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急行、帝国へ

 「おーい大丈夫かい?」


 僕は今も寝そべってる佐藤と明見の元へ向かう。周囲の魔族は僕の挙動を恐れ、動けない。まぁその前にほとんど二人が戦いの余波で殺しちゃってるんだけども。


 たぶん二人が殺しちゃったのは魔王軍。その部隊の一部なんだろうね。僕はフェアに蹴り飛ばされてたポーションを拾い、新たにSCPを召喚する。


 「SCP-447-《緑のスライム》」


 お馴染みの魔法陣から出てきたのはとぷとぷと緑色のよくわからんスライムを出し続ける直径五センチほどのスポンジボールだ。



 SCP-447-《緑のスライム》

 オブジェクトクラス Safe


 スキル《万物向上》

 このオブジェクトが放出するスライムに触れた物の『機能』を向上させる。



 僕はこのスライムをポーションの中に注ぎ込みカシャカシャと混ぜ、佐藤の口に入れた。このポーション、効果が高ければ高いほど不味くなるのだが、


 「うげぇっほ!おぇっ、不味……く、ねぇ?むしろうめぇ!それにいくら高級水薬(ハイ・ポーション)ったってこの回復量は……」


 SCP-447の副次効果によって美味しくなる。

 みるみるうちに傷が治り、回復する佐藤に安心する。


 「良かった……良いから明見にもそれあげてよ。あとこれとこれお前の《金庫》に入れといて。僕が出してって言ってないときに出したらぶっ殺すから」

 「お、おう……こいつか?わかった。おら、明見!飲め!」


 SCP-447とSCP-668を収納してもらう。ブライト博士にこれから先に召喚されてると怖いから迂闊に《収容》できない。新しくポーションを取り出した佐藤が明見の口に瓶を突っ込む。明見は重傷ではなさそうなのでSCP-447は混ぜる必要はないだろう。


 「うげぇぇぇぇ!まずぅ!」


 顔を真っ青にして起き上がる明見。ポーションのこの不味さは気付け薬の役割もあるのかな?


 「起きたか、ったくラストのラストにどでかい対軍魔導師連れてきやがって……で、あの変態寝取り野郎はぶっ殺したんだろ?ぼんやりだが見てたぞ。えげつねぇことすんなお前。あのパッと見包丁なアレは何なんだ?」

 「うるさいな、勝ったんだから良いだろ?。アレはSCP-668《13インチの包丁》。殺そうと思った対象は強い精神力を持たない他の誰かに助けて貰えないし自分も殺害されることに抵抗できないって代物。第一どうやって死ぬのかもわからないし『やったか?』なんてフラグを立ててもしっかり死んでいてもらいたかったんだよ。そしたら次に来るのはー「何だこれは!?何故《色欲》が死んでいる!?」ーーほらぁ」


 僕達が喋っているとまた新たな魔族が現れた。今度はなんか角生えた赤鬼みたいな魔族だ。


 「人間……貴様らがやったのか!?」

 「いやどう考えてもそうだろ状況的に考えて。とりあえずポーション飲む?めっちゃ濃縮された緑茶味だぜ?」

 「いるかぁ!」


 おー空気に飲まれてる飲まれてる。佐藤が煽りまくってる間に明見に近寄り話しかける。


 「明見、車かなんか出せない?ここは一旦退こう。つーか疲れた。あの女の人たちも回収しないといけないし」


 回りを見るとクラスメイトの女の子達とアルトさんがぶっ倒れてる。


 「オーケーでござる。杜若殿は佐藤殿が注意を引いている間にさっさと女子を回収、拙者は逃走用の車を作るでござる。その体でいけるでござるか?」

 「大丈夫だ。問題ない」

 「その言葉はフラグになりそうですが、頼みましたぞ……では、いち、にの、さん!」

 

 明見の合図で女の子達の元へ駆け寄り肩に俵を乗せるようにする。それで三人を担ぎ上げ明見の元へ急ぐ。


 「あ、お前ら何をしている!」

 「回収完了!明見、早く!」

 「ほいきた!ハンヴィーでござるぅ!」


 明見が造ったのはアメリカ軍用車両のハンヴィー。六人乗りだ。僕達はそこの後部座席に女の子達を放り込み僕達も飛び乗る。


 「おら、土産だ!『聖剣爆弾』!」


 佐藤がハンヴィーに乗りながら《金庫番セーフウォッチャー》で剣を射ち牽制する。


 「ぬぅ……待て!貴様らぁぁぁぁ!」


 ハンヴィーは周りにいた弱い魔族を弾き飛ばしながら勢いよく走り出した。


 

 「ふぅ……危なかったぜ……」


 魔族の軍勢からなんとか抜け出した僕達は草原を走っている。奥の方にはまた魔族の軍勢が見え、僕達が墜ちたときに分断した可能性がある。


 「本当にね。で、なんか情報は聞き出せたの?」

 「おう、煽りながら聞いたらポロポロ情報こぼしたわ。ここは帝国とその海岸線のちょうど間。海岸線の突破に成功したからそのまま帝国を滅ぼすんだと。現にその属国をいくつか潰して回ったらしい」

 「はぁ!?」

 

 ここ帝国と魔大陸側の海岸線の間!?しかも攻められてる!?なんで連絡は来て……あ、都市国家連合の宿に置いてきたんだ……。

 

 「やびゃい」

 「は?」


 真っ青になった僕をキョトンとした目で見つめる佐藤を無視して運転してる明見の頭を叩いて騒ぐ。


 「早く早く早く!じゃないと僕処刑されるぅ!?」

 「「はぁ!?」」

SCP-447-《緑のスライム》

オブジェクトクラス Safe

SCP-447は直径五センチほどのスポンジ状のボール。それは絶え間なく緑色のスライム(SCP-447-2)を排泄する。

SCP-447-2は混ぜたり、掛けたりした物の『機能』を向上させることができる。

例えば、銃のメンテナンスオイルの代わりにSCP-447-2を使えばその銃は射程、弾速が上昇し、この小説のように薬などに混ぜれば効果を上げたり、消臭効果を与えることができる。

ただし、死体には絶対に接触させるな。その場合その死体はKeterクラスオブジェクトと見なされる。

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ストーカーの転生憚~前世では守れなかった貴女を、今度こそ~
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