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第33話 いぶし銀が厄介事を運んできた!

『ふぅー……』



 今日は何か客が来るらしい。勘弁してほしい。

 やっと精神的に落ち着いてきたところだから。


 俺は何であの日ああいう出来事が起こったのか理由を考えていた。


 もちろん分かりませんでした。

 ……まあ、何となくだけどフラードから伝わる感情が暖かかったような気はした。

 

 ポヤーっととしながら考え事をしていたせいか

 ここ最近の記憶が曖昧だが、ちょっとシャンとしなければ。


 気合を入れ直していると、

 何やら慌てた様子のキラーアントがやって来る。



『アス様!マモナク御客様ガ到着サレマス!』


『分かった。すぐに行……』


 キラーアントに返事をしようとしたところで、

 急に地面が揺れ出し、地鳴りが起こり始める。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!



『な、何だ?この揺れは!?』



 揺れがドンドン大きくなる。

 俺は転ばないように気を付けながら外に出る。


 それと同時に、家の前の地面に大穴が開き、

 中からギンギラギンに輝くドラゴンが飛び出してきた。



『はーい!こんちはーっ!!』


『うわ念話なのにうっさい!魔力込めすぎだぞお前!』


『おーっと、これは失礼しました』



 ギンギラのドラゴンが頭を軽く下げる。つい釣られて会釈してしまった。


 そこにフラードやマザー、ハイパーホーンらがやって来る。



『む。魔鉱龍ではないか。まさか本当の話だったとは……』


『ハイ。ミスリルのドラゴンデス』


『眩しいデスな』


『マ、ロ?』 

 

 

 主要なメンバーが集まったので一度話を合わせる。

 情報共有が出来たので、改めてギンギラドラゴンに自己紹介してもらった。



『ハイ!私は"ミスリル"!特技はミスリル錬成です!』


『いや知らんわそんな特技』


『ショボーン……』


『……その性格、もう少し何とかならないのか?』


『……無理、です!』


『……ふむう。魔鉱龍ミスリルか。これまた随分珍しいな』



 フラードが意外そうに呟く。俺はフラードに尋ねてみた。



『そうなのか?』


『ああ。魔鉱龍というのは、魔法金属と呼ばれる

特殊な金属を体内に取り込んで変異したドラゴンの事を言うのだ』


『そうなんですよー!子供の頃、

うっかりミスリル鉱石を飲み込んでしまって……死に掛けました』


『……なんか、大変だったんだな』


『でもでも、身体がなんかミスリルに適応したみたいで!

気付いたらこんな……こんないぶし銀な姿になっちゃってー……』


『……眩しいわ』


『どうにもならないんですよねー。すごく目立つんです』


『だろうな』


『はい。そこで本題なのです!』


『……は?』


『はい。何ヶ月か前に、

そちらの蟻さん達に地下で鉢合わせまして……』



 ミスリルはマザーをチラ見した後に、俺を見ながら言う。


 

『私を助けてくださーい!!』


『『『……は?』』』



 俺達は思わず声を漏らした。俺はマザーを呼んだ。



『マザー。説明を求める』


『ハイ。こちらのミスリルサンは、どうもソノ希少性から

様々な生物ニ狙わレルようなのデス』


『そうなんですよね。ミスリルって

緋緋色金(ひひいろかね)とかオリハルコンよりは加工しやすいので

人間に狙われたり、はたまた鉱物を餌にする魔物に追われたり……』


『……なんか、大変そうだな(俺はやばそうな名前の金属には突っ込まないぞ)』


『そうなんですよねぇ。

そのおかげで普段は地下に籠ってるんですが、

どこからかそういう奴らって私を嗅ぎ付けてくるんですよ』


『お前……龍だろ?撃退したらいいんじゃないのか?』


『……エェー。私、戦闘は苦手なのですよ』


『おいおい』


『盾になら、なれるかもですが、

そもそも私、性格的に戦闘行為自体が嫌いで……』


『フラード。コイツどうしたらいいと思う?』


『さぁな。ただそのあからさまに断りたいオーラ全開はやめてやれ』


『……お願いします!何でもしますから!』


『何でもって……何ができるんだよ』


『ミスリルなら幾らでも創れます!錬金も出来ます!

