冒険者への憧れ(7)
遅くなりました
ちょっと長いです
「おっと、お願いをする前に自己紹介しておかないとな。俺はメイト。さっき君に無礼を働いたガラが悪いのがギュバラ、そっちの槍を持ってるのがブルガル、そこのエルフがシルファッス、ミファーナの事は知ってるんだよね?今はここにはいないサポートメンバーを併せて【深緑の牙】って言うパーティーを組んでるんだ。もうすぐパーティーの格が銀格に上がる資格を得られるんだ。ちなみに僕が代表ね」
なるほど。
このメイトと言う人当りの良い男がリーダーなのか。
メイトの対応は荒事を生業にしている冒険者としてはかなり丁寧な対応と言って良いと思う。
最初のギュバラの態度がひどすぎたとはいえ、丁寧に話しかけてくれているのだからこちらも名乗った方が良いだろう。
「レギオン家の三男のナイン・ド・レギオンです」
父との血縁は無いことが判明していて思うところもあるが、公的にはレギオン家の三男のままなのでそう名乗る。
メイトとギュバラ以外の3人は肩を落としてこちらを見ている。
3人にしてみれば、権力者の息子に自分たちの仲間が難癖つけたとなればいい気はしないだろうし、場合によっては自分たちにも火の粉が降りかかるかも、とか考えていそうだ。
ギュバラ?肩を落とした3人の足元に転がってるボロキレの名前だったはず。
こういったことがよくあることなのか、身動きが取れないようにミファーナが片足をかけている当たりが堂に入っているが、仕事中に仲間をボロキレレベルまでボコボコにするのはどうなんだろうな。
「さて、お互いに名乗り有ったことだし、さっき言った相談をさせてもらってもいいかな?」
メイトは先ほどからかなり年下の俺に対して丁寧な対応を崩さない。
強いだけでは冒険者として格を上げることはできないと聞いたことがあるが、こういった対応も必要と言うことだろう。
俺は無言で頷き話を促す。
「冒険者ギルドでの買い取り額を支払うので、赤火熊の魔石だけでも譲ってもらえないかい?」
「質問に質問で帰して申し訳ないが、なぜか聞かせてもらっても?」
「一応、この赤火熊の魔石があれば依頼達成になるからね。素材が無い分収入としては少なくなるが依頼失敗によるペナルティーを受けるよりずっと良いんだ」
冒険者ギルドの依頼として赤火熊の討伐依頼か何かの依頼を受けていたのであれば、ギュバラの態度も納得は行かないが多少は理解できるのだが。
「ペナルティーとは?」
「格も低いうちはあんまり関係ないんだけど、銀格ともなると色々あってね。総合評価で一定以上の水準を越えないと試験自体が受けられないんだ」
「総合評価?」
「まだ冒険者ギルドに入って無いならわからないかもしれないけど、能力、依頼達成、心証の3つだ。よくわからないって顔してるね。教えようか?」
確かによくわからない。
思わず質問をしてしまったが、話を聞く前に急いでやるべきことがある。
「話の前に火赤熊の血抜きをしたいんですが」
「血抜き?」
「しないと肉が不味くなると教わったんだ。解体は血抜きの後になるから魔石はそれまで待ってくれ」
「売ってくれるの?」
「金額によりますけど」
「本当かい?助かるよ。お礼と言っては何だけど血抜きと解体は手伝わしてもらっていいかな?」
「・・・こちらこそ助かります」
魔石は冒険者になってからじゃないとギルドに売ることが出来ないので溜めこんではいるが、今、現金になるならその方が助かると言うのが正直なところだ。
払ってくれる金額によっては小屋の改装をある程度進められるかもしれないし。
しかし、血抜きのためにそこらへんの木に吊るすんだが、獲物が大きすぎてアイテム袋を使ってもかなり手間がかかりそうだと思っていたところだった。
「では、あの木に吊るしますので太目の蔓を何本か取ってきてください」
「ロープくらいなら準備があるから貸そうか?」
