挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ゲーム実況による攻略と逆襲の異世界神戦記(アウタラグナ) 作者:かすがまる

第1部

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

13/44

13 童女は誓約する、揺れる神の影に/ドラデモ的トラブルについて

 神は示してくれる。戦技を、戦法を、戦術を、戦略を。
 百戦錬磨の凄まじさ……万難を斬り裂く、神の刃そのものだ。


◆◆◆


 エルフは、シラたち人間と違う。

 真っ白な肌。薄い色の髪は、細くて、風にも水にも溶けてしまいそう。ひらひらした服と編み靴。空を飛んだり、すーって滑るみたいに歩いたりする。

 絵物語に出てくる妖精みたいだけど……すごく怖い。

 目が、冷たいんだ。氷のよう。

 遠くからシラたちを観察していて、微笑んでくる。でも油断しちゃ駄目。弓の弦を鳴らしたり、豹や鷹をけしかけたりして、おどかしてくるから。慌てるシラたちを見て楽しそうに笑うから。

 綺麗な石の飾りを放られたことがあった。拾おうとした子を止めたのは、シラ。だって矢がつがえられてたから。あのエルフは本当に射る気だったと思う。

 クロイ様は、エルフを見張ってる。

 ずっと見てる。魔物を見る時と同じ目で。夜も眠らないで、ずっと。ずっと。今夜も瓦礫の塔の上、夜よりも黒い髪をしっとりと垂らして。

「クロイ様は……エルフが嫌い?」

 聞いてみた。聞いておかないといけないって、思ったから。

「ううん」
「人を殺すのに?」
「うん」
「……やっつけたのに?」
「うん」

 好き嫌いじゃないのかな、クロイ様が戦う理由って。魔物を倒す時も、すごく真剣な顔をしてたけど、別に憎んでるって感じじゃなかったもん。

「なら……なんで?」

 強いから戦うっていうのじゃ、嫌だな。そんなの。

「怒っているから」
「え?」
「だから、戦う」

 そんな風には見えない。全然。クロイ様はいつも静かだもん。

「誰を、怒ってるの?」
「世界を」
「世界……この世界?」
「うん。このままにはしておかない」

 世界。シラたちが生きる場所。死ぬ場所……殺される場所かもしれないけど。

「どうして?」
「人間がいなくてもいいから」

 あ、それって。

「この世界は、人間を必要としていないから」

 うん、うん。

「それが、ひどく憤ろしい……ワタシは」

 わかる。わかるよ、クロイ様。

 お父さんも言ってた。世界はとても薄情だって。だから、どんなに危険でも、戦うことをやめられないって。戦わないと、情けなくて情けなくて堪らないって。

 人間には神様がいなくて。

 だから何をやっても、弱くて。敵わなくて。何も叶わなくて。

 それで、言葉を話す他の種族からは相手にされない。好かれない。嫌われない。無視されるわけでもない。もっと情けなくなるような雑さで……適当に厳しくて適当に優しい……どうでもいいっていう態度なんだ。エルフもヴァンパイアも。

 そうか……相手にされないと、誰かを憎むこともできないんだ。

 叫び出したくなるような、この思いは……うん……怒りだ。

 シラたちもここにいるんだぞっていう、涙が出ちゃうような、大絶叫だ。

「……教えておく」
「はい」
「神は、ずっと側にいてくれるわけじゃない」
「え! え、それは、どういう……」
「神には神の戦いがあるからだと、思う」

 神々の戦い……エルフの神とヴァンパイアの神はずっと昔から戦ってるって、司祭さんが話してたな。大変迷惑な取っ組み合いをしてますって。

「エルフの、トカゲの化物と……ヴァンパイアの、コウモリの親玉?」
「……人間の神は、鬼」
「おに?」
「戦の鬼。戦って戦って戦って、今またワタシを導き戦っている、火炎の軍神」

 言い切るクロイ様の背に、ゆらゆらと、気配。とてもとても大きな。

 座ってる……鎮座してる? 神院に飾られてる絵とか像とかと違って、何本も手があるわけじゃなくて、剣とか槍とかも持ってなくて……不思議な道具に囲まれてて……目を閉じてる。顔はわからないけど、目をつむっているのは、わかる。

