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王宮魔術師は旅へ出る  作者: 逆姓 柳
2章.遠き魔法の異世界
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3話.異世界最初の街

お久しぶりです

前回投稿から随分と間が空きましたがどうにも詰まってしまって書こうにも進まずに時間がかかってしまいました

これからまた学校が始まるのであまり投稿ペースは速くはありませんが、これからも宜しくお願いします


ミスで主人公の年齢が18歳になっていたので22歳に修正しました、それに合わせてジークの年齢も25歳に修正しました

 

 目が覚めてみると、俺は森を抜けた先にあったらしい草原だった


「もうやだ、俺異世界来てから魔力切れで気絶してばっかりだわ」


 微妙に女言葉になりつつ泣き言を言いながら、両手で顔をおさえて泣いてみる…………


 やめた、1人でやっててもバカらしい、役者じゃないんだから魔術もなしで速攻で涙が出せるか


 無駄なことをしてても事態は好転しないので、とりあえず立ちあがって杖を畳んで腰に挿す


「魔力は……………4割ってところか、ちょっと心許ないけど十分」


 両の手を合わせて器にし、水精製の魔術を使って、手の器に水を溜めて、そのまま口元に持っていき、一息に水を飲み干す


「ップハー、生き返った、昨日は本気で死ぬかと思ったからな、この一杯の水が贅沢だと思えてくる」


 にしてもこの世界には精霊が実在するのか、それだけでもこの世界に来た価値があるってもんだ、俺の知っている精霊の定義と同じかは疑問だが


「とりあえず、当面の問題は勇者召還のための情報収集でそのための人里探しだな」


 そうだと決まればと俺は、杖に手を添えるだけして目を閉じて飛行魔術を丁寧に編みあげ、雲までとは言わないが結構な高さまで飛び上がる、もちろん『スカイクロス』のような危ない術式ではなく、いつも使っている『ドラグーン』という安全実験も済んだお墨付きの術だ、なんでも飛竜よりも速くアクロバティックに飛ぶからと名付けられたらしい、ちなみにだが開発者も実験者も使用者からも飛竜に勝てたという話は聞いたことがない、おい誰が名付けたんだよ


「さて、都合の好さそうな街とかあればいいんだけどな」


 そこから地上を見下ろしてみると、案外とそう遠くない場所に外壁に囲まれた街が見えた


 ∴


「はい、次の人どぞ」


 人目に付かないようこっそりと着陸した俺は、街に入るための検問の列に並んでいる


 流石にいきなり人前で飛行魔術を見せる愚は俺ですら犯さん、飛行魔術は俺の世界でもまだ使用者が少なく、使えることを知られれば、国に893に賊に冒険者などのターゲットによくされる、王宮魔術師という後ろ盾の無いこの世界ではより危険になるだろう、それにまだこっちの魔術の技術水準の分からないのだから油断するべきじゃない


 検問の担当者は若い門兵だった、人種的には結構黒い肌をしてるな、いやこれよく見たら日焼けだ、そらそうだよないっつもこんな場所にいるなら日焼けもするか、俺は絶対いやだから働くなら内勤至高主義者だ


「はいこれに名前に年齢、出身と職業とここに来た理由を書いてくれ」


 そう言って木のボードに紙を留めたものと書くための炭に木を巻き付けただけの簡易的な鉛筆を渡してきた


 よかった、どうやら紙の製造が可能な文明レベルはあるみたいだ、バカ高い羊皮紙を詐欺覚悟で買わなきゃいけない心配はしなくてよさそうだ、それにこれは本も手に入る環境だと予想できる


 その2つを受け取った俺は予想以上の収穫に、ニマニマとしながら書き始める、だがそこである違和感に気付きダラダラと汗を垂らし始める、それをおかしいと感じた門兵は心配そうにこちらを覗きこんでくる


「んん? どうした書き損じか?」


「いや、お前この字読めるか……」


「見たことない字だな、読めねえな」


 俺はしまったという感じで両手で頭を押さえてしゃがみこむ


 なんでだよ! 言葉は通じるし意味もわかるってのに字が違うんだ、あれか上げて落とすって奴か、お笑いのテクニックか、他所でやれ!!


 分からないのは仕方がないので立ちあがって門兵に頼むことにする


「すまんが代筆頼めるか? ここの文字は分からねえんだ」


「まあいいが、お前どこから来たんだよ、俺は門兵やって3年になるが違う文字なんざ見たことないんだが」


「いや俺も分からねえんだよ、気の向くままに彷徨っていたらここに来たんだ」


 異世界から来たとは言えんから、ついとっさに今の俺の人生を表したようなあやふやな答えになっちまった、 訝しげな物を見る視線をこっちに送ってくるが気にするまい


「お前よくそれで生きてるな」


「運がいいからな、それよりも代筆頼む」


 もちろん嘘っぱちだ、運が良ければ今俺はここにはいない


「名前は」


「アルマだ」


 名字は俺の世界だと国民リストを作るために数代前に国に強制的につけさせられたらしいが、その前だと貴族のみの特権だったらしいからな、こっちで名乗れるかどうかはまだ様子を見ておこう


「歳は」


「22歳」


「出身は」


「フロムガルド王国」


「知らないな、職業は」


「ん~と、流れの魔術師ってとこだな」


 と、そこで門兵が不思議そうに首を傾げてくる


 まさかばれたのか、こっちの世界だと無職なのに見栄をはって魔術師だって言ったことが、恰好は結構な正統派魔術師の恰好してるんだが


「俺は詳しく知らないんだが、魔法使いっていうんじゃねーのか?」


 あ、そっちね、魔術じゃなくて魔法、俺の世界だと数年前に呼び方を魔術に統一されたからな、気にもしてなかったが、なるほどね、怪しまれないように覚えておこう


「俺の地元だと魔術師って言うんだよ、どうにも田舎の方だったからそのせいなんだろ」


「ほー、そんなものなのか、じゃあ最後に来た理由なんだが、聞いた限りじゃあ―――」


「ああ偶々だよ、旅の寄り道とでも書いとけばいいよ」


「まあそれでいいか、とりあえずこれで検問は終了だ、問題なし、通っていいぞ」


 そう言って門兵は俺に先に行くように促し、次の入街者を呼ぼうとする


 あっそうだ、大事なこと聞き忘れていた


「ちょっと聞いていいか?」


「なんだ、後が詰まっているんだ、手短に頼むぞ」


「この街の名前ってなんなんだ?」


 その質問に門兵はがっくりとうなだれる、仕方ないじゃないか、遠くから来たんだ


「そんなことも知らなかったのかここはクリカ国の最南の街、マシアだ」


「そうかありがとな」


 それを最後に俺は門の内側に行く


 いざ、異世界最初の記念すべき街、マシアへ


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