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第58話 魔鉱龍を捜索しよう その1

総合評価200超え!ありがとうございます!


『……魔鉱龍?』


『はい。そうなんですよー』



 俺は今日、ミスリルに呼ばれて相談事を受けていた。



『……つまり、ミスリルと同じ魔鉱龍を空島に匿えってことか』


『そうなんですよ。ここに移住して早一ヶ月。

人間に襲われる危険性も無く、味方も多いですし。

ここなら私と同じ魔鉱龍も、安心して暮らせると思ったんです』


『なるほど。言いたいことは分かった。

魔鉱龍は確かに希少な上、利用価値が高い。

人間達から空島に匿う分には問題はない。ただ……』


『ただ……?』


『……向こうが空島への移住に納得してくれたらな』


『……あー。その可能性もあるのかな?』


『……とにかく、まず魔鉱龍が

何処に居るのか、からだな。

それに何体いるかによって、

こちらの動きも変わってくるしな』


『はい!』



 後日、戦闘に自信のある魔物達を招集し、

 ウィズダムの所で会議をしていた。



『……ウィズダムに調査してもらったところ、

ブラント大陸と呼ばれる凍土を除いた

三つの大陸に、四体の魔鉱龍がいることが分かった』


『おおー!』



 ミスリルのテンションが上がった。



『さらに詳しく調べたところ、魔鉱龍はそれぞれ

"オリハルコン"、"アダマンタイト"、"ダマスカス"、

"ヒヒイロカネ"の魔法金属を生み出せる個体だと分かった』


『やった!被ってない!』



 ミスリル。その発言はどうかと思うぞ。



『えー、では今回の目的を確認する。

各々魔鉱龍に接触を図り、空島に勧誘すること。

なお、邪魔立てして来る存在がいた時の対応は任せる』


『ふむ。で、誰がどの魔鉱龍に接触するのだ?』


『それに関してだが、まずオリハルコンはどうやら

どこかの洞窟にいるらしい。

だから暗所でも強い奴が好ましいな』


『なるほど』


『ダマスカスは森の中にいて、何かと戦闘中のようだ』


『……戦闘中……』


『アダマンタイトは人間の国に捕まってるな』


『ええーっ!?』


『落ち着けミスリル。最後にヒヒイロカネは

どうやら……火山地帯にいるようだな』


『……かざん?ふんか!ふんか!』


『……まぁ、そういうわけで恐らく

面倒なのはアダマンタイトだな。どうする?』



 各々相談を開始した。俺もその中に混ざり、

 最も良いであろう人選と配置を考える。



『人間の国……面倒だから……滅ぼそう?』


『クロさんクロさんちょっと物騒ですよ』


『それで良いのではないか?

どうせ我々は空島に転移するのだから

足が着く可能性は低い』


『フラードまで何言ってんだ……』


『どうせ雲に覆われている空島は人間程度には

視認出来ませんよ……』


『ミスリルが物騒なことに同調してる!