 神様がいる。シラに見えるこれは、たぶん神様の影でしかないけど。

 でも、そこにいる。クロイ様の側にいる。感じるんだ。神様を。

 あの目が開かれた時……また戦いが始まるんだ。きっと。

「シラ」

 クロイ様の声。神様の力を宿した、綺麗な声。

「いつかワタシが倒れたら……その時は、あなたの番」

 込み上げる悲鳴を噛んで殺して、聞く。聞かなきゃいけない。

「備えなさい。全てを懸けて」

 うなずいた。命懸けのうなずきだ。

 だって、これは誓約だから。神様との約束だから。

 だから、ね、お父さん。シラも戦うよ。人間らしく、誇らしく在るために。


◆◆◆


 んはっ、寝てた。今寝ちゃってましたよ。でも戦闘なかったからセーフ。

 こんな時はコーヒー様だ! いもでんぷんはインスタントがば入れお湯ドバー派です。砂糖もミルクもスプーンも要らぬう。ああ、美味い……神の飲み物だよお。

 さてさて、ここらでちょっと開拓地の現状を評価しときましょうか。

 んー、まずまず。七十点。

 エルフ軍の進駐って割と危険度が高いんですけどね。民満足度急降下の突発イベント多いから。なんていうか、こう、エルフさんってば煽り上手というか差別主義者というか……基本的に無神経なんですよね。やり方が。

 いわゆる戦争犯罪は諸々犯されるとして……ドラデモ的リアリティェ……エルフ進駐で多発するのは、住居系のトラブルです。

 森で暮らす種族だから、なんですかねぇ?

 エルフ、家をオモチャみたく考えてて、すーぐに没収するんですよ。そんで特に意味もなく散らかしたり、記念品漁ったり、弓矢の的にしたり、アートを施したり……全部、人間には野宿を強要しておいてですからねえ。

 あと、子供を狙う。レート大丈夫かってくらいに子供を弄ぶんですわ。

 エルフキャラでプレイするとわかるんですけど、エルフにとって人間の子供って珍獣なんですよ。エルフ、育児しないから。幼生体の時は完全集団生活だし。

 しかも眷属獣の好物がねえ……ラムとマトンじゃないんだから。んもう。

 そんなわけで、先だっての戦闘イベントは一応予想していたのでした。別のとこ警戒してたせいで兵士に犠牲出ちゃいましたが。

 ぶつかっちゃえば、楽勝なんですよねえ。

 エルフの風使い二人に、水使い一人、そして銀豹六匹ねえ……今のクロイちゃんを止めたいのならその十倍でも足らんよー。はっはー。

 何せ《アセプト・ブレード》がある上に、近接戦闘に特化させた《火刃》持ちですからね。エルフにとっちゃ、ヴァンパイアの《雷撃》持ち並みに天敵ですわ。あ、どちらも敵の魔法ぶち破る系のスキルです。物理で殴りたい人向け。

 ただ、ねえ……こちらも油断大敵だったりします。

 ほら、サドンデス子いますから。『鷹羽』のフレリュウが。

 あいつ、あのねえちゃん、《アセプト・ホークテイル》って魔法使うんですよ。召喚系の、鷹の尾羽を呼び出すやつを。

 んで、それを風魔法で自由自在に飛ばしてきます。要はホーミングするダーツ。しかも無音、無挙動、無限弾数でマルチロックオンあり。更には任意で毒を塗布。凶悪すぎます。どこの可変戦闘機だか超能力者専用兵器だかって話ですよマジで。

 暗殺、されたくないなあ……!

 主のサチケルちゃんは愛でときゃいいとして、あとはモブ将官かな。注意しとくべきなのは。あの中年エルフ、水の近接系っぽいし。

 でもま、エルフは味方ですから。今のところとりあえず多分一応は消極的に。

 とにかくも、次は対ヴァンパイア戦です。まず間違いなく襲ってくるんで。人間の開拓地にエルフが居座るのを、へーほーふーんって見過ごす連中じゃないんで。基本的に全員バトルジャンキーだし。人間のことリアルに食材扱いだし。

 生き残るとは言いません。ここは勝ち残ってやりますよ。我らがクロイちゃんの《コール》系も間に合いそうですしね。

 最大のネックは……直る気配なきシステムエラー。

 やばいですよ。なんか中断セーブできないんですけど。高速進行できないよりよっぽど致命的なんですけど。っていうか、今回のプレイ始めてまだ一回も中断してないんで、その、色々と人としてまずい気が!

 でもなあ……ここまで来てのデータ削除は嫌だしなあ……ふわーあ。失礼、あくびした……ここは、あれかな。最悪の場合は有給休暇で延長を……。

 うーん……『黄金』と『水底』に、一撃ぶちかまさないと……。

 …………すぅすぅ……もう食べられない……。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