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第57話 変なのが増えても変わるまい

『…………えぇーっと、保留で』



 後方でミスリルがズコーッと効果音が

 出そうなほどの勢いで転けた。


 いや、俺でもこの回答は無いと思う。うん。

 …………いや、でも、さぁ。



『……ふうん?』



 フラードさんが怖いです。いや、まあ分かるよ。

 自分の身体は万全じゃないし、死霊龍はまだ居るし。

 生き残りやその子孫の龍達も気になるだろうし。


 そんな時に仲間が情愛に現を抜かされては困るもんね。


 黒いペガサスに有るのかどうか分からないが、

 愛にかまけるつもりは無いとフラードに伝えた。



『…………はぁ。……そうか。

……それなら、良いのだろうか?……はぁ』



 それぞれの頭が同時に溜息を吐いた。

 ただ、態度や魔力が軟化したので悪い結果ではないだろう。


 黒いペガサスがそこに念話を挟む。



『……もしかして……好きなの……?』


『…………どういう、意味だ?』



 ペガサスはフラードを見つめて、

 合点がいったような表情を浮かべた。


 魔力の流れからすると念話を飛ばしているようだ。

 一体何の話をしているのだろうか。



『……分かった。……ナイショに……する』


『……そうしてくれると、助かる』


『え、結局何の話なんだ?』


『『……ナイショ(だ)』』


『……何だそりゃ』



 結局、二匹が何を話していたのかは

 分からずじまいとなったものの、

 いつの間にか打ち解けたので、

 どうやら戦闘になる事は回避出来そうだ。


 ちょっと安心した。もし戦おうものなら

 空島が破壊し尽くされる可能性も否めない。


 結局、ミスリルを蹴った後、ハイパーホーンらと共に

 無理矢理解散させた。これ以上騒ぎを大きくする

 必要も別に無いだろうしな。


 渋々と言った具合で引き返した彼らを見送り、

 その場には俺とフラードと、黒いペガサスだけになった。



『……そういえば、名前とか聞いてなかったな。

お前は名前とか、あるのか?』


『……名前……特には……ない……』


『そうか』


『……貴方……変な……魔力……』


『変?』


『……人のようで……馬のようで……龍のような……』


『……何じゃそりゃ』


『……魂の契約(ソウル・コントラクト)……してるから……』


『……ああ、初めてフラードに会った時やつか。

確か、この契約で名前を付けたな』


『……この契約……本来は……そんな用途じゃない……』


『……そうなのか?フラード?』


『……まぁ。……名を付けるだけなら、別の方法はあるな』


『……そうなのか。じゃあわざわざ"魂の契約"を

使った理由は何なんだ?』


『……それは……言えない……』


『……済まぬな。ナイショだ』


『……さっきの念話の奴か。分かったよ』


『……それより……私は……独り?』


『それよりって……。ともかく、いきなりは無いな。

せめて付き合って、お互いをよく知ってからだな』


『面倒……魔物に……そんな習慣は……無い……』


『……俺は元々人間だからな。

人間であることを忘れないように、

そういうところの線引きが大事だと思うんだ』


『……人間が……良い?』



 俺が返答する前に、ペガサスの身体が光に包まれて、

 人間の姿に変わる。が、裸だァァァッ!?