同族が虐げられてるかもしれないからか!?』



 俺は必死になって説得した。

 実際に国を滅ぼせるかは分からないが、

 決行するのは最終手段だと思う。


 とにかく、人間の国に行くなら人間に変化できる

 フラードか、あるいはクロに行って貰うべきだろう。



『そうだ!そういえばフラードは

冒険者登録をしてたよな!?』


『え?……ああ。そういえば、

成り行きでそうなったような』


『なら、人間の国に行くならフラードに

任せた方が良いと俺は思うな!』


『そうか?』


『そうだよ!皆も良いよね!?』


『まぁ……神龍様なら、安心出来ますね』



 ミスリルが納得したので全員それ以上は何も言わなかった。

 いや、俺が言わせなかった。


 良かった、危うく国一つ滅ぼす所だった。

 さすがにそんな悪目立ちをするべきではあるまい。


 目を付けられないに越したことは無いのだ。

 我々はそもそも魔物なのだから。


 その後、火山地帯には水属性を持つ俺とミカンが、

 洞窟にはミスリル、グレッシャースライムが、

 森にはクロ、ハイパーホーン、バーサクワガタが

 それぞれ向かうことに決まった。



『フラード、また人間の国に行ってもらう

ことになる。済まないな』


『構わない。同胞のためでもあるのだ。

神龍としての責務もあるからな』



 役割が決まったので、一旦彼らは解散した。



************************************



『……熱い』


『あついー?さます?』


『……大丈夫だ。ミカン、行こうか』



 俺はミカンを連れて火山を登り始める。


 役割が決まって、翌日に決行。俺とミカンは火山に。


 フラードやミスリル達には各々の場所を

 任せているので、上手くやってくれると信じたい。


 さて、ウィズダムの調査によりこの火山に

 魔鉱龍ヒヒイロカネがいることは分かっている。


 しかし、いくら魔鉱龍とはいえ……こんな厳しい環境では

 狩りに来る人間なんていないのではないだろうか。


 地盤は安定していないし、所々有毒なガスが発生している。


 マグマが流れている箇所でもあるのか

 気温が高い上に植物はほとんど生えておらず、

 オマケに魔物までいる。


 ……いや、逆にここまで過酷な環境でもないと

 人間がやって来るのかもしれない。


 人間の欲望の深さは底知れないしな……。



「シャーッ!」


『おっと、魔物か』


『まもの!』



 俺達の前に現れたのは"フレアリザード"と呼ばれる

 炎のトカゲ。Cランクの魔物だが、

 常に群れで行動するらしく、かなり厄介な魔物とされている。



『"アクアジャベリン"』



 水の槍を創り出し、フレアリザードを貫く。

 ミカンも真似をしたのか同じようにアクアジャベリンで

 フレアリザードを貫いていく。


 フレアリザード達は俺達の強さと水属性の攻撃に

 驚いたらしく、慌てて逃げ出した。


 まあ、そうだろうな。フレアリザードは勝てない

 相手に出会ったら逃げるくらいの知能はあるらしい。


 さすがに俺もフレアリザードの群れ程度で遅れはとらない。


 属性的優位があるなら尚更だ。

 倒したフレアリザードの魔石を食べ、

 それ以外の部位は全てミカンに与える。


 植物が無いから、食料の確保が難しいのが悩ましい。

 とはいえ、目的地は分かってるし、

 さっさと終わらせるに限るか。


 そう思った俺はミカンを呼び、再び先へと進み出す。


 ……さて、皆は上手いことやっているといいんだが。





★Side:フラード



「……ああ。慣れないなあ。人間」



 愚痴を零すように一言呟きながら歩く少女がいた。


 蒼い髪をなびかせ、ミスリル性の銀の装備を纏っている。

 装備の質で見れば完全に一流の冒険者である。


 もし彼女が依頼をほとんど達成したことの無い

 最底辺の"Fランク冒険者"だと言われたら、

 ほとんどの人間が「そんなバカな」と思うところである。


 そんな彼女はとある国の辺境都市に来ていた。


 辺境と言っても、そこは国の最前線。


 王都と呼ばれるような場所にはいないような

 厄介な魔物が近隣に生息していたり、

 他国との国境を挟んだ睨み合いの場所でもある。


 有事の際にはここがまず最初の大規模な戦場となる。


 そうでなくとも魔物の数も多いので、冒険者はじめ

 多くの人間が出入りするような場所である。


 また、その土地柄、どうしても強い人間が歓迎される。


 つまり、ランク的には最底辺であるフラードさんは……。



「……Fランクだあ?嬢ちゃん。

悪いことは言わねえ。都市に入るのはやめとけ。

身の丈に合わない所に来ても、早死するだけだ」


「……(イラッ)」



 フラードさんは都市の門番に止められていた。


 実際、この都市を抜けた先にはCランク以上の魔物が

 蔓延っており、ランクの低い冒険者では太刀打ち出来ない。


 門番としては善意で止めているのだが、

 その優しさが返ってフラードには煩わしい物だった。


 なんせ空島で得た情報によれば、この辺境都市の

 貴族が"魔鉱龍アダマンタイト"を捕らえているらしい。


 そんなことはフラードにとっては無視出来ない事態だった。

 早急に調査を進めたかった。人間は何をするか

 分かったものではないからだ。


 痺れを切らしたフラードは門番を睨んだ。

 その恐るべき魔力が篭った瞳で。



(……"恐慌の魔眼")



「!??」



 門番は固まってしまった。


 顔はみるみる青ざめていき、冷や汗がドっと吹き出る。

 動悸も激しい。息を荒くしながら

 「見せつけられた」"ソレ"を見上げた。


 いつの間にか彼の手には銀貨が握られていた。


 金額はこの都市の通行税と同額。


 それに気付いた時には、見上げた"ソレ"も、

 蒼い髪の少女の冒険者も消えて無くなっていた。



「…………ッハーーッ……」



 門番の彼は深く息を吐き、呼吸を整えた。


 後に彼の同僚が彼の体調に気付き、

 やんわりと彼の体調について尋ねた。


 曰く、

 「八首の巨龍に睨まれた幻覚を見た。

 でも、幻覚の筈なのに、生きた心地がしなかった。

 辺境の魔物なんて、アレに比べたら赤子同然だった」

 と、震えた声で答えていた。そう同僚は語ったという。

  

次回以降もコロコロ役が変わります。


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