……ハッ。もしかして……私のカラダが目的ッ!?』


『最後のはもしかしたらミスリルでできた自分の身体と

かけてるつもりなのかもしれないけど、どうしてそーなるかな』


『『……』』


『ヒ、ヒェェ』



 女性二名(フラードとマザー)は威圧感を放っている!ミスリルは怯んでしまった!


 なおアスやハイパーホーンは

 彼女らが威圧する理由が分からなかった模様。



『あーまあ、とにかくだ。もう少し詳しく話を聞こう。

今の話だけじゃ分からないことが多いからな』


『ハイー。ついでにご飯もくれたらなあと思います』


『……図々しいなお前』


『てへへ』


『……マザー。何か食べ物分けてあげてくれ』


『分かりました。ミスリルさんハ何ヲ食べらレルのデスか?』


『土と魔石です』


『なるほど、子供達に掘らせまショウ』


『わあ!ありがとです!』


『ミスリル。お前とりあえずこっちな』



 俺はフラードらを連れて、家の方に戻る。

 ミスリルは家に入るには少し大きいので、入り口前で待機だ。


 俺は貯蔵している魔石を少し持ってくる。



『わぁ魔石!どうもすみませんー』


『まあ食べながらでもいいからもう少し詳しく説明をしてくれ』


『はい。私を追いかけている人間達がいまして……もぐもぐ。

その人間はどうも穴を掘る魔物やもぐもぐ。

鉱石を好物にする魔物を従えていてもぐ。

私の事を執拗にもぐもぐ狙ってくるんですよもぐもぐもぐ!』


『あーうんそーなんだ』



 俺は魔石を食い散らかすミスリルの姿にゲンナリした。

 コイツ、さっきの話的にメスなんだよな?

 もう少し大人しくできないのかな……。



『まあ、とにかく。魔物を従えている人間がお前を追っているのか』


『もぐ。はい。今は何とか突き放しているので、

追いつくのに一日ほどかかるでしょうけど』


『まあそうやって追いかけられる原因は、

お前が無抵抗だからだと思うがな。人間は魔物を素材として見ているっぽいし』



 ダンジョンで出会った人間の口ぶりはまさにそんな感じだった。



『うぐ。ぐうの音も出ないです』



 ぐうー。



『……腹からぐうぐういってるぞ』


『てへへ……逃げてたものであまり食事ができていなくてつい……』


『……はぁ』



 俺は心底呆れ果てた。何なんだコイツは……。



『それで、私のことを助けてくれませんか!?

逃げてる途中で出会った蟻さんに相談したらみんな、

「ボスは優しいから何とかしてくれる」って言われました!』


『って、言われてもな……』



 ミスリルは期待した目を輝かせている。全身も輝いている。



『……はぁー』



 俺は思わずため息をついた。

 そして、キラーアントを通じてマザーを呼ぶ。


 土を運んでいるキラーアントと共にマザーがやって来る。



『お呼びでしょうか。アス様』


『ああマザー。済まないが一つ頼まれてくれないか?』


『アス様のお役に立テルならば』


『うん。ミスリルから話を聞いて、どうも人間と魔物に追われているらしい。

そこでマザーは地下にキラーアントを放って、

どういう敵がどのくらいの数いるのか、調べてほしい』


『ナルホド、情報収集ですね』


『まあそういうことだ。できるか?』


『ハイ。お安い御用デス!』


『もしキラーアントだけでどうにかなりそうなら

何とかしちゃってもいいけど、無茶はしないようにな』



 俺はマザーに指示を飛ばして、後は現場の判断に任せることにした。

 Bランクとかそういう対処の難しい

 魔物がいれば、俺達が出ればいいだけだしな。


 ミスリルは感動した様子で目も身体も輝かせている。


 

『……はうぅ。ありがとうございますー!』


『さてミスリルさんよ』

 

『はい?』


『ちょっと、少しは自衛できるようになろうか?』


『ヘ……?』

 


 その後、ミスリルはアス、フラード、グレッシャー、ハイパーホーンに

 途中参戦して来たジェネラルアント軍団に揉みくちゃにされ……。   


 彼女は叫んだ。



『こんなの……ッ!かん、ぜんにリンチじゃないですかーーーーーッ!!』



 ミスリルの念話の叫びは(主にアスのミスリルに対する)

 ストレス発散のリンチによって虚しく木霊するだけだった……。


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