捕縛、殺害した存在に貴族の子女がいたとされ、死刑を言い渡されていた。
その男が今、帝国の地下を歩いている。それもかなり長い間。
「なぁ、これ一体何処に向かってんだ?俺ァてっきり断頭台か縛り首だと思ってたんだが?」
痺れを切らしたバルログが衛兵に話しかける。しかし衛兵が返事をすることはない。罪人と仕事以外で話すことは禁止されているからだ。バルログ自身も足りない頭でわかってはいたが一応聞いておきたかった。
地下は土が剥き出しでまるでつい最近大慌てで作ったかのような通路だった。
暫く歩いていると道は一つのドアを残して終わっていた。
そのドアはただ通路の壁面に立て掛けているようにも見えた。衛兵はおもむろに鍵を取り出し手錠の鍵を外す。驚いた様子のバルログに衛兵は冷たく言い放っていく
「この先がお前の処刑場だ。この先はお前一人で行くようにとのお達しだ」
「この先ィ?おいおいただドアが立て掛けてあるだけじゃねぇか。先なんて無ぇだろ」
「良いからドアを開けて先に行け。それと一つ」
一呼吸置いて、異例の言葉を言い放った。
「もし貴様がこの処刑で生き残ったら、無罪放免だそうだ」
「――は?」
バルログは一瞬目の前の衛兵が何を言っていたのかわからなかった。解放する?無罪放免?そして何より、
生き残る可能性のある処刑法?
「どう言うことだ……?」
「それは貴様が知る必要は無いことだ。行け」
後ろから槍でつつかれ押されるようにドアを開ける。
扉を開けると強い光を浴び、すわこれが死刑の方法かと思ったらいつの間にか日の光が天井から入ってくる神秘的な空間にいた。開けたはずのドアは気づいたときには消えていた。
「な、なんだこりゃ……」
「あ、来てくれたんだ。ありがとう」
「!?」
突然後ろから小さい女の声がした。振り替えるとそこには一人の少女がいた。あの殺してしまった、自分が死刑となる契機にもなったあの少女と同年代のように見えるその少女は何故か目に包帯を巻き、その瞳を見ることが出来なかった。
「えーっと、君が死刑囚、バルログ・ロドリゲス君だね?」
「そ、そうだ。お嬢ちゃんは何でこんなところに……」
「またまたー、わかってるんでしょ?私が君の死刑執行官。というか君にはDクラスの真似事をしてもらうだけだけどね」
「でぃ、でぃー?」
不思議そうなバルログの声を「まぁ、君が気にする必要はないよ」と、嗜めながら続ける。
「それで聞いてるよね?君はもしこの処刑で生き残ったら無罪放免だ。僕の部下として雇おう。余り陽の目を見ることはできないが真っ当な職業だよ?」
その少女の言うことは荒唐無稽な話だと言うのに何故かバルログには信用できた。生き残る可能性がある処刑というなら、なんとかなるかもしれない。
「ああ、わかった。それじゃあ頼むぜ?一体何を俺はされるんだ?」
「ああ、簡単だよ」
少女はおもむろに包帯を外し、告げた。
「私の目を、見て?」
それがバルログ正気の中で聞いた、最後の言葉だった。
この実験記録はSCP-■■■■-AW自身が行ったと証言する実験記録です。
実験記録1 スキル《緋色の魔眼》
状況:完全に次元から隔離された空間にSCP-■■■■-AWを目に包帯を巻いた状態で配置、その後D-001-AWを入室させた。入室したD-001に包帯を解き、SCP-■■■■-AWの目を見させた。
結果:D-001は発狂。SCP-■■■-JPと同様の症状を見せ、その後はSCP-■■■■-AWに処分された。
状況:D-002を先程と同じ部屋に入室させた。このときSCP-■■■■-AW自身の目は隠した状態でD-001の血液を見せた。
結果:D-002は発狂。D-001と同じく処分された。
二つの結果からSCP-■■■■-AW自身にSCP-■■■-JPの暴露者の特性が付与され、それを何らかの方法で自身に害のないように押さえ込んでいると結論付けたようです。
その後のサイト-█████では同様の試験を行ったところSCP-■■■■-AW自身の行った試験と同様の結果を得たためこのSCP-■■■■-AWの結論は極めて正しい可能性が高いことがわかりました。




