森にて
「んくっ、んくっ、んくっ」
こくこくと水筒を両手で持ち上げて中身を飲む。相変わらず変な味の癖に無性に美味い。
「ぷはぁー、しっかし、どこを歩いても森、森、森……魔物すら出てこないってどういうこと?」
そう、今まで歩いてきてこの森で虫の一匹も見ていない。普通こんな大規模な森を作るには他の動物の助けが必要だと思うのだが、ミミズすらいない。地面をほじくりかえしてみようとするが結構固くて持っている剣では地面を掘れなかった。
木も木でおかしかった。
「かった……!?」
すごい硬い。剣で叩いても傷ひとつ付いた様子がなかった。なにここ?魔境?
目的もなく更に歩く。日が暮れたら周囲に落ちてる葉っぱをかき集めて布団のような感じにしてそこに潜り込み体温の低下を防ぐ。病気が怖いが、それに付随する医療系SCP-は召喚できなくなっていた。
「どんどん道を塞がれてるな……」
このままでは本当にこの森で一生ピザと不思議な水生活だ。いや、病気が先かな?
そんなことを考えていたとき、突然今までなかった音が聞こえ始めた。
『佐藤殿ぉ……食料と水はあとどれくらいでござるかぁ……』
『あと……二人で0.5回分』
『あぁ……詰んだでござるなぁ』
どうやら人間だ。僕と同じように遭難したクチらしい。それに佐藤?なんか僕のクラスにそんなのがいたような……
『佐藤殿……その食料は貴殿一人で食べられると良かろう……』
『バカ、お前何言ってんだ!?お前の分まで取れるわけがねぇだろぉが!』
『いや……ぶっちゃけ拙者これから最期の『贋作』に入りますので……』
『馬鹿野郎!』
バキッとなんか殴る音も聞こえてきた。
『手前一人で生き残ってどうすんだボケェ!俺はな、てめぇと生きるんだ、明見!』
『佐藤殿……』
『折角異世界に来たんだぞ⁉そんな簡単に諦めてんじゃねぇよ‼これから一緒に鳳凰院出し抜いて魔王倒してハーレム一緒にやるんだろ!?諦めんなよ‼』
『そう、でござるな……!こんなところで諦められないでござる!拙者は……拙者達は、絶対に帰るんでござる!』
あー、やっぱりそうかぁ……。
「君たちかぁ、オタクブラザーズ」
「「!?」」
そこには、クラスで僕とは違う系統のオタクだった佐藤遥斗と明見寛人がいた。