『……あ、アホかお前はッ!?フラード!』


『分かっている。……ほれ。隠したぞ』



 俺は慌てて背けた顔を戻した。

 すると、フラードにとぐろを巻かれて包まれた

 人間の姿になったペガサスがいた。


 ……そうやって隠すのね。


 さておき、この姿が変わったのは恐らく、

 フラードも持っている"変化"のスキルだろう。


 因みに見た目は長く、艷めいた

 黒髪をたなびかせる幼女だ。


 地球だったら日本どころか世界中でアウトだよ。


 うん、何故その姿にしたんだ。

 頼むからさっさと元の姿に戻ってくれ。



『……人間が……良い……』


『いや、中身が馬だろお前』



 彼女の勘違いはとりあえず否定した。


 とりあえずこの場は解散して、俺は研究施設に戻る事にした。


 ところがペガサスの彼女が俺の傍から離れてくれない。

 さらに何故かフラードが対抗心を抱いて隣にいる。


 ぶっちゃけ邪魔。資料も読みにくいし。



『……読めない…………』



 黒ペガサス……面倒だな。"クロ"で。

 クロは資料を覗き込んで、残念そうに呟いた。


『……そりゃそうだろうよ。

この世界じゃ一番古い文字らしいからな』


『……そうなの……?』


『俺は幸い読めるけどな……母国語だし』


『……博識……?』


『……俺の中じゃ一般常識だよ』


『……私も起源文字、勉強するべきなのかな……』


『……フラード、無理に覚えようとしなくていいぞ?

日本語……起源文字か。難しいし』


『……いや。知識は得て損をするという事は無い。

暇があれば、教えてくれないか?』


『……まぁ、そういうなら、構わないけど』


『……私も……教わりたい……』



 クロも答える。まあ、フラード同様

 余裕のある時でいいだろう。



『そういえば、この資料には何が書いてあるのだ?』



 フラードが俺の読んでる資料を横目に尋ねてきた。



『これには、様々な素材の分布や、

素材が採れる魔物の情報が載ってるな。

例えば、ここには"オリハルコン"の採取法って書いてあるな。

えーと……基本的にダンジョンの深層か、

一部の魔物からしか取れないみたいだな』


『ふむ。ダンジョンか。しかし深層のダンジョンは

やめておいた方が良い。危険すぎるからな』


『フラードでも危ないのか』


『オリハルコンが取れる程のダンジョンとなるとな』



 クロも同様に頷いている。……そういえば。



『えーと、俺はお前の事をクロと呼ぶぞ。良いか?』


『……構わない……』


『分かった。クロは、結局何者なんだ?

フラードですら知らないようだし』


『……私は……"神馬"……神馬……"黒天馬"……』


『……神馬?』


『……黒天馬?』



 俺とフラードがそれぞれの疑問を口にした。



『……神馬は……馬の……神獣……。

黒天馬は……私の種族……闇の天馬……』


『……闇の天馬……ねえ』


『……普通の天馬は……闇属性が苦手……。

……私は……むしろ得意……』


『……なるほど。俺の"ペガサス・ネオ"ともまた違うわけか』


『……貴方……普通の天馬では……ない……。

むしろ……龍に……近付いている……気がする……』


『……龍、に?』


『……そう。翼が……常に魔力……帯びて……発光している。

普通の……天馬には……無い特徴。

貴方は……魂……それから眼……。一部が……

龍だから……適応しようと……してるのかも……?』


『……そうなのか』



 フラードが少し驚いたように呟いた。


 俺も驚いた。まさか、ペガサス・ネオに

 そんな意味があるとは、さすがに思わなかった。



『……あくまで……推測……。深読みかも……?』



 クロはそう答えたが、一応頭の片隅に残しておこう。


 今後魔石を食べるなら、同種と龍種か?


 あれ?俺、空島に龍集めるんだよな?

 ……魔石は、やめとこう。

 ……いやウィズダムなら、あるいは……?



『……ともかく、お前もまた神獣なのか。私と同じ。

……神が新たに生み出した、ということか?』


『……そう……。神龍とも……連携しろと……言われた……』


『……なるほどな。しかしもう少し早く言って欲しかったぞ』



 フラードとクロはそのまま二匹でまた会話しだした。

 俺は資料を読みながら横から話を聞く側になった。


 ……まぁ、今更神獣か神龍か知らないが、

 ちょっと変なのが一匹増えたところで

 大して変わる事はあるまい。


 そう思い、俺は資料に目線を戻すのであった……。


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