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プロローグ
───私はただ怖くて逃げ出した。
己の宿命から、己の罪から背を背け、かつての暖かい世界へ逃げ込んだ。
しかし元から逃げることなんて不可能だったんだ。
あの街から立ち去ってから、今までずっと私は過去から迫り来る者と向き合ってきた。
それはあの街にいたときと何も変わらない、殺戮の繰り返しだった。
唯一つ違うことは、守りたい人達が出来たこと。
その人達は私を暖かく包んでくれた。血に染まりきった私に優しさを教えてくれた。
お前の事を無視して逃げ出した私のことを、許して欲しいなんて図々しいことは言わない。
たがどうか頼む。私の守りたい人達だけは傷付けないでくれ。
あの人達は私のせいで生きる道を狂わされただけなんだ。
私のことなんてどうでもいい。今すぐその銃で裁きを下しても構わない。
あの時、私はお前に私の全てを委ねた。それは今も同じだ。
さぁ、殺したければ殺せ。罪深き私を罰してくれ。




