↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
77/119

シカトって?

 買い物から帰り、茶トラ先生の実験室で、ぼくらがあちこちでシカトされたり、されなかったりという話をしていたら、茶トラ先生が「シカト」という言葉について、意味深い話をしてくれた。

「シカトというのは、もともと花札の十月の絵柄で、それは鹿の十月、つまり「シカのトウ」呼んでおったのだが、じつはその鹿がそっぽを向いておるんだ。そしてそれが転じて、『シカトウ』という言葉が出来て、それがそっぽを向くとか、無視するという意味になっていったんだ。そしてそれは賭博をやる者の間で広がり、やがて不良少年の間で広がり、そしてそれは『シカト』という言葉になり、それから現在では、一般の人も使うようになったんだ」

「へぇ~、茶トラ先生ってすご~く学があるんだね。で、賭博も名人なの?」

「わしはギャンブルには一切興味ない。興味があるのは科学だけだ」

「そうだよね」

「ところでさぁ、じゃ、おれって不良少年か?」

「ちがうよ。田中君はぼくの親友だよ」

「親友? そういってもらうとうれしいぜ! じゃ静香ちゃんもおれの親友になってくれるのかな?」

「さっき静香ちゃん、シカトしなかったしね。微妙だったけどさ」

「あ~、その静香ちゃんとやらが微妙なのはさておいて、しかし、わしとホームセンターのレジの人以外の誰もが、お前さんたちをシカト…、つまり無視するという現象は、大変興味深いものだ」

「大変興味深いの? ぼくら大変深刻なんだけど」

「そうだな。大変深刻だな。わしはお前さんたちに軽率な言い方をした」

「大丈夫だよ。気にしないで。で?」

「で、あ~、つまり未来からやってきたお前さんたちは、一部を除いて、このわしがいる、つまりお前さんたちから見た過去の世界に、いかなる影響も与えることが出来ないようになっておるのだろう」

「イカ天の店員がシカトしたから、おれら、中華どんぶり食えなかったしな」

「たしかに中華どんぶりを食べるという行動も、たとえ小さな行動ではあったとしても、過去に何らかの影響を与える可能性がある」

「本当は食べる予定だった人が食べられないとか?」

「おおまかにはそういうことだ。つまりこれらの現象は、過去は変更できないという証拠なのだ」

「ええと、その、過去が変更できないって話、タイムエイジマシンを作ったあとの茶トラ先生も言っているよ。茶トラ先生ったら、三日前に戻ってバットで自分を殴り殺したんだ!」

「なんだって?」

「いやいや、冗談さ。で、やろうとしてもうまくいかなかったんだとさ」

「そうか、つまりそれは、自然が過去を『書込み禁止』にしているのだな」

「その話も茶トラ先生、言ってるよ」

「わかったわかった。お前さんはわしの未来を知っておるのだ。お前さんにはかなわん」

「だけど不思議なのは、茶トラ先生とホームセンターの人だけ、いやいや、静香ちゃんもだけど、それらがおれたちをシカトしねえってことだよな。それってどうしてなんだ?」

「そうだ。そこが重要なんだ…」

 それからそのことについて、しばらく三人で話し合った。

 きちんと結論は出なかったけど、少なくとも「タイムエイジマシンを作る」という、この世界から見た「決まった未来」と関係のある人だけはシカトしない。

 それは理屈に合うのかもしれない。

 つまり「タイムエイジマシン」が出来るという、決まった未来に向けて、ぼくらが茶トラ先生に働きかけている。だから茶トラ先生はぼくらをシカトしない。

 そしてホームセンターで買ったカーテンやランプだって、タイムエイジマシンに必要なものだ。

 だからレジの人はぼくらをシカトしない。

 そう考えるとつじつまが合う…、のかもしれない。

 だけど静香ちゃんについては見当もつかなかった。

 とにかく静香ちゃんは、深い謎に包まれていたんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。