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ゲーム実況による攻略と逆襲の異世界神戦記(アウタラグナ) 作者:かすがまる

第1部

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08 ドラデモ的補正について/童女は抱擁する、父の剣と温もりを

 奇跡の力は、望みの力。
 乞うて授かり、願って叶い、いずれ世界を変えるに至る。


◆◆◆


 仕事休みたいです。でも辞めさせないでくださいお願いします死んでしまっ。

 はい、というわけで、いもでんぷんなんですけども。

 今の火魔法、普通にすんごいですね。思わず衝撃の反復横跳び円陣ですわ。後ろの正面常にクロイちゃんですわ。へいへい魔術師焦ってるう。

 改めて結論。DX版って、やっぱり人間救済パッチっぽい。

 ステータスを見るに、この≪猛炎≫って魔法はヴァンパイア倒せます。並のやつなら一発で。エルフだと魔法抵抗値と属性相性的に少し厳しいですけど、ダメージは通りますからね。そうなりゃ後は工夫次第だもの。

 ん? おお、見る間に魔術師の信仰値が上がっていく。

 よしよし。鬼神の総信仰値も上昇継続待ったなし。騎士も信仰値跳ね上がったし、神官は相変わらずだし、一般兵や開拓民も徐々にだけど信仰値増えてるし。

 でも、今、いもでんぷん的に注目株はシラちゃん。

 この子やばいですね。そのうち「使徒」になれんじゃねってくらい。なんかもう≪アセプト≫系をゲットしてるし。「従僕」ボーナス込みの制限版とはいえ。

 んで、我らがクロイちゃんはといえば……もどかしい、っていうか勿体ない。

 クロイちゃん自身の信仰値は既にMAXで、「使徒」としてのボーナスを受ける条件はほとんど満たしてるってのに、肝心要の鬼神のパワーが足りてないんです。ぶっちゃけ、鬼神さん弱いっすよ。竜神や魔神に比べると。

 さすがはドラデモ。人間救済パッチでも人間冷遇を忘れない。

 鬼神さんがこのままじゃあ……結局、人間滅ぶんじゃね?

 まあ、要は総信仰値の問題なんですよね。数字が低けりゃパワーも低い。総人口としては、ヴァンパイアもエルフも人間もさして変わらないんですけどねえ……宗教がうまく機能してない感じかな、人間は。祈り先を間違ってる的な?

 とりあえずクロイちゃんの周りはいい感じなんで、これを広げてくしかー。

 うーん。能力値高いし≪アセプト・ブレード≫あるしで、クロイちゃんの生存はもう楽勝なんだけどなあ。開拓地守るってなると≪コール≫系が……鬼神ェ…。

 何とかなんないかなー。何とかしたいなー。

 どうにかして、この開拓地を存続させたいですねえ。

 魔物襲撃からのリカバリー、素晴らしいんですよね。高速進行で飛ばし見してたんですけど、治安度の回復といい民満足度の向上といい、ちょっと目を見張るものがありましたよ。貯蔵物資が駄目にならなかったってのが大きいかな。

 再軍備再防衛の流れも芸術的ですねえ。実にいい。ええと……負傷兵は除くとして、兵数は三百二十八人か。軍馬はそれより多くて五百三十頭。よしよし。

 軍馬大事。騎兵が鍵ですからね、人間で戦争する時は。

 ドラデモの特徴として、種族により上手に扱える武器が限定されるって点があります。守護神の恩恵だか呪縛だかは魔法属性のみならずってことですな。

 人間の場合は刃物系で、剣、槍、斧など。ヴァンパイアは鈍器系で、棍、槌、拳など。エルフは弓矢ほぼ一択。これにヴァンパイアの怪力とエルフの魔力とを加味すると、自ずと戦闘方法も限定されていきます。

 別に人間だと弓矢を使えないってわけじゃないんですけどね?

 エルフ相手に矢射っても、風魔法使われて当たりゃしません。逆に向こうのは最悪ホーミングして射抜いてきます。怖い。ヴァンパイアと金棒で勝負すると地獄絵図になります。子ども相手に力士がガチで張り手してくるイメージ。惨い。

 で、騎兵に望みを託すしかないわけです。ヴァンパイアもエルフも馬に嫌われていて乗馬できませんからね。

 それにしたって、どれだけ粘れるかって話でしかなく。

 人間が負けるのは大前提……だった。過去形語り。

 鬼神ありのDX版は……もしかしたら……もしかするかなあ?


