進撃の魔族
視点変わってヴラジ帝国リーゼロッテさんです。
「ヨシヒコからの返答がない!?」
場所は変わり、帝国。その帝国は、未曾有の危機に陥っていた。
「くそ、海岸線の防衛ラインが突破されたと言うのに彼は何をやっているのだ‼」
騎士団対策本部ではリーゼロッテの悲痛な声が響いている。
すでに来ていた勇者は使い物にならなくなった。
死んではいない。《七大罪》の《色欲》との戦闘で大怪我を負ったのだ。そして、その勇者の仲間のうち二人が裏切った。《色欲》の権能、《魅了》による洗脳だった。
「やはり彼はここに拘束すべきだったか……くそ!聖王国から救援の様子は無い。見捨てられたか?」
他の勇者が来る様子はない。そのような伝令も、何も届きはしなかった。
そして今、魔王の軍勢は帝国の海岸線近くの属国を食い潰しながら進んできている。帝都に辿り着くまで一週間とかからないだろう。
「いったいどうすれば良いのだ……」
無意識に腰に帯いた聖剣、エクスカリバーを撫でる。自身に圧倒的な身体能力を与え、万物を切り裂かんばかりの鋭さを持ったこの剣。この剣を作り出した青年を、あの頼りなさそうな笑顔を浮かべる彼を思い出す。必ず戻ると言った彼の消息が掴めない。
その事を考えると、何故か不安になった。
裏切りは有り得ると思っていた。色々とわからない青年だった。異界の勇者だと言っていたが、帝国に来た勇者は余り彼のことについて知らなかった。
だから、本当に彼が何者なのかわからなかった。ただ、あの独房での一時と、《七大罪》の攻撃から身を挺して自分を守った彼を信用していた。
腹に風穴を開けられながら必死に勝利するための道を探し、見事繋いだ彼を尊敬していた。
そんなことをしながら、いつもみたいに困ったような笑顔を浮かべる彼を―――
「報告します‼」
バン、と突然開かれたドアに意識は戻る。はっと自分が今まで何を考えていたか気付き顔が赤くなるが冷静に今の状況に対処しようとする。
「入るときはノックをしろと言われているだろう」
「そ、それが緊急のことです!」
そういわれ体に緊張が走る。この状況下で緊急事態?まさか魔族の進行が早まったか―――
「魔族の軍勢中心部に謎の飛行物体が墜落!中にいた3人の人間に見える者が魔族と戦闘中です!」
それは、絶望の中の光なのか、それとも―――
「なんでこんなとこにいるのぉぉぉぉぉ!?」
ただのバカか。
皆さんゴールデンウィーク何しました?僕は……何もなかったです……
五月六日 小説ラストの台詞を変えました。




