新しい出会い方
新年度。ぼくは5年生になった。
クラスがえはあったけど、ヒロトと長谷川さんとは同じクラスのままだった。ぜんぶで3クラスしかないから同じクラスになるかくりつもたかい。
きのうしぎょう式があって、きょうからさっそくじゅぎょうが始まっている。
ぼくのせきはろうかがわの一番後ろのせきで、ヒロトがうらやましがってた。
でもぼくからしてみれば、ヒロトと長谷川さんが前から2れつ目のまんなかのせきでとなり同士なのが、ちょっとおもしろくない。
なんかぼくだけおいてけぼりみたいな気がする。
ぼくがちょっとムスッとしていたのか、となりのせきの笹木さんに声をかけられた。
「神田くん? どうかしたの?」
「ん? なんにもないけど?」
「なんかすごいこわいかおしてたよ?」
笹木さんはクスッと笑った。
そんなにこわいかおしてたのかなぁ?
「神田くんと同じクラスになるの初めてだよね」
「うん。よろしくね」
「こちらこそよろしく」
笹木さんはまたクスッと笑った。
「さっきから笑ってるけど、ぼくなんかしたっけ?」
「ちょっとうれしくって」
「うれしい?」
「神田くんのとなりのせきになれてうれしいの」
「どういうこと?」
「神田くんって、人気あるんだよ。高橋くんか神田くんかって」
へー初めて知った。
ヒロトの人気があるのは知ってたけど、ぼくも人気あるんだ。
ちょっとてれるな。
「だからそんな神田くんのとなりになれてうれしいの」
「そっか。それはよかったね」
「こう見えてもキララも人気あるんだよ」
「そうなんだ。ぜんぜん知らなかった」
「ガックシ・・・」
ぼくがそういうと、笹木さんは『ガックシ』と口で言ってからおちこんだ。
なんかへんな人だ。
「キララのとなりのせきにすわりたいと思う人はたくさんいると思うなー」
「ふーん。ごめんね。よくわかんないや」
「うっ・・・そ、そっか。これからよろしくね」
「うん、よろしく」
やっぱりへんな人だと思った。
昼休みになって、給食を食べ終わり、ぼくはヒロトと長谷川さんのせきへと向かった。
そして笹木さんの話になった。
「あー。あのちょっとうるさいやつな」
「ちょっとヒロト。その言い方はダメでしょ」
「だって本当のことだろ。なんか自分のことキララとかって言ってるじてんでダメだって」
「ヒロトくん。言いすぎだと思うよ」
「長谷川だってそう思わね?」
「笹木さんっていう人知らないからわかんない」
「ぼくのとなりのせきの女の子だよ」
「今キララのことよんだ?」
うわさをすればなんとやらで、ぼくたちの会話がきこえたのか、笹木さんがちかくによってきた。
あからさまにいやそうなかおをするヒロトのことを、ひじでついた。
「この子が笹木さん。こっちは長谷川さん」
ぼくは長谷川さんと笹木さんをしょうかいした。
「長谷川瑠璃です。よろしくおねがいします」
「笹木キララよ。こちらこそよろしくね」
ペコリとあたまを下げる長谷川さんに対して、笹木さんはあくしゅをしようとえがおで手をさしだした。
長谷川さんもそれがあくしゅだと気づいたのか、その手をにぎった。
「いっ」
長谷川さんの声がきこえた気がしたけど、とくにかわったようすはなく、ヒロトもきこえなかったみたいだから、気のせいだったみたい。
あくしゅしていた手をはなすと、笹木さんは『じゃあね』と言ってはなれていった。
「長谷川さん?」
あくしゅをしていた右手をじっと見ている長谷川さんに声をかけると、ハッとしたようにぼくを見た。
「なに?」
「ずっと手見てるからどうしたのかなーって」
「あ、えっと、初めてあくしゅしたと思って」
「初めてあくしゅしたのかよ!」
「う、うん」
「じゃあぼくともしてみる?」
「ずるいぞ! オレもあくしゅする!」
そう言ってぼくが右手をさしだすと、ヒロトは左手をさしだした。
そして長谷川さんがそれぞれの手をとった。
「ヘヘッ。よろしくな!」
「ぼくもよろしくね」
「うん。よろしく」
3人で手をつなぎながら、ニコッと笑いあった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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新年度、怜央くんバージョンです。
次回もお楽しみに!