◆◆◆


 シラ、目が覚めちゃった。ぬくもりが離れちゃったから。

 まだ夜明け前。寝台はシラだけ。お父さんの剣は、これだけじゃ、冷たくて硬いばっかり。やっぱりクロイ様がいないと駄目みたい。

 外へ出た。いた。すぐ見つかった。

 クロイ様。

 じっと遠くを見てる。真っ暗な空。あっちは夜明けが隠れてる方だ。なんだかクロイ様みたい。静かな黒の中にあったかな火。見えなくてもわかる、感じる、光。

 あ、風。

 クロイ様の、夜よりも真っ黒な髪がしっとりと流れた。きれい。魔物の血をたくさん浴びて、吸い取って、一本一本が剣になるのかも。

 袋で包んだ剣を、ぎゅって抱いた。クロイ様が帰らせてくれた、お父さんの剣。

 神様が、いるんだね。今も近くに。

 うん。だからあったかい。お父さんの手のぬくもりが、戻ってきた。ぎゅってしてくれる。頭を撫でてくれる。ほっぺたをぷにぷにするのは、ちょっと嫌だけど、お父さんの癖だからね。

 ほら、クロイ様が見てるよ? 変な顔にしないで。笑われちゃうよ。

「シラ」

 ああもう、お父さんってば。クロイ様に呼ばれたよ。

「伏せて」

 え?

 クロイ様が跳んだ。わ、シラの肩を踏んだ? ううん、重くなかったから、きっとお父さんの手を踏んだんだ。

 それで、もっと跳んで、星空高くで―――鳥を斬った。

 夜なのに、鳥? それとも?

「シラ、灯りを」

 クロイ様は斬ったものを見下ろしてる。手の細剣を消さないってことは。

 まだ、何か来る? それは敵?

 走る。厨房へ駆け込んで、かまどへ。灰の中の種火を掘り出して、干し草を乗せて、吹く。強すぎた。落ち着かなきゃ。火を起こさなきゃ。

「シラ、どうしたってんだ」

 手品のおじさん、いいところに。

「来て! クロイ様、外、灯りを……!」
「っ! わかった任せろ!」

 おじさんは、たいまつだけじゃなく木炭もつかんだ。あれをやる気かも。一緒に外へ。クロイ様のところへ。

「クロイ!」

 バチンって音でたいまつが灯った。今のも、おじさんの魔法?

 クロイ様は、鳥か何かの死体のところに立ったまま。細剣も持ったまま。どこの誰が、何と戦った剣なんだろう。銀色の蔦草みたいなつばつか

「これは……こいつは!」

 たいまつが照らしたものを見て、おじさんが怖い顔をした。

 やっぱり鳥。煤に汚れたような色の羽毛。黒いくちばしと脚。白く濁った目。

忌鷺きさぎじゃねえか! 耳長どもの使役する、眷属の!」
「うん。夜の物見」

 え? おじさん、耳長って。

 それは、エルフのこと。魔法の力の恐ろしい、白い肌の、森の主。

 それに、クロイ様、物見って。それって。

「はあ? 何だって、こんな、人間の開拓地に……」
「経過確認、です、かねえ」

 小太りの司祭さんだ。慌てて走ってきたのかな。息がムフムフうるさいし、帯も結んでないし。

「エルフが夜に物見する。ムフ、ムフ。ヴァンパイア相手でもなしに。ムッフ。これの意味するところは明々の白々、我々がどれくらいに滅んでいるかを確かめたかったのでしょう」
「そりゃあ……そうか、魔物の……くそ! 耳長め!」
「トロールか群れか、どちらかだけを打ち払っていれば、我々は三日ほど抗って死に果てたでしょう。どちらにも叩き伏せられていたなら、一晩で滅んで、魔物同士の潰し合いがやはり三日ほどは」
「畜生が……随分と徹底的じゃねえか」
「そう、妙に徹底しているのですよ。東の方ではエルフに助けられた開拓地もあると聞きますが」

 大人が二人して難しい話をしてる。悪い顔。あれ? 十人も二十人もの兵隊さんが、いつの間にか周りに立ってた。守ってくれてるのかな。

 クロイ様は、うつむいる。薄目でじっとして……何かを探してる?

「あっ」

 声が出ちゃった。だって、剣が。

 お父さんの手が、お父さんの剣を、シラの足元へ突き刺したから。

「どうした! って、おお、お手柄じゃねえか」
「うふ、それもまたエルフの尖兵。本当に徹底していますねえ」
「怪我してねえだろうな、シラ。剣なんて重いだろうに」

 剣は、一匹のトカゲを真っ二つにしてた。

 水色の鱗で一つ目のトカゲを。冷たい血を流す、その魔物を。
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