「いえ、あのサイズではロープが痛むでしょうからやめておきましょう」
「わかった。おーい、そのボロはロープで括っておいて、ちょっと手伝ってくれ」
仲間すらボロ扱いか。
こちらの話も聞こえてたのか、残りの3人はテキパキとボロキレを簀巻きにして転がすと、一帯の茂みなどをかき分けながら蔓を集め始めた。
蔓を集めてもらってる間に俺は、周囲に転がってる自分の武器を拾い集めて血糊をぬぐってアイテム袋に放り込み、その流れで赤火熊の死体もアイテム袋に入れて吊り下げるのにちょうどよさげな木の下に出しなおす。
「アイテム袋持ってるのかい!?自由型?制約型?」
自由型と制約型ってのは聞いたことが無いが、おそらく誰でも使えるタイプと特定条件の者のみ使用できるタイプの違いの事だろう。
「俺の父親の血筋の者にしか使えないタイプだから盗んでも無駄だぞ」
「いや、もちろんそんなつもりは無いさ。血縁特定型とは珍しいね。パーティーの財産として持ってる奴らにあったことあるが冒険者だと自由型の方が使い勝手がいいんだ」
パーティーの中で一人しか使えないアイテム袋では、普段使いとしても勝手が悪いだろうし、冒険者は常に死ぬ可能性があるので死んだあと大変なことになるのだろう。
このあと赤火熊に蔦で括って吊り上げやすいように配置しなおしながらメイトに対して、俺は先ほどの話の続きを促す。
ちなみに、アイテム袋については実父の血筋の者にしか使えないのだから嘘は言っていない。
「あぁ、冒険者の話ね。能力、依頼達成、心証について説明しよう」
「お願いします」
メイトの説明によると冒険者本人の格を上げるには前述の3つをクリアしなければならない。
一つ目の能力と言うのは冒険者としての本人の能力のことで、例えば剣士であれば戦闘能力、治癒魔法使いであれば使える魔法のランクと魔力量等、それぞれの職業に必要な能力の事。
本人の努力次第で格あげに必要な能力は得られるし、努力しなければいつまでも上の格には上がれない。
依頼達成はポイント制で、自身のランクより上の依頼はより多くのポイントを得ることが出来るが、下のランクはポイントにならず、依頼の失敗でマイナスポイントがつく。
パーティーでポイントを均等に分配形となるため、人数が多いパーティーほど貯まりにくいが、安全かつ確実に依頼をこなすためにはある程度の人数が必要になるため、どこのパーティーも概ね4~6人程度のパーティーで落ち着くのだそうだ。
心証は依頼者やギルド職員等の応対等の印象の良し悪しで、依頼者から苦情が入れば本人の知らないところでマイナス査定となるため、実力は有っても上のランクになれない者はだいたいここで引っかかっている。
査定を受ることが出来てもギルド職員による多対一の面談を含むため、普段の行いが悪いとこの段階に来てもランクを上げられないことが多々ある。
ちなみに、能力と依頼達成の2点がともに一定以上に達してないと心証の査定を行ってもらえない。
そのうえで、例えば三分の二以上のパーティーメンバーの格が銀格に達すれば、晴れてパーティーとして銀格となる。
ちなみに、メイトたちのパーティーは、ミファーナとギュバラが鉄格で、もうすぐ規定のポイントに達する。
あといくつか依頼をこなせばミファーナが銀格になるため、パーティーとしても銀格として活動できるが、ギュバラは心証がかなり悪いのでその後どうするか方針を決めかねているらしい。
「と言うわけでね。今はパーティー全員でギュバラの態度を叩き直し中ってわけさ」
「ボロキレになるまでボコボコにするのはやりすぎの様な気もしますが」
「それでも直らないんだからしょうがない。自分が被害を受けかけたのにギュバラの心配とはずいぶんと優しいんだね」
「いえ、心配したわけではなく気になっただけです。なんでそんな人をパーティーに入れてるんですか?メンバーを変えた方が良いように思えますが?」
「あれで索敵や追跡なんかのサポート技術は一級品だし、遠距離攻撃もそれなりにこなすし、何より野外での料理の腕前がピカイチなんだよ。同等の手腕を持った人間を探そうと思うとかなり厳しいんだ」
人柄だけが問題ってわけだ。
新しいメンバーを入れるにしても経験を積ませるだけでもそれなりの時間が必要になるし、おそらくパーティーとしての役割分担や連携も完成していて新しい人間を入れれば一から模索する必要もあるだろう。
メンバーを変更する機を逸してしまって仕方なく継続しているんだろうな。
話ながら作業をしている間に【深緑の牙】の3人が蔦を取ってきてくれたので、後足を括った状態で赤火熊をアイテムボックスに仕舞い、吊るす予定の木の上に登ってアイテムボックスから出す。
赤火熊の体が地面につかないよう、ボックスから出すと同時に蔓を俺がもって枝の反対側に飛び降りると、蔦の摩擦と相まってぶら下がったので、そのまま地面に残っている蔦を落とし、【深緑の牙】に木の幹に結び付けてもらえば準備は完了。
赤火熊の足首の動脈と首の頸動脈を目がけて剣を突き刺すと、胎内に残っていた血液が頸動脈から流れ出る。
そのままでは血の臭いで魔物が寄ってきてしまうので魔よけの草を炊く。
後は血が出なくなるまでは何もすることが無いので、普段であれば魔よけの効果が及ぶ範囲で食べられる野草を探したりするが今日は違う。
「しばらくは何もすることが無いので、この赤火熊の魔石について話をまとめておきましょう」
「売ってくれるってことで良いんだよね?」
「はい。金額次第ではそれ以外の素材もある程度は譲りますよ?」
どうせこれだけの肉を一人で食い切ることはできないし、毛皮以外の素材はすぐには使えない。
なにより現状では現金はいくらあっても足りないのだから。
「本当かい?」
「えぇ。肉と毛皮はある程度確保したいですが」
「確かに毛皮は火の魔法にかなり強い特性を持っているが……肉?」
「食用です」
「……もしかしなくても素材の良し悪しとかよくわかって無いよね?」
図星だったので思わず言葉に窮してしまったが、そもそもまだ冒険者として登録していないので知らないことは恥ではない。
メイトは俺の無言をもって肯定と取ったのか話をつづけた。
「魔物の素材は通常の獣より魔力を多く内包しているから、ある程度以上の魔物であれば冒険者ギルドでそれなりの金額で買い取ってもらえるんだよ」
「緑子鬼や森狼もですか?」
「緑子鬼は素材として取る部分は全くないよ。森狼の毛皮や牙なら小遣い程度にはなるね」
「今までずっと毛皮を剥いだ後は内臓を捨てた後、骨ごと肉屋に渡してました」
「牙は一つずつじゃたいした金額じゃないけど、年単位で渡していたなら肉屋は大層な儲けだね」
あの町の商店は味方じゃないとは思ってたけど、知らないとは言えそこまでとはガックリ来る。
どうせ今までの素材の分の金額なんて肉屋の懐に入ってるか親父に渡されてしまってるんだろうから何も言うまい。
「魔石はどうしてる?」
「あれば抜いて溜めこんでます。冒険者登録したら売ろうと思って」
「それが良いだろうね。ちなみに赤火熊の素材は毛皮のほかは肝と詰めと牙、目玉は触媒になるからそれも金になるね。冒険者ギルドで買い取ってもらうのが安定した金額になるけど、目玉とかの触媒は錬金術師に直接持ち込めば買い取ってもらえるかもね」
そんなに色々と素材が取れるものなのか。
「赤火熊の毛皮は少し重量があるけど、柔軟で防刃性能と耐火性能が高い素材だ。見たところちゃんとした防具をつけているようには見えないから、できれば革を扱ってる職人に直接持ち込んで自分に合った防具をつくるといいよ。素材持ち込みだから工賃に色を付けた程度の金額で作ってくれると思うよ。余った分は買い取ってもらうよう交渉すればより安くつくれるしね」
