地下の地下
「もっと大きな石見つかったら今度はダビデ像作ってみようと思ってるんです。でもあっちの彫刻は裸のが多いからな~荷物持って貰うならエジプトとかマヤの石像とか良さそうですよね。スフィンクスとか」
地下都市ロックウェブの更に地下、地下2階部分を探索はいいのだが、ルーは素がそうなのか饒舌だ。
「想像を膨らますのはこつらに勝ってからだな。」
等間隔に設置された松明から姿をあらわした1匹に鞭の袈裟打ちで先制攻撃。
ゲッゲ
出てきたのは2足歩行の蛙『銅ガエル』腕は立ったまま地に着くほど長く、水っぽい姿の蛙ではなく乾いた皮膚のあちこちに鉱石を張り付いている。それが2匹
「1匹受け持ちます。」
妄想から醒めたルーに任せてもう一方を「ロン左の敵を攻撃しろ」1人と1体で倒すことに集中する。ガリア君は詠唱を始めているようだ。
って~ っパーンバシッ がう ゲコー
ここで戦闘態勢に入った銅ガエルの舌が俺の左肩に当たり、体感HPで10%ほど喰らう。鞭でお返しを連発してやるとロンが右足に噛みつき体勢を崩れた所に止め。横を見るとガリア君が放った黒い球が銅ガエルの体に当たり、姿を消した。
「これぐらいなら戦えそうですね。」
今までフィールドでばかり戦っていたが、ダンジョンも面白い。薄暗い通路を一歩ずつ歩く。そうすると十時の分かれ道が。どちらに行くべきか迷う。行き止まりにぽつんと置かれた宝箱。期待に胸を躍らせ開ける。100s。重なる舌打ち。振り返ると現れるモンスター。後ろは行き止まり。必死の戦闘。これはフィールドでは味わえないダンジョンの醍醐味に脳内物質がドバドバ溢れてくる。
「たぶん半分ぐらいマップ埋まりましたね」
地下3階へと行く階段とそこにいたゲートボスはこの階にある採掘場とは関係ないので無視。
「そういえばルーはなんでフェアリーリング始めたんだ?RPGやアクション目当てじゃないんだろ」
「えっとですね~元々はしーちゃ・・・木蓮に誘われたんですよ。現実では木蓮のお店にアクセサリーを置いてもらってたんですけど、あれって自分が作りたい物じゃなくてお客さんが欲しい物を欲しい値段から逆算して素材や出来る細工決めてそこからはみ出さない様商品を仕上げるんですよ。」
身一つですべての責任を背負う仕事をサラリーマンが切り捨てる言葉で「そりゃ仕事だから当たり前」と言えるような苦労ではないだろうな。
「私はまだ納品までですけど、木蓮は在庫納入した瞬間から倉庫の維持費用や人件費、売れ残れば損切りで値段下げなきゃだし、そんな時にこのゲームでなら税金や青色申告に悩まされなくって済むって聞いてすることにしたんです。結局彼女はイベントリの時「チャンスよ!」って言って情報や相場士みたいな事で巧く売り抜いて大金掴んで、それを元手に最上級素材でPコート風ローブやフォーマルスーツ、動物に見立てたフード付きの服とか色々仕立てて攻略組の布装備はほぼメイドイン木蓮なんですよ。あれはもう染み着いた性格ですね」
「隣の芝はって感じか。サラリーマンしてると上司の居ない仕事ってだけでバラ色にも観えるし」
雇われで事務所のペナント料から置いてある自分のデスクの面積で割って個人が売り上げないといけない最低金額出すようなものか。(青空申告ってのは個人店の主人全員が聞きたくないワード第1位の禁句)
で『ならでは』を1つ忘れてた。
「マップで埋まってないのはここを右 きゃぁぁぁ」
マッピングスキルを持つルーがT字路を曲がった瞬間消え、一瞬遅れて衝撃音。
「ははっダンジョンならではのトラップ忘れてたな。登れるか?手出しな」
「もぅ笑ってるじゃないですか。ハシゴがあるので大丈夫ですよ~」
