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20/35

お久しぶりです。



すみません金額設定を変更しております。


モンスターカード

目安 買取価格/販売価格

G 400円/2,000円

G+ 800円/4,000円

F- 5,000円/50,000円

F 25,000円/75,000円

F+ 40,000円/200,000円

D- 150,000円/750,000円

D 400,000円/2,000,000円

~~

A 30,000,000,000円/150,000,000,000円 (市場には三日に1枚程度しか出回らない)


明記はしていませんが、


「姉さん」

「何?」


 晴れやかな朝、暖かな陽射しが部屋を照らす七時ごろ、テーブルには俺と姉が座っていた。

 トーストで焼かれたパンが二枚と目玉焼き、ソーセージ。マグカップにはコーヒーが一杯入っていた。


「ジャム無かったから買い足しといたんだけど、苺ジャムで良かった?」

「えぇ……ブルーベリージャムが良かったなぁ」

「……我儘だな。あま○うの奴だから、高かったんだけど」

「じゃあ嬉しい」

「……おい」

「取ってくるよ」


 そう言って部屋に向かう。

 部屋は綺麗にしてるだけあって清潔だったのだが、乱雑に置かれたリュックと買い物袋が前日片付ける暇もないくらい疲労していた事を表していた。


 袋から目的のモノを取り出し、リビングに戻る。

 2LDKの広々としたマンションの一室だ。姉の稼ぎが良いだけあってとてもお世話になっているが、心苦しい気持ちもあった。


「あれ、これ高い奴じゃん。そんな金あったの?」

「まあバイトしてるからね」

「そうだったね。飲食店でしょ? 今度そこ行こうかな」

「それはやめて」


 はっきりと断った。

 もう働いてないってのもあるけど。


「ま、良いや。友達と遊ぶのも良いけど、ちゃんと貯金もするんだよ? 私だっていつ死ぬか分からないんだから」

「……そんなこと言うなよ」

「だね。でもいつでも覚悟はしておくんだよ」

「姉さん、探索者業やめれば良いのに」

「どうだろ。高卒でも働ける所あるかな……」

「俺だって、就職したら金入れるしさ」


 思い空気にならないよう、日常会話のように喋る姉に合わせる。

 そんなの分かってる。そう思いながら。


「それは逆に颯太に悪いでしょ」

「……じゃあ、俺が将来月千万稼げるようになったら姉さんに十万渡すくらい問題ないんじゃない?」

「本気〜?」

「どうだろうね」

「んー、でもそれじゃ普通のサラリーマンにはなっちゃダメだよ。タイムイズマネーよりリザルトイズマネーの方が稼げるからね」

「難しい話はしないで欲しいんだけど。確か、姉さんもRIMリザルトイズマネーなんでしょ。それも分かってるよ」

「でもね颯太。何度でも言うけど、探索者になるのはやめといた方が良いよ。本当に最悪だから」

「……どう言う所が?」

「夢が無い」

「はっきり言うね」


 探索者としてやっている彼女の言葉だ。

 一応聞いておこう。


「探索者ってのは、需要が高い割に供給……数が少ない職業な筈なんだけどね。あんまり稼げないんだよ。稼げるのは実力のある人か金のある人かの二択だけ。それに大抵の人は死ぬのが怖いもんだからさ。メディアは探索者の実情を隠しまくってるし、その表側は綺麗だけどさ、仮面の下はただの異常者の集まりなんだよ。自分の命を金に換える事に疑問を感じない、ね」

「……」

「それにさ。この業界、案外健常者が多いのも事実なんだよ。皆んな自分は人とは違う、頭のおかしい奴なんだって洗脳してるけど、どこかでそんな人格は剥がれ落ちるの。そしたら、苦しくなって耐えられずに辞めちゃう。結局さ、探索者なんて本当は民衆のコンテンツとして楽しむべきなんだよ。どれだけ歪で絶対に崩れる筈の観覧車だって回せるのが、この社会なんだから」

「……」

「ねえ」

「何?」

「話は変わるけど、お父さんとお母さんは好き?」

「……嫌いになったよ」

「良かった」


 両親は嫌いになった。

 思い返せば、思い出の一つや二つなんて幾らでもある。

 

 四歳の頃、母親にダメ元でねだったら袋の飴玉を分けてくれた事。

 七歳の頃、父親に一生懸命考えたネタを披露したら笑ってくれた事。

 九歳の頃、母親に風邪をひいて寝込んでいた時、出来立てのお粥を作って貰えた事。


 両親は最低限、親として学校に行かせてくれたしご飯も用意してくれた。本当に偶には普通の会話を交わしたし、偶には兄のオマケとはいえ映画やご飯に連れて行ってくれた。


 


 こんな思い出に縋る事だって出来る。でも縋るわけには行かないのだ。そうしたら、本当に苦しくて嫌で泣いていた時の自分を裏切る事になるから。それはゴメンだ。


 


 姉さんが親は嫌いになるべきだと、長い時間をかけて教えてくれた。好きでいると辛いから、自分を騙せって彼女に言われて。何だかんだ今は感謝しかない。


「ありがとう」

「気にしないの。確認しただけだから。ねぇ、颯太」

「何?」

「私は色々教えることが出来る。でも貴方は貴方の人生を歩むべきでしょ? だから、私の話は頭の片隅に置くくらいで良いんだよ。それで自分が本当に正しいと思った道を信じ続けなさい。疑って、疑って、疑って、それでも信じられる道なら、それは絶対に貴方が歩むべき道だから」


 姉の言葉は驚くほど、心臓に響いていた。

 頷いて、納得する。


 彼女の言う言葉は図星で、平気だと思っていた自分の心が今にも悲鳴を上げて泣きじゃくりそうで。

 己は積もり重なった小さな悲しみを、激情として吐き出したいのだと自覚した。


 でも。

 それは出来ない。

 しない。


 どれだけ願っても、この身体は自制を保ってくれるのだから。


 

*とち○とめの苺とかも好きです


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