「なぜそんなに丁寧に教えてくれるんですか?」
「手負いとはいえ赤火熊を単独で討伐できるほどの腕利きだ。将来有望な若者に親切にして顔を売っておこうと思ったのさ」
随分と明け透けに言っているが、そういった裏表の無い感じも人として好感が持てる。
「本当は全部売ってもらえるとこっちも助かるんだけど、売ってもらう素材について僕の提案を聞いてもらえるかな?」
「お願いします」
「では、最初のお願い通り魔石はできれば譲ってほしい。それから目玉と肝はこちらで引き取ろう。理由は痛むのが早い素材だから売る伝手が無ければ無駄にする素材だからだ。それと牙は痛みはしないが冒険者ギルドで買い取ってもらう以外は個人的な伝手が必要な素材だから判断はナイン君に任せるよ。毛皮についてはさっき言ったように自分の装備を整えるために全部確保しておくべきだろう。肉は……食べるのかい?」
「食べますが食いきれない分は肉屋にもっていきます」
「火赤熊の肉は美味いからね。肉屋に持ってく分の一部を譲ってほしい」
「骨も素材になりますか?」
「いや、骨はさらに大型の魔物なら用途もあるんだけどね。骨が素材として買い取ってもらえる基準は触媒になるタイプ以外だと、サイズとして大人の男性の身の丈の3倍以上と思っておいてくれ」
「それは何故ですか?」
「サイズの大きい魔物は自重を支えるために骨の強度が高いと言われている。そのサイズの魔物になれば内包している魔力も桁違いだから捨てるところは無い」
赤火熊ですら初めて見る巨体なのに、身の丈の3倍ってそんな大きさの魔物はこの森の浅い地域ではお目にかかれない。
と言うか、そんな大きさの魔物がこんなに町に近い界隈に出没したら討伐軍を編成するか、金格以上の冒険者にでも依頼しないといけない事態だ。
「その素材を買い取ってもらうのでかまわないんですが、一つ条件と言うかお願いがあります」
「なんだい?」
「買い取り額は半額で良いいです。そのかわり、初歩の攻撃魔法を教えてもらえませんか?」
「魔法?シルファッス、どうだい?」
「金額的に見合うのは初歩の攻撃魔法2つと言ったところでしょうか。でも、私が片手間に教えるより家で家庭教師を雇った方がより効率的なのでは?」
「ちょっと事情がありまして、家では治癒魔法しか教えてもらえないんです」
「まぁ、出銭が減るのはこっちとしてはありがたい申し出だけどね。どんな魔法が好みだい?」
「メイト、ちょっとお待ちください」
シルファッスと呼ばれたエルフの男性がメイトを止める形で俺の返答を遮った。
「ナイン殿、あなたは主にこの森を狩場としているのだろうと認識していますが間違いありませんか?」
「そうですね。あとは街までの草原です」
「なるほど。何故、魔法が必要なのですか?」
なんだか色々と聞いてくるが、魔法を教えてもらうのに必要なのだろう。
「草原では投石で獲物をしとめていたんですが、森の中の獲物はそれだけで倒すのは難しいんです。弓矢を使うことを考えていたのですがこの機会に魔法を教えてもらえればと思って」
「先ほど治癒魔法は見せていただきましたがそれ以外は使えないと?」
「そうです」
「なるほど……」
シルファッスはうつむいて何やらしばらく考え込んでいたが、急にこちらを向いて話し始めた。
「了解しました。ちょっとこちらの足が出ますがメイトの言ったように貴方に恩を売っておくのは悪くない考えだと判断しました。教える魔法は3つ。基礎魔法の【ブリーズ】【ピュアウォーター】、初歩攻撃魔法は風属性の【ウィンドショット】を教えましょう」
3つも教えてくれるなら願ったりだが攻撃魔法って言うと【ファイヤーショット】とか火の魔法ってイメージが強く少し疑問が生じた。
「なぜその3つなんですか?」