ハシゴ?ここで閃いた俺を褒めてくれていい。むしろ自分で褒める。
「ちょいまち 周りの壁でおかしい場所ないか?」
「えっ普通の壁です あ この壁動きます。」
「BINGO ハシゴで降りるから待ってて」
トラップに引っかからないとわからない場所に隠し扉があるってことはその先には当然「宝箱ありましたよ」 待っててって言ったのに。
嫌らしい場所にある宝箱はそりゃ期待感が違う訳で。予想としては武器・防具。希望としては使い手を選ぶそれらじゃなくて、アイテム類か街に戻るまでワクワクを続けれる鑑定品。満場一致でハズレは現金だな「地図ですね。」天丼かよ。
宝箱から出てきたのは光輝く事もなく、存在感を示すでもなく箱の底板かと見紛うばかりの木の板。正面にはうっすらと大陸か巨大な島のような輪郭が描かれているが、×もついてなければ財宝の隠し場所も書いてない。
「マッピング持ちのルーが持ってるといいよ。落とし穴に落ちたおかげで取れたんだしな」
「それ皆に言わないでくださいよ っきゃ 消えちゃいました。 え?え?目線に地図があります?」
ルーの視線右上部分にダンジョンの地図が通った部分だけ白く色付けされ、メニューからいじれば公式でも出てなかった大陸地図が白地図で表示されているらしい。システムが搭載されているのだからおそらくだが次期ヴァージョンアップの新機能を先行して使えるようになったんだろう。ぜひとも状態以上であって欲しいが白地図はぁはぁしてる人がいます。
「こっち終わりました~でも薬がやばいです。」
「こっちは予想よりも捕獲出来て牧場の空きがやばいな。薬はゆとりあるからちょっと渡すわ」
ダンジョンの外枠が見えるようになり、探索は捗るものの目的だった石の採掘場が見つからない。もう一つのダンジョンならではを付け足すなら戦闘を回避できない事だろうか。何せ進行方向にいたら迂回するって手段がないし、扉があったら中を確認しないと目的地かどうかすらわからない。地図はだいぶ埋まってきたし一度帰還するべきかな。
「ありました。」
通路の先には運動場ほどの大きな広場があり、階壇状に掘り出された石にノミ後が残っている。しかしテンプレってなぜこう丁度よく話が進むのか。俺はしがない村人だったはずなのに全部吹っ飛ばしていきなり勇者属性手にいれたか?
げっげげこっこ(ここはオラが見つけた掘り場だっぺ まさか盗もうってんじゃねぇだろな お前達お客さんをちぃとばかし可愛がってやんな)
巨石の上に居る俺より頭一つ低い王冠を被ったコミカルなのが指示すると、その周りで石切作業していた腰ほどの身長の銅ガエルが戦闘態勢に入る。ボス戦は予定してたからいいとして、言葉と翻訳の量違いすぎるだろ。仲間に簡単な指示をしてこちらも戦闘開始。
命令に従って銅ガエルの群がのそのそと近づいてくる。その数約20。詠唱を始めるガリア君だが、ただ待ってるのも芸がないのでポケットから出した物をカエルの群に投下
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1
大爆発
ってってれ~ ダイナマイト~
まぁあれだ、ウソです。正式名称は「メガランブータン」薬師や錬金術師に頼み込んで作ってもらった完全オーダーメイド品。似た果物を栽培からお願いしたからめちゃめちゃ高くついたけど後悔はしていない。
げ~~~こげ(あんたなんばしよっとね 洞窟でそげな事しちゃあかんやろが おかぁちゃんに怒られっぞ)
母親より隣にいる女性の目が怖い。言ってなかったっけ?たしかに爆風てか熱風でこっちまでダメージきた気もしないではないが、銅ガエルもだいぶ黒く変色してるし効果はあったはず。万事おk