「まず、攻撃魔法と言うと火属性の魔法を想像すると思いますが、実は攻撃力は高いですが使いどころを選ぶ属性なのです。例えば森や草原などで使い損なうと火事なってしまいます。同じ理由で家屋の中でも使えませんし、ダンジョン内等の熱がこもる閉所で使うと呼吸困難に見舞われる可能性があるので勧めできません。火の魔法と言うのはどちらかというと戦争等で活躍する魔法なのです」
そうだったのか。
自分が火の魔法を使って派手に敵を倒すことを想像してたけど俺の狩場的にもあまり良い選択ではないようだ。
「ナイン殿が使うなら土属性と言う選択肢もいいのですが、残念ながら私が使えないので教えることが出来ません」
使えない魔法は教えられないのはわかる。
「攻撃魔法を習ったことの無い方達にはあまり知られていない事なのですが、各属性の攻撃魔法を使うにはその基礎となる魔法を覚えている必要があります。私が教える風属性か水属性の攻撃魔法を覚えるために、基礎魔法の【ブリーズ】か【ピュアウォーター】が必須になります」
俺は魔法は治癒魔法しか習ったことが無いが、母から最初に習った治癒魔法は確かに治癒に直接関係ない【スピィシィフィク】と言う怪我や病気の場所がわかる魔法で、怪我であれば目視できるし、内臓の病気であれば本人に聞いた方が早い。しかも、場所を特定しても使う魔力が減るわけではないのであまり意味が無い魔法だ。
小さいながらになぜこんな魔法を覚えなければいけないのかわからなかったし、習得して以来一回も使ったことが無いので俺の中でつながって無かったが、あれが基礎魔法なんだろう。
「【ピュアウォーター】で出した水は飲料水として利用できるので人を問わず便利な魔法となります。金銭に余裕がある方達でこの魔法と火属性の魔法の【イグニッション】をだけ覚える人は割と多いと言えます」
「【ブリーズ】はそよ風を起こす魔法で精々が部屋の喚起程度にしか使えません。しかし、風属性の攻撃魔法【ウィンドショット】を教えるためには必要な魔法です。水属性の【アクアショット】でも良いのですが、より隠密性の高い【ウィンドショット】の方があなたに適しているでしょう。ただし、鳥系の魔物には風の攻撃魔法が効きづらいものが多いですし、魔物の格が上がると魔法を感知して避けるものもいます。魔法は万能ではないのでそれだけは覚えておいてください」
かなり長い説明だったが確かに理に適ってるようだ。
森で暮らせるのは飲料として使える泉を見つけることが出来たからだし、魔法で水が出せるメリットはかなり大きいだろうし、狩をするのに隠密性の高い攻撃魔法と言うのも魅力的だ。
「丁寧に説明いただいてありがとうございます。その3つの魔法を教えてください」
「魔法を覚えてもらうためには準備が必要になります。解体が終わるまでには完了すると思いますので失礼します」
魔法を覚えるのに準備が必要?
なんかそんな話は聞いたことが無いし、俺が覚えた時はそんなことしなかったような気がするな。
まぁ、あれだけ丁寧に説明してくれたシルファッスさんだし必要ないことはしないだろう。
「さてナイン君、シルファッスの長話の間に血抜きもほとんど完了したようだし解体しようか」
「そうですね。肝も必要であれば腹を裂くのはお任せしてもいいですか?」
「もちろんだとも。ところで、領主の一族である君がこんなところで猟師の真似事してるのは何故だい?」
自分が領主一族であるからこそ現状としては俺の獲物を横取りしないと言う態度を示しているところに俺の境遇を話して問題無いと言う確信は持てなかった。
「自分の未来のためですよ」
ちょっと格好つけつつ相手が何とでも取れるような表現で返したのに、どうやらそれを理解しつつメイトはニコニコとうなずいてくれた。
【深緑の牙】
メイト 人間♂ 剣士
ブルガル 人間♂ 槍士
ギュバル 人間♂ レンジャー
ミファーナ 人間♀ 聖職者
シルファッス エルフ♂ 魔法